5分で読むムーミン小説:ムーミンパパの思い出(3)

公開日:2018年1月25日  更新日: 2020年01月01日 関連分類:

まさか救い出した人が捨てこホームのヘムレンおばさんとは!(詳細はムーミンパパの思い出(一)をご覧ください)

 

突如のことにムーミンパパは思わずしっぽを45度の角度に立ててしまいました。

 

冒険に真逆なヘムレンおばさんが突如に登場!

海のオーケストラ号に乗船したヘムレンおばさんはすぐにヘムレンおばさん式ルール(ヘムレンおばさんが思うちゃんとした生活のこと)を導入しようとしていました……

 

コーヒーを飲んではいけません(手が震えるから?)

ごはんはオートミール。

教育遊び。しつけ。

 

フレドリクソンは気圧計を見ることを言い訳に操舵室へ逃げ込み、ヨクサルは自分のパイプが海に捨てられることを心配し始め、ロッドユールは「モランが戻ってくるといいが」とまで言いました。

 

困った三人が日よけテントの中で話し合っている最中に、変な音が出てきました。

「ニブリングだ」とフレドリクソンが言いました。

※ニブリングは川口などで生息し、群れで行動する習慣を有する動物です。大体大人しいですが、見たものをかじる習性があります。特にでかい鼻です。

 

ニブリングは船の周囲に集まり、船が動けなくなりました。

ヘムレンおばさんは「勉強が邪魔される」とのことでニブリングを叩いたが、逆に何千ものニブリングが船を上り、ヘムレンおばさんを運んでいきました。

 

今回さすがにムーミンパパは助けに行きませんでした。

※商品ページ:ムーミンエコバッグ:ムーミン原画(ブラック) / Blue House / フィンランド 北欧

 

ムーミンパパの冒険の旅に新しい仲間が加わる?

3人は岩だらけの浜べにつきました。

いかだを下ろし、3人は岩の上に並んで座り、海に出るニョロニョロ達を見ていました。

 

明日どうするかを投げ銭で決めようとすると、コインとして使われたボタンがロッドユールが顔を近づけすぎて髭によって落ちて岩の隙間に落ちました。

それでヨクサルはとりあえず寝ることとして3人は船で寝ました。

 

気圧計の箱から何か変な音が出て、起きたら海のど真ん中にいました。

錨綱が切れたようです。

 

そうしたら一匹の小さいニブリングが出てきました。

新しい歯が生えるので、何かをかじらないといけなかったそうです。

 

それで、小さなニブリングが冒険に仲間に加わりました。

 

※写真は書籍より撮影して引用。参考書籍:『ムーミンパパの思い出』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、小野寺百合子/訳、1990年発行

 

ムーミンママたちに急接近した不思議な雲

船はひたすら海の旅を続け、まっすぐに進んでいきました。

 

午後3時ごろ、ニブリングが大きいな雲を見つけました。

その雲は船の上を通りすぎてから急に止まりました。

そうしたら何とも不気味な、不思議なことが起こりました。

 

雲が向きを変えて船のあとを追いかけて、船全体を覆いました。しかも、船の上で寝ていました。

ニブリングが雲をかじってみると、消しゴムのような味だそうで、ヨクサルは雲にくぼみをこしらえて潜り込み、ふんわりした布団のような感じになったそうです。

 

どうやら船と4人のことは気に入ったようです。

 

 

容赦なくムーミンパパ一行に襲い掛かる暴風雨

天気が徐々に悪くなり、ムーミンパパが気圧計を見ると、最低目盛りの670に針がさしています。

 

それは大きいな嵐が近づいていることを意味しています。

 

フレドリクソンは自分が作った頑丈な船に自信を持ちながらも、ロッドユールとニブリングは缶の中にいるよう指示しました。

見る見るうちに嵐がやってきました。

 

日よけテントは木の葉のように吹き飛ばされ、海の上をひらひら飛んで行ってしまいました。

海のオーケストラ号が波の谷間に落ち込んだり、また次の波に乗って揺れながら登ってきたりして、ロッドユールの缶からボタンやガーターや缶切りや釘やガラス玉やらが転がって音を出していました。

 

太陽は隠れ、地平線は消え、波は猛獣のようになり、すべてのものから敵意を感じました。

自分が海のこと、船のこと、何も知っていないことにムーミンパパは気づきました。

 

続く。

 

※写真は書籍より撮影して引用。参考書籍:『ムーミンパパの思い出』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、小野寺百合子/訳、1990年発行

 

ちょっとした変わりから生まれる特別な感覚

「私たちは、たいてい、適当に変化があって、気まぐれで、思いがけなく奇抜なものが、一番好きなのです。つまり、ちょっぴり陸で、ちょっぴり水のある海岸とか、ちょっぴり暗く、ちょっぴり明るい夕方とか、ちょっぴり寒くて、ちょっぴり温かい春とかがね。」

と書かれてありました。

 

まさに我々人間の感じることですね。

すごく違うのでもなく、全く変わらないのでもなく、ちょっと何か変わっているものが好きですよね。

 

そう思いませんか?

 

※参考書籍:『ムーミンパパの思い出』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、小野寺百合子/訳、1990年発行

 

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