5分で読むムーミン小説:ムーミン谷の十一月(3)

公開日:2018年4月23日  更新日: 2019年11月30日 関連分類:

その人は気味の悪いくらい年寄りでした。

 

なんでも忘れてしまうスクルッタおじいさん

おじいさんはとても忘れん坊でした。

人の名前も自分の名前までも忘れてしまいます。

 

ある日、彼は自分の名前にスクルッタを名付けました。

 

静かな夜にスクルッタおじいさんはいったい自分は何をしたいと思っているだろうとじっと考えていました。

 

そうだ!遠い昔に行ったことのあったあの谷へ行ってみたいんだ!

わしに一番大事なのはあの谷間を流れている小川なんだ。

 

朝になると、おじいさんはかごに薬を詰め込み、サンドイッチを6切れ作り、傘を持って旅に出ていきました。

「さあ、これからこの目で見るものは今までとはまるっきり違った新しいものばかりなんだ」

 

 

電気を食べるちびちび虫

家にある衣装戸棚の虫干しをするかどうかを悩みまくったフィリフヨンカはスーツケースを掴み、キツネの襟巻を首に巻き付け、戸締りをして家を出ました。

 

ムーミン谷までは遠くなかったです。

玄関のドアをノックしても答えがなく、フィリフヨンカはムーミン屋敷に入り、人を探しました。

 

屋根裏の小部屋に入ったら、ホムサが中に座っていました。

「みんな、どこにいるのよ。どこにいるのよ。」とフィリフヨンカは聞きました。

 

「僕知らないよ」とホムサは答えました。

フィリフヨンカはドアを閉めて行ってしまいました。

 

ホムサは本の続きを読みました。

深海にある電波虫、ちびちび虫のことが書かれてホムサはさっぱりわからなかったです。

 

ホムサ=トフトはだんだん瞼が重くなり、ムーミン一家の話を自分に聞かせようとしたが、だめでした。

代わりにあの夜行虫の姿をしていた電気が好きなちびちび虫の話をしました。

 

ムーミン谷に訪ねてきたたまねぎまげのミムラ姉さん

自分のことが大好きなミムラ姉さんは妹のリトルミイに会いにムーミン谷にやってきました。

 

※写真出典書籍:『ムーミン谷の十一月』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、鈴木徹郎/訳、1984年発行

 

最初に会ったのは川の橋に腰かけて網で魚を獲ろうとしているスクルッタおじいさんでした。

 

スクルッタおじいさんはミムラ姉さんを見てきみのことは知っている、パーティーを開いて夜通しで明かりを灯した人だと言いましたが、ミムラ姉さんはそうとは思わず、適当に聞き流し、妹のリトルミイがいるかを聞きました。

スクルッタおじいさんは答えずに、大声を出して魚を怖がらせたミムラ姉さんを責めました。

 

ムーミン屋敷にミムラ姉さんが行くと、フィリフヨンカがベランダに座っていることを見て挨拶しました。

「みんな留守よ」とフィリフヨンカは言いました。

 

庭の道からヘムレンさんホムサが落ち葉をかき集めながらやってきました。

 

フィリフヨンカはそれを見て、枯葉にばい菌がたくさんついて触ると手が腐ると言い、ヘムレンさんは気持ちをよくするため枯葉をかき集めていると、二人はちょっとした言い合いになりました

 

おかしな人たちばかり」とミムラ姉さんは思いました。

 

ミムラ姉さんは家のいつも使っていた部屋に入り、外の言い合いは続いていました。

窓越しにスナフキンが来たことが見えました。

 

スナフキンが外にいるみんなに挨拶したら元戻りして橋の横にテントを張りました。

スナフキンは疲れて眠ったようです。

 

ミムラ姉さんは暖かい布団に入り、夜にフィリフヨンカが食事を作ることを待ちながら眠りました。

 

 

 

冬眠しているムーミンのご先祖様

夜になり、フィリフヨンカとヘムレンさんはまたケンカしていました。

食事も食後の片付けも女の仕事なので、フィリフヨンカがやるべきだとヘムレンさんが言ったので、フィリフヨンカが不快になっていました。

 

実にフィリフヨンカは食事も食後の片付けも喜んでやってくれるのに、他人に指図されたくなかっただけです。

 

食事が用意されず、フィリフヨンカはお腹を空かして眠り、ヘムレンさんはスナフキンのテントに入り込み、ミムラ姉さんとスクルッタおじいさんは自分で食糧部屋で食べ物を探して食べていました。

 

ミムラ姉さんはスクルッタおじいさんにご先祖様の話をしたら、自分よりもはるかに年上の人がいることに驚き、見るためにストーブに行きました。

しかし、ご先祖様はストーブの中から出て来ず、反応もありませんでした。

スクルッタおじいさんはもしかしたらご先祖様のためにパーティーを開いてあげればご先祖様は出てくるのではないかと思いつつ眠りました。

 

※写真出典書籍:『ムーミン谷の十一月』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、鈴木徹郎/訳、1984年発行

 

寂しい心はおしゃべりになる

消えかかった秋の夜は足ふみをして遠い夜明けを待つ間に海から霧が流れ込んできました。

 

スナフキンのテントで寝て起きたヘムレンさんはこの日の朝すごく話が多かったです。

二人はコーヒーを飲んで海辺の桟橋に行き、ヨットの話をたくさんし、ヘムレンさんはスナフキンに「素晴らしい朝だったね」と言って一人でムーミン屋敷に戻りました。

 

フィリフヨンカはムーミン屋敷の中にいて髪が湿っぽいと感じ、大掃除が必要だと思ったら目まいになり、ベランダに出ていきました。

そうしたらみんながベランダにいました。

 

続く。

 

※参考書籍:『ムーミン谷の十一月』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、鈴木徹郎/訳、1984年発行

 

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