5分で読むムーミン小説:ムーミン谷の仲間たち(1)

公開日:2018年2月28日  更新日: 2020年01月02日 関連分類:

ムーミン童話小説全8巻もいよいよ6巻目になります。(別巻も入れると、7巻目になりますね)

 

今回は『ムーミン谷の仲間たち』のダイジェスト記事をご紹介します。

 

和訳のタイトルはムーミン谷の様々な人々を紹介するような内容ですが、英語のタイトル『Tales from Moominvalley』だと単純にムーミン谷で起こった様々な物語を述べていくような感じで少し違って実に英語のタイトルが内容に近いと思います。

 

『ムーミン谷の仲間たち』一作では他のすべての前作と異なり、お互いに関係しない9つのミニストリーで構成されています。

 

ストリー(1):春の調べ(スナフキンの一人旅)

3月末の良く晴れた穏やかな日に、林は気持ちよく、お天気は素晴らしく、スナフキンはリュックを背負って北へ北へとムーミン谷に目指して歩いていました。

 

彼は歩きながら春の調べを考えていました。歌はほぼ出来上がり、あともう少しを夜に吟味すれば絶対に完成できると思っていました。

完成したら、この歌をムーミン谷の橋で歌うとムーミンは必ず近寄って喜ぶでしょう。

 

そう考えるときに綺麗な小川に近づき、その小川の音も調べに入れたく、小川の近くでキャンプファイヤを起こし、食事を作ったりたばこを吸ったりしながら春の調べを考えました。

 

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スナフキンの一人旅に踏み込んだはい虫

その時、1匹のはい虫が近づいてきて言いました。

「あなたのことを知っているよ。スナフキンでしょう。いつも世界中を旅して春になるとムーミン谷に行くでしょう」

「火にあたってもいいですか?スナフキンのたき火にあたった初めてのはい虫で幸せです」

「リュックにハーモニカ入っているでしょう。もしよければきれいな音楽を聴きたいな」

 

 

たくさん話してきたはい虫によって一人でなくなったスナフキンは機嫌を損ない、短い答えしかしませんでした。

「いいよ」

「そうだよ」

「きみの名前は?」

 

はい虫には名前がないので、スナフキンにつけてもらうようお願いしてきました。

「『ティーティーウー』はどう?はじめは明るく終わりは少し悲しそうな感じで」とスナフキンは考えて答えました。

 

それを聞いたはい虫は静かにその新しい名前をとても悲しそうに叫んだのです。それからちょろちょろと藪の中に消えてしまいました。

 

※写真は書籍より撮影して引用:『ムーミン谷の仲間たち』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、山室静/訳、1990年発行

 

「おい、戻っておいでよ」とスナフキンが呼んでも反応がありませんでした。

 

翌日スナフキンはムーミン谷に向かって一日中歩き続けました。

しかし、歌のことは全く考えられず、思い出したのは全てはい虫の言葉でした。

気分が悪くなり、「こんな気分になったことは一度もないぞ」と言いました。

 

ティーティーウーのことが気になるスナフキン

結局、スナフキンは逆戻り、はい虫を探しに戻りました。

はい虫をいくら呼んでも見つからず、新月に願いをかけました。

 

そうしたら、ようやくティーティーウーに会えました。

「ティーティーウー、おしゃべりをしたくて戻ってきたよ」とスナフキンが言いました。

ティーティーウーはうれしくてスナフキンに自分の名札を見せました。

 

 

それからスナフキンは色んな話をしようとしたが、ティーティーウーに言われました。

「今は自分に名前があり、これから起こる全てのことがこの名前を持つ自分に意味があります。色んなことをやっていくのは忙しいので、お話は夜遅くてもいい?」

「ふうん、よし、わかった」とスナフキンが返しました。

 

その夜、スナフキンの帽子の下に春の調べは動き始めました。

第一部は憧れ、第二部と第三部は春の悲しみ、それからはたった一人でいることの大きいな大きいな喜びでした。

 

 

ストリー(2):ぞっとする話(ホムサの想像の世界とリトルミイ)

庭の中でホムサ家族の末から2番目の子が弟の赤ちゃんホムサを連れて庭の垣根の傍を這っていました。

彼らは敵がいないかを見回しながら前へ進んでいました。

 

大草原に出たら、敵が数え切れないほどいました。

弟の赤ちゃんホムサは家に帰ろうよと言ったが、ホムサはそれを無視し、弟を置き去りにして自分が前に進め続けました。

 

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ホムサはある大きいな溝に入って進めると、果てしない沼地に出て、南極まで来たのではないかと思いました。

その後、恐ろしいことに幽霊馬車が走って来ること、泥蛇がいること、生きたキノコのことなどを思い出しました。

そして、弟は絶対泥蛇に飲み込まれたと思いました。

 

弟を救いたく、彼は家に向かって走り出しました。

家に着いてお父さんに弟が泥蛇に食べられたことを話したら、ホムサのお父さんは言いました。

「赤ちゃんは庭に座って砂を食べているのではないか?こいつ、うそをついちゃいけないってあれほど言って聞かせたのに!」

 

※写真は書籍より撮影して引用:『ムーミン谷の仲間たち』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、山室静/訳、1990年発行

 

「ぼく、嘘なんかつきやしないよ」とホムサが言いました。

「赤ちゃんはそこにいるじゃん」とお父さんが返しました。

「わあ、素敵!パパだって嬉しいでしょう!赤ちゃんが無事で」とホムサが言いました。

 

結局お父さんから夕飯抜きの罰を与えられ、ホムサは腹が立てて家を出ていきました。

 

続く。

 

※参考書籍:『ムーミン谷の仲間たち』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、山室静/訳、1990年発行

 

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