260万円もらえる?フィンランドの新しい社会福祉構想「ベーシックアカウント」

公開日:2021年6月9日  関連分類:

 

社会福祉国家のフィンランドには様々な社会福祉制度が整備されています。

 

未成年者の児童手当大学生に支給される住宅手当学習手当、低所得者に支給される住宅手当、失業者への失業手当など、個人個人の状況や条件に応じて様々な補助金制度が用意されています。

 

 

しかし、様々な補助金制度が用意され、安心して生活できるとは言え、それなりの問題点はいまだに存在しています。

 

 

例えば、「大学生は早めに卒業しようとしない」「補助金の種類が多く、申請するには非常に煩雑」などの問題が存在しています。

 

 

 

 

フィンランドの大学生は早く卒業しようとしない人が少なくない

社会福祉大国フィンランドならではの問題点とも言えるかもしれません。

 

フィンランドでは学費が無料だけではなく、大学生には安い学生寮に住むことができ、国から学習手当と住宅手当をもらえることができます

 

卒業してしまうと、学生寮に住むことができなくなり、学習手当や学生向けの住宅手当をもらうこともできなくなります。

 

となると、早く卒業するよりも留年したほうがメリットが大きいと思う学生が少なくないわけです。

 

 

様々な社会福祉補助金の申請手続きは煩雑

すでに電子化社会となっているフィンランドでは様々な社会福祉補助金をネットで申請できるとは言え、種類が多く、手続きは煩雑です。

 

まずは自分の条件で申請できる補助金は何かを調べないといけません。

 

ひと通り調べたら、それぞれの補助金を個別に申請書を提出しなければいけません。

 

そして、それぞれの補助金申請に関連する書類も併せて提出必要があります。

 

更にそれぞれの補助金はそれぞれの審査を受けます。

 

問い合わせが来たら、それぞれ対応する必要があります。

 

ようやく審査が終わり、補助金がもらえるようになっても補助金によって毎年状況確認の書類を提出必要があったりします。

 

 

これらのことをネットでできるとはいえ、作業量としては軽いとは言い難いです。

 

 

 

 

フィンランドの社会福祉制度を解決する「ベーシックアカウント」構想

ITLA児童福祉協会(Itsenäisyyden juhlavuoden lastensäätiö sr.)が発表したレポート(作者:Jussi Pyykkönen, Topias Pyykkönen ja Pekka Pulli)からこれらの問題を解決するため、「ベーシックアカウント」という構想が発表されました。

 

 

このベーシックアカウントの構想はシンプルです。

(ベーシックアカウントは日本語直訳で「基礎口座」という意味)

 

 

大学生(年間25単位以上取得)もしくは年間所得15000ユーロ(約2百万円、ユーロ=130円)以上のすべて18歳以上の人に2万ユーロ(約260万円)が入っている「口座」を支給

 

しかし、この口座から毎月引き出せるお金の上限は650ユーロ(約8万5千円)です。

 

毎月の上限を越えなければ、いつにいくらを引き出したいかは自由です。

 

 

 

ベーシックアカウント構想は前述の問題を解決できると提案者は思っています。

 

口座に2万ユーロしかないので、2万ユーロを使い切る前に卒業したほうがメリットが大きいということです。

 

しかも、基本全員支給型ですので、学習手当、住宅手当、失業手当などを廃止し、これらの補助金申請手間も一括でなくなるというメリットがあります。

 

 

 

ただし、ベーシックアカウント構想はあくまでも所得の少ない大学生や若年層の人々向けで、所得の高い人は自由にベーシックアカウントからお金を引き出せるわけではありません。

 

自分の所得が500ユーロを越えたら、1ユーロ超えるごとに引き出せる上限額が0.5ユーロ減ります。

 

なので、もし大学生としてバイト収入が毎月800ユーロ(約10万円)ある場合、ベーシックアカウントから引き出す毎月の上限額が500ユーロになります。

毎月の収入が1800ユーロ(約23万円)を超えたら、ベーシックアカウントから何も引き出せなくなります

 

 

つまり、ベーシックアカウント構想はあくまでも月収23万円以下の人々向けの社会福祉構想です。

 

 

失業になってもベーシックアカウントからお金をすぐ引き出せる

例えば、仕事が今月いっぱいまでで、来月から失業になります。

 

その時に急いで失業補助金を申請する必要がなくなります。

 

来月からベーシックアカウントからお金をおろして使うことができるからです。

 

 

 

 

電子化社会のマイナンバーと紐付けられるので、新たなシステム構築を最小限にできる

ベーシックアカウント構想を実施するために必要な「所得情報」は税務署にあり、大学就学状況は大学システムにあります。

 

現在既存のフィンランドマイナンバーシステムをそのまま活用すれば、ベーシックアカウントの付与、毎月引き出せる上限額の設定はすべて自動的にでき、人工作業を最低限に抑えることができるそうです。

 

確か想像ではすぐにもできそうな構想ですね。

 

 

2万ユーロを使い切ったらどうなる?

ここで読者の皆様は気になるでしょう。

2万ユーロを使い切ったらどうなる?

 

 

260万円をただでもらえるのはうれしいけど、全部使い切ったらどうなるの?

 

 

この構想では、2万ユーロを使い切ったら、「参加補助金」がもらえます。

しかし、この参加補助金をもらうには「行動」が義務付けされます。

 

この「行動」は例えば職業訓練であったり、大学入学の準備であったり、仕事を探すことであったりします。

 

なので、ただ補助金をひたすらもらうわけではなく、何かしら資格取ったり、学位取ったり、スキル認証を取ったりしないともらえないとのことです。

 

 

そして、仕事が見つかり、収入を得始め、年間所得が1万5千ユーロを超えた時点から、月給の10%をベーシックアカウントに「自動貯金」される仕組みです。

(この毎月の自動貯金はベーシックアカウントが2万ユーロになるまで続きます)

 

 

つまり、この上限2万ユーロの口座は一人一人自分の「セフティネット」となるわけです。

 

収入がないときにこの2万ユーロからお金をおろして生活し、収入がある時にこの口座に自動(強制)貯金するということですね。

 

 

 

 

まとめ:読者のあなたはどう思いますか?

筆者はこのベーシックアカウント構想が結構面白いと思いますが、読者の皆さんはどう思われるでしょうか。

 

 

確か様々な補助金の申請がなくなり、煩雑な手続きを省けるのは大きいと思います。

 

 

この2万ユーロ(260万円)は国からもらった「自分のセフティファンド」という意味で18歳から「自分なりにうまく管理していく」ことで自由に安心して生活できるのではないかと思います。

 

 

参考:Perustili – tie kannustavaan ja läpinäkyvään sosiaaliturvaan, Jussi Pyykkönen, Topias Pyykkönen ja Pekka Pulli

 

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