5分で読むムーミン小説:ムーミン谷の仲間たち(7)

公開日:2018年3月22日  更新日: 2020年01月02日 関連分類:

病院から戻ってきておばさんは考えました。

「若い時にアマゾン川を探検したみたいと思ったこともあったし、孤児達に大きくて綺麗な家を建てようと考えたこともあったし、噴火した山に登ることや友達全部を集めて大パーティーをやることも思ったが、今になっては全て手遅れになってしまったな」と。

 

ある晩、彼女は寝どころについて家に綺麗に並んでいる家具や品物を見渡しました。

それで自分がもうすぐこの世から去ることになんの慰めにもならないモノたちの中にいて、なんとなく息が詰まりそうになりました。

 

と彼女にふっとおかしそうな考え方が浮かび上がり、彼女はベッドから起き上がりました。

「持ってもものを全部人にやっちまおう!」

 

スニフが「なんだ、ばかばかしい」と口を挟んだが、スナフキンにとりあえず黙って話の続きを聞け!と言われました。

 

商品ページ:幻の ムーミン シート: スナフキン / ヴィンテージ品 / フィンランド 北欧

 

「彼女はどんな人にどのようなものを送ろうかと考え始めた。この人にこのものを送ると喜ぶかな、この人にこのものをあげると役に立つかなとか考え始めたらだんだん楽しくなってきた」

「しかも、彼女は人に驚かすのが好きで、ものを全て小包で送り、自分の名前や住所を書かなかった」

 

「それで彼女の家にあるものがどんどん減り、大きいなベッドしかなくなったよ。そのベッドが大きくて何人が家に訪ねてきても一緒にそのベッドに入ることができた」

「みんながベッドで色んな話をしていてとても楽しかった。おばさんはあるとても面白い話を聞いて大笑いしていたらお腹にある骨が口から出てきた」

 

※写真は書籍より撮影して引用:『ムーミン谷の仲間たち』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、山室静/訳、1990年発行

 

スニフがまた口を挟んできました。

「おばさんがかわいそう。結局ものを人に送ったって無駄じゃん。死ななかったし」

 

スナフキンは話を続けました。

「お前は馬鹿な小さい獣だよ。おばさんは全部の持ち物を一つの面白いお話にしたんだ。それからおばさんはパーティーを開き、孤児院を建て、深海に潜るには年を取りすぎていたが、火山は見物したし、アマゾンへも出かけたんだ」

 

スナフキンの話が終わったが、スニフはあまり変わりませんでした。

ある日スニフはガフサ夫人の娘に道に捨てられたセドリックを拾い戻し、セドリックを可愛がり続けていました。

でも、おかげでスニフの評判や名誉は高まったようです。

 

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(9)もみの木(とムーミン一家のクリスマス)

『ムーミン谷の仲間たち』一作の最後の話は「もみの木」です。

それでは、最後の話を見ていきましょう。

 

ヘムルの一人(ヘムルは種族名でたくさんのヘムレンさんがいます)がムーミン屋敷の屋根に登り、雪をかき落とし、屋根の窓からムーミン屋敷に入りました。

彼は冬眠しているムーミン一家に叫びました。

「クリスマスが明日にもやってくるのに、きみたちはまだ寝てるの!」

 

ムーミンは吹き込まれた冷たい風で目を覚まし、すでに春になったと思いました。

「春ではなく、クリスマスを言ってるんだ。みんなが『あなたたちを雪から掘り出せ』と私に言ったから来たのよ」とヘムレンさんが言いました。

 

 

ムーミンはムーミン屋敷にいるみんなを起こし、外の銀白の世界に出ていきました。

みんなが雪にびっくりしたが、ムーミンだけは冬を知っていましたね。

 

一人のヘムレンおばさんが通りかかり、ムーミンたちに言いました。

「きみたちはようやく目を覚ましたね。もみの木を早く用意したほうがいいよ」

言ったらすぐに忙しくてどこかに行ってしまいました。

 

何のためにもみの木を用意するかも知らずにムーミンたちはガフサ家の庭にある一番使い道がなさそうなもみの木を1本切り倒し、持ち帰ろうとしました。

途中に忙しそうなガフサ夫人に出会い、もみの木の使い方を聞いてみました。

「もみの木の使い方?ああ。。面倒なことだな。。もみの木をまだ飾り付けていなかったわ」とガフサ夫人が言いながら行ってしまいました。

 

※写真は書籍より撮影して引用:『ムーミン谷の仲間たち』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、山室静/訳、1990年発行

 

そう聞いたムーミンたちはもみの木を自分の庭に立て、自分の大好きなものを家から取り出してもみの木に飾りました。

しかし、この時ムーミンたちはもみの木を飾るのは何かの危険から自分の身を隠すためのものと勘違いしていました。

 

今度ヘムレンおばさんがまた別の方向から急いで歩いてきてムーミンたちのもみの木を見てこう言いました。

「もみの木を飾る趣味はちょっと他の人と違うね。ところで、私はクリスマスのご馳走をまた用意していないわ。。。

「クリスマスのために御馳走?その人は食べるの?」とムーミンは思いました。

 

ムーミンママは大急ぎでたくさんの料理を作りました。

たくさんの料理を全てもみの木の周りに並びました。

 

また、ムーミン谷の他の家の窓を見ると全てろうそくがともされていたので、ムーミンたちももみの木の周りにろうそくをともしました

 

 

 

 

暫くすると谷間のすべてがひっそりと静まりました。

たぶんみんなは家に戻って来るべきものを待っているだろうとムーミンたちが思いました。

 

その時、ムーミンたちを起こしたヘムレンさんが大きいな荷物を持って通りかかりました。

ムーミンたちが話を聞くと、ヘムレンさんはプレゼントを配っているところだそうです。

 

ヘムレンさんはすぐに行ってしまったので、詳しい話も聞けずにムーミンたちはまた急いでプレゼントを用意しました。

 

薪小屋の陰から小さなはい虫と彼の家族や親類が出てきてムーミン屋敷に近づきました。

「クリスマス、おめでとう」とムーミンたちに言いました。

 

初めて近くて飾られたもみの木を見たはい虫たちは感動しました。

ムーミンたちは全てのものをはい虫たちにあげることにし、自分たちは家に戻ってクリスマスが来るのを待つことにしました。

 

※写真は書籍より撮影して引用:『ムーミン谷の仲間たち』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、山室静/訳、1990年発行

 

はい虫は大喜びで飾られたもみの木をじっくり見て、御馳走を食べ、プレゼントをもらいました。

家の中で夜中までクリスマスを待っていたムーミンたちに何も起こりませんでしたので、ムーミンはこう言ってみんなと応接間に戻って春までもうひと眠りをすることにしました。

 

少なくとも、ぼく、クリスマスなんかこわくないや。きっとヘムレンさんやヘムレンおばさんやガフサ夫人は何か考え違いをしてるんだと思うな

 

※参考書籍:『ムーミン谷の仲間たち』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、山室静/訳、1990年発行

 

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2.雑貨と現地ツアーに通じて幸せを増やしたい

「フィンランドと日本の交流を促進し、人々により幸せな生活をして頂く」という目的を果たすため、キートスショップ現在は「フィンランド雑貨販売」と「ヘルシンキ現地ツアー」の2軸で事業を展開しております。フィンランドの雑貨が好きな方により良い製品、より早く、より良い価格でご提供し、フィンランド雑貨をお客様が手に取る際の喜びを想像しながら事業を運営しております。また、実際にフィンランド・ヘルシンキまで旅をされた方々にはフィンランド文化の核心価値を実際にご体験頂けるヘルシンキ現地ツアーをサービスとしてご提供しております。

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