5分で読むムーミン小説:ムーミンパパの思い出(1)

公開日:2018年1月17日  更新日:2020年1月1日  関連分類:

ムーミン小説・童話の第三作(別巻入れると第四作)は『ムーミンパパの思い出』です。

 

この話は、ムーミン一家がムーミン谷に住み着いてから、ムーミンパパは自分の若い時の冒険を書き残し、本にする内容です。

 

果たして、ムーミンパパの若い時はどのような冒険をしたのでしょうか?

 

 

ムーミンパパの辛い捨て子ホーム時代

小さいごろのムーミンパパは紙袋に入れられ、ムーミン捨て子ホームの階段に置かれていました。

 

このホームの経営者ヘムレンさんが維持した環境及び規則の中でムーミンパパは生活し、成長していました。

 

 

※ここのヘムレンさんはヘムリ族の一人で、『たのしいムーミン一家』に登場したヘムレンさんとは別人です。アニメの中では「ジェンおばさん」という名前で登場しています。

 

ムーミンパパは小さいごろから好奇心旺盛でどんなことに対しても「なぜ?どこで?誰が?どのように?いつ?」を考える習慣がありました。なぜ物事はこうなっているのか?なんで反対にならないのか?なぜムーミンはムーミンでヘムレンになっていないのか?とか。

 

しかし、ヘムレンさんが経営するムーミン捨て子ホームの人々は規則に沿って生活し、物事に疑問を持つような考え方がありませんでした。

 

恐らく、ホーム経営者のヘムレンさんが「規則・規律第一」という原則でホームを運営しているからでしょうね。ムーミンパパにとって捨て子ホームの生活は憂鬱な時代でした。

 

※写真は書籍より撮影して引用。参考書籍:『ムーミンパパの思い出』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、小野寺百合子/訳、1990年発行

 

自分の人生を自分の手で変えてやる決心の時

ある年の春、ムーミンパパは春の到来が来した独特な空気を吸い込み、ヘムレンさんに怒られる可能性を知りながらも海辺へ行きました。

 

滑らかに凍って光っている氷からムーミンパパは初めて自分の全身像を見ました。

 

透明な氷から海底の世界が暗く映っていました。ムーミンパパは氷の薄さを確認しながら進んでいましたが、一瞬氷が割れ、ムーミンパパは冷たい海に沈んでしまいました。

 

体の力を振り絞り、氷の上によじ登って最後に無事に家に帰りましたが、体が震えても誰一人自分になぜ震えているかって聞いて来る人がいませんでした

 

このようなことがムーミンパパに決心させました。

 

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第一歩を踏み出すムーミンパパ:家を出る

その日の夕方、ムーミンパパはお別れの手紙を書きました。

「ヘムレン様、大きな使命が、私を待っているような気がします。それに、ムーミンの命は短いのです。ですから私は、ここを出ていきます。さようなら。悲しまないでください。

私は栄冠を飾って、戻ってきます!なお、マッシュカボチャ1缶もらっていきますよ。さようなら。ふんがわりのムーミンより」

 

一晩中、ムーミンパパはマッシュカボチャを持ちながら見知らぬ恐ろしい景色の中を彷徨い歩きました。

怖くても捨て子ホームに戻らなかったです。なぜならお別れの手紙を書き残したからです。

 

ムーミンパパの新しい人生と初めての自由

歩いていると、夜が明けました。一日目の朝です。清々しい朝で、ムーミンパパの朝、ムーミンパパだけの朝でした。

 

初めて自由を手に入れたムーミンパパはとても嬉しかったです。

体を洗わせられることがなければ、時計が5時になったからというだけで食事をする必要もないです。

一日目のムーミンパパはこの特別な気分を味わいながら、自分のことを考え、手に入れた自由について考え、楽しかったです。

 

その時、ムーミンパパは有名な冒険家になろうと考えました。

朝に目が覚めると、真上に鮮やかな緑の世界を見ました。木々は目が回るほど高く、槍のようにまっすぐに、緑の天井を支えていました。すごくきれいな世界でした。

 

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家を持つムーミンパパの夢とムーミン屋敷

森を進めるムーミンパパが初めて出会った話せそうな相手はヤマアラシさんでした。

森の話、ヘムレンさんの話などを話したいのに、ヤマアラシさんはあまり興味を持ってくれませんでした。

 

少し腹立ったがムーミンパパは再び考え始めました。森は誰のものでもあるというのは自分のものでもあることです。

 

自分の場所でもあれば、自分の家を建てようではないか!と。自分の家!自分だけの家!

 

少し前の場所には小川が流れ、緑の空き地がありました。ムーミンパパはそこで自分の家のデザインを想像し始めました。一階には広い広間、二階や三階にはいくつかの部屋とバルコニー、屋上には金色の玉で飾るなど。

 

※写真は書籍より撮影して引用。参考書籍:『ムーミンパパの思い出』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、小野寺百合子/訳、1990年発行

 

金色のペンキが必要でヤマアラシに借りようとしたが、自分の想像力が強すぎで既に家は立ってあると思い込み、ヤマアラシを自分の家を見に来るよう誘いました。

ヤマアラシが来たら、当然そこに何もなく、ヤマアラシは文句を言っているようにぶつぶつ言いながら帰りました。

 

そこでムーミンパパは気づきました。家を建てると、冒険ができなくなることと、一生その親切ではないヤマアラシとお隣さんでいなければいけないこと。

ムーミンパパはそこで家を建てることを諦め、冒険を続けました。

 

続く。

 

※参考書籍:『ムーミンパパの思い出』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、小野寺百合子/訳、1990年発行

 

 

大自然・森であれば誰でも自由に入って楽しめる北欧コンセプト

「この美しい場所は、誰のものなのですか?」

「誰のものでもないの。みんなのものよ。」

「じゃあ、僕のものでもあるわけですか?」

「ご勝手に。」

森に入ったムーミンパパとヤマアラシとの会話です。

 

北欧の大自然に対する考え方が現れています。

 

大自然や森は誰が所有しているにも関わらず、誰もが自由に入り、その環境を自由に楽しむことができると北欧諸国では法律で定められています。

詳しくはこちら:フィンランドの自然享受権とは?

 

このような考え方もムーミンの物語に反映されています。

 

「大自然はみんなのもの」ですと。

 

続く。

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