5分で読むムーミン小説:ムーミンパパ海へいく(6)

公開日:2018年4月19日  更新日: 2020年01月02日 関連分類:

ムーミンママムーミンパパは、森が確かに灯台に近づいてきていることを午後になってからやっと気が付きました。

 

「これは一体どういうことなの。」ムーミンママムーミンパパを見ながらささやきました。

ムーミンパパはパイプを噛み噛み、必死になって何かしら説明を見つけようとしました。

わしにはわからん。」と言わされるのはつらいことでした。

 

ムーミンパパはムーミンと一緒に海のことを深く考えました。

なんの規則もない海は生き物に違いない、海を理解することは不可能という結論に辿り着きました。

 

※写真出典書籍:『ムーミンパパ海へいく』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、小野寺百合子/訳、1990年発行

 

突然襲ってくる嵐で漁師が大ピンチ!

突然たくさんの鳥が空を舞い、一瞬にして島を離れていきました。

次の瞬間、波は大きく口を開けた竜のように島の西の岬を飲み込みました

波が漁師の小さなセメントの家を飲み込んでさらっていきました。

 

ムーミンパパムーミンリトルミイの3人はお互いにロープで結び合い、救助に向かいました。

漁師は自分のひっくり返ったボートの下に隠れていました。

 

漁師を連れ帰る途中に、ウィスキーの大箱が波に乗って寄せてきました。

ムーミンパパはムーミンと一緒に重い箱を岩に引き上げ、漁師をウィスキーで少し体力を付けました。

 

漁師はムーミンママが持ってきた服を着替えたが、灯台に入ることを嫌がり、ムーミンママが「うち」へコーヒーの誘いを断って茂みの中に逃げて消えました。

 

その夜みんなはご飯を食べて絵合わせパズルゲームを続けました。

みんなは木々が動いたことを話しながら、ムーミンはカンテラを持って海辺へロープを拾うことになりました。(実はムーミンパパとムーミンママに内緒でモランにカンテラの光を見せに!?)

 

 

動く、変わる、響く島は生きている!

島は一晩中動いていました。

漁師は冒険号の船底に丸くなって転がっていました。

 

ムーミンパパはボートを見に行くと漁師を見つけ、話しかけてみました。

それで、漁師は明日に誕生日を迎えることがわかりました。

 

帰り道にムーミンパパは灯台岩がどこか変だと感じ、よく見ると岩はまるでしわが寄っていく肌のようにほんの少しずつですが、縮んでいるところでした。

島が目を覚ましたのです。

 

ムーミンパパは耳を傾け、緊張し、寒気が背筋を通り過ぎました。

深い地の底からかすかなゴツンゴツンという音がしてきました。

ムーミンパパはヒースの中に横になって耳を地面に押し付けると島の心臓がうなっているのが聞こえたのです。

島は生きている!とムーミンパパは思いました。

 

ムーミンパパは家に戻り、家族に漁師の誕生日のことを伝え、みんなで誕生日パーティの話をしました。しかし、島のことは話さなかったです。

 

夕方、ムーミンはドラム缶からカンテラに灯油を注ごうとしました。

しかし、灯油はもうなくなりました。

ムーミンパパとムーミンママは灯油がもうないことを信じられないが、たきぎとストーブで何とかするしかありませんでした。

 

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ムーミンのために踊るモラン

ムーミンはカンテラを持たずに海辺に行きました。

モランはそこにいました。

カンテラも明かりもなかったが、モランムーミンが来てくれたことを喜び、踊りました。

踊り終わったらモランは海辺から海へ遠ざかっていきました。

ムーミンが砂を触ると、普段の通りで硬く凍っていませんでした。

 

漁師の心変わりと正真正銘の灯台守

翌日、漁師の誕生日の朝に島は落ち着きました。

ムーミンママリトルミイと一緒に漁師を迎えに行き、漁師を家に連れてきました。

誕生日祝いのテーブルは真っ白いテーブルかけと、緑の小枝で飾られ、3本のろうそくのあるケーキが置かれていました。

 

※写真出典書籍:『ムーミンパパ海へいく』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、小野寺百合子/訳、1990年発行

 

漁師は受け取ったムーミンパパのシルク帽子をかぶり、鏡に見入りました。

漁師は振り返ってムーミンパパを見て言いました。

「やあ、思い出したよ。俺たちは帽子を間違えてたね。」

二人は帽子を取り替えました。

 

灯台守が戻ってきたのです!

 

ムーミンママは灯台守に自分の描いた絵を紹介し、島の地図もこれから描こうと話しました。

灯台守は大きくうなずきました。

 

ムーミンパパはウィスキー箱の話を言い出し、もうじき風は止むかを尋ねました。

「さあね、南西風の強いやつが吹き出したら何週間かかるかわかったもんじゃないよ。お前の箱はそのままちゃんとあるさ」と灯台守が返事しました。

 

ムーミンパパはボートのことを心配していましたが、灯台守が言いました。

「心配ないさ。今は新月なんで、潮はこれ以上高くならんさ」

 

今夜は灯台のてっぺんで寝ると言って灯台守は上がりました。

 

ムーミンパパは岬に向かって歩いていきました。

ムーミンパパの心配は全て掻き消えてしまい、耳の端からしっぽの先まで生気が溢れてきました。

 

ムーミンパパは振り返って自分の島を見渡した時、海に向かって一筋の白い光がさしているのを見ました。

 

その光は、長い規則正しい波となって、遠い水平線のほうへ動いていっては、また海岸のほうへ戻って来るのでした。

 

明かりがついていたのです!

 

終わり。

 

※参考書籍:『ムーミンパパ海へいく』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、小野寺百合子/訳、1990年発行

 

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