5分で読むムーミン小説:ムーミンパパ海へいく(5)

公開日:2018年4月18日  更新日: 2019年11月30日 関連分類:

翌日の朝に起きたムーミンパパはカレンダーを探していました。

日付を知らないといけないとか、観察したものをちゃんと記録しないといけないとか言っていました。

 

ムーミンはムーミンパパの行動にうんざりして家を出ていきました。

ムーミンは自分の空き地で生活すると決め、ムーミンママに伝え、寝袋とカンテラを持って行きました。

 

ムーミンは毎日カンテラを持って海辺に行き、モランに明かりを見せていました。

モランが島に上がってムーミンママの花園を壊さないためです。

 

 

 

 

生きている黒池と不思議に変化する島

ある日、突然ムーミンパパは帰ってきて叫びました。

「黒池なんだ!生きているんだ!急いでみてきてご覧!」

 

みんなが黒池を見て、確か水面は上がったり下がったりしてまるで深いため息でもついているみたいでした。

ムーミンパパは考えながらノートを取り出していると、ムーミンママは言い出しました。

「みんなで楽しいピックニックにいくのにちょうどいい時期よ」

 

ムーミンパパが聞きました。

「どうしてそんなことが考えられるんだ。」

 

「なんだか、危険が近づいてくる予感がするのよ。今すぐピックニックに出かけないと、何が起こるか分かったものじゃないわ。」とムーミンママが返事しました。

 

 

みんなは集まり、準備し、大変な手間をかけ、冒険号を黒池から引き揚げ、島の北西の沖にある大きいな岩礁に船を漕いでいきました。

 

濡れた岩に這い上がり、バスタオルを広げてコーヒーを沸かしました。

コーヒーが沸いたことから霧雨が降り出しました。

 

それでもみんなはピックニックを続け、海のことや島のことなど話していました。

ムーミン谷のことには触れませんでした。

 

灯台の島に帰ってきたら、島が変わりました。

みんなはそれを感じたが、本当はよくわからなかったのです。

 

翌日ムーミンママは壁に花の絵を描き始めました。

バラ、千寿菊、三色すみれ、芍薬など。

 

うみうまへの気持ちをあきらめるムーミン

ムーミンはいつもの通りカンテラを持って砂浜に降りていきました。

モランは来なかったが、黒池のほうから水遊びの音がしたので、見に行ったら2頭のうみうまが遊んでいました。

 

※写真出典書籍:『ムーミンパパ海へいく』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、小野寺百合子/訳、1990年発行

 

「ねえ、ふとっちょの、うにちゃん、毎日私の絵を眺めてるんだって?」と1頭が言いました。

「うにじゃないわよ。この子はたまごだけぼうやよ。それに嵐になったら私を助けてくれると約束したのよ。ママのために貝殻を集めている卵の形をしたキノコのぼうやよ。ねえ、かわいいじゃない!かわいいわ。」ともう1頭がとがめだてして言いました。

 

ムーミンは岩の上で空を眺めました。もう自分だけのうみうまを考えることができませんでした。

ムーミンはただもう静かに眠りたいと思いました。

 

島と新しい生活に対するムーミンママの本当の気持ち

ムーミンママは家の壁に花や木の絵を描き続けていました。

「岩や海は描かないの?」とムーミンパパが言ったら、「この絵には岩も海もないもの」とムーミンママは答えました。

 

一人になったムーミンママは外の鳥を見ながら言いました。

「元のうちに帰りたいな。もう、こんな恐ろしい荒れ果てた島や、意地悪な海を離れて家へ帰りたいな。」

 

※写真出典書籍:『ムーミンパパ海へいく』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、小野寺百合子/訳、1990年発行

 

ある日から秋の南西風が吹き始めました。

ムーミンはムーミンママを連れて自分の空き地を案内し、空き地でうみうみのことを話しました。

 

「うみうまと友達になるなんでできない相談だと思うわ。だけど、だからと言って失望するこてゃないのよ。綺麗な鳥とか美しい景色を見るのと同じに、うみうまを見ることができたらそれで幸福だと思えばいいんじゃない。」

とムーミンママは言いました。

 

ムーミンママを灯台に送ったら、ムーミンは空き地に戻る途中にモランが島に上がってうろついているのを見かけました。

自分とカンテラを探しているだろうと思いながらも、今晩は自分の家にいたいと思い、カンテラを見せなかったです。

 

ただ一晩で島中の植物が……!

夜の明け方、ムーミンはぞっとして目を覚まし、寝袋の中に閉じ込められて息が詰まりそうでした。

何かに押さえつけられ、手足を外へ出すことができなかったのです。

 

 

やっとのことで寝袋のチャックを開け、出てきたら、不思議な光景に包まれていました。

世界中が変わってしまったようで、木々は夜に根を引き抜いてムーミンを石かなんかみたいに踏み越えて飛び越えていこうとしていました。

出入口のトンネルは全部ふさがり、空き地は空っぽになってなくなりました。

 

もしかしたらモランが近づいてきたことを怖がって木々が逃げようとしたのかもとムーミンとリトルミイは考えました。

 

 

朝食後、ムーミンパパは灯台守の岩棚の上に腰かけて自分のノートを見ていました。

書き残した「事実」が少なくて「仮説」だけはたくさん書かれていました。

海はちっとも規則に従わないと知りながらも海の不思議を突き止めて解決してやろうと決心しました。

そうしたらムーミンパパは海をすきになれ、自尊心を保つことができるでしょうからね。

 

続く。

 

※参考書籍:『ムーミンパパ海へいく』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、小野寺百合子/訳、1990年発行

 

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