5分で読むムーミン小説:ムーミン谷の十一月(6)

公開日:2018年4月26日  更新日: 2020年01月01日 関連分類:

ムーミン谷に集まった6人のパーティーで行われる余興が始まりました。

 

ホムサは本を読みました。

「動物の体形……生理学的……肉食動物……狩猟本能……」

 

スクルッタおじいさんはご先祖様のことばかり気になっていました。

 

次のミムラ姉さんスナフキンにハーモニカを合わせてもらいながら踊り始めました。

台所の中で音楽と動き回る気配でいっぱいでした

ミムラ姉さんの長い髪はきらきらと日の光が踊っているように見えました。

 

※写真出典書籍:『ムーミン谷の十一月』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、鈴木徹郎/訳、1984年発行

 

スクルッタおじいさんはご先祖様が来るのを待たずにパーティーを始めてしまうなんてとても失礼だとかたくさん話したが、みんながご先祖様のために万歳したことで収まりました。

 

フィリフヨンカは「ふるさとへ帰る」というテーマで影絵をやり始めました。

フィリフヨンカはシーツを天井の穴あきパンを使ってぶら下げて自分のシーツの裏に入り、ランプを置きました。

 

スナフキンが風のささやき声のような静かな音楽をハーモニカで流しました。

 

白い光の中に、影が一つさっと飛び込んできました。

黒い影柄でした。

ヨットでした。

 

ヨットのへさきには、すごいおちびさんが一人座っていました。

髪の毛を球根みたいな形に結っていました。

 

ヨットは緩やかにシーツの海を滑っていきました。

 

ヨットにはみんな揃って乗っていきました。

ムーミンムーミンママ

ムーミンママはバッグを手すりに押し当てて座っていました。

 

ムーミンパパは帽子をかぶって舵を取っていました。

 

※写真出典書籍:『ムーミン谷の十一月』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、鈴木徹郎/訳、1984年発行

 

幕は下りました。

音楽は止みました。

フィリフヨンカは台所ランプを吹き消し、台所の中は真っ暗になりました。

 

スナフキンはマッチを見つけてランプを灯しましたが、パーティーを続ける気のあるものは一人もいませんでした。

 

 

ホムサは暗闇の表に出ていきました。

動物はすぐその辺にいると感じました。

 

動物は森を走り、ホムサは追っていきました。

動物の進んでいく道で草むらが二つに割れました。

 

二人は水晶玉の前にやってきて、ホムサは動物に話しました。

「ぼくたちは噛みつかれて困るんだ。あいつらに噛みつくなんてことはいつまで経ってもできないんだ。僕のいうことを信じてくれ!」

「小さくなって隠れてしまえ!このままではお前さんはやっていけないんだ。」と続けました。

 

 

動物は小さくなって水晶玉に吸い込まれました。

 

 

台所に残されたフィリフヨンカは散らかった台所の真ん中に立ち、スナフキンが忘れたハーモニカを手に取って吹いてみました。

色んな音色を吹いてみながら耳をとがらせました。

フィリフヨンカは何時間も何時間も感じで音色を追いかけながらわれを忘れてハーモニカを吹いていました。

 

フィリフヨンカは両手の上に頭を乗せ、食卓のところで眠りました。

翌朝8時半に起き、周りも見て思わず言いました。

「まあ、なんて散らかっているんでしょう。さあ、今日は一つ大掃除をやらなくちゃ。」

 

新しい気持ちから生まれる新しい世界

また掃除ができるようになったフィリフヨンカはとても機嫌よく、気持ちよく掃除を始めました。

 

楽しそうに掃除しているフィリフヨンカを見ると、みんなも一緒になってお掃除がしたくなりました

水運びや絨毯ふるいや床磨きなど掃除に参加しました。

 

掃除が終わったら、フィリフヨンカはつぶやきました。

「さあ、今度は私の家へ帰って、私の家もお掃除しなきゃ。」

 

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みんなはそろってベランダの前の階段に腰かけました。

夜になるととても寒くなりました。

みんな何となくわかれるのが名残惜しく、今までみんなで一緒に暮らしてきた生活が懐かしくなりました。

 

あくる朝、初雪がは降っている中、フィリフヨンカミムラ姉さんは橋の上でみんなとお別れの挨拶を交わしました。

「スクルッタおじいさんのお鼻に私からだと言ってキッスしてあげてね。それからおじいさんの好物は瓶詰キュウリで川は小川だってことを思い出してね」とミムラ姉さんは言いました。

(スクルッタおじいさんにとってムーミン谷の川は川ではなく「小川」であり、川っていうと怒られる)

 

「これからはおじいさんがちゃんと薬をお飲みになるよう、気を付けてあげてくださいね。」とフィリフヨンカは厳しい声で言いました。

 

フィリフヨンカは一度も振り返らずに橋を渡っていきました。ミムラ姉さんはその後からついていきました。

 

続く。

 

※参考書籍:『ムーミン谷の十一月』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、鈴木徹郎/訳、1984年発行

 

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