フィンランドの豆スープ(Hernekeitto)文化、なぜ豆スープ?

公開日:2020年2月1日  関連分類:

情報・写真引用:Kodin kuvalehti –Perinteinen hernekeitto

 

フィンランド料理のレストランや学食などでよく出てくる「豆スープ」。

 

フィンンランドではヘルネケイット(Hernekeitto)と言って、豆は豆でもエンドウ豆から作られているスープです。

とてもシンプルで栄養価の高いスープですが、濁っていてドロっと濃厚な感じがする一見なんのスープかわかりずらい豆スープ。なので観光者に好まれるのは見たからに味が想像しやすいサーモンスープの方が断然多いことでしょう。

 

 

しかし、フィンランド人にとっては豆スープ、日常でよく食べられるスープの一つでもあります。

週に一回はこの豆スープを食べている人もいるのではないでしょうか。

 

なぜなら、フィンランドでは毎週木曜日は豆スープの日だからです。

 

 

 

 

どうして毎週木曜日は豆スープの日なのか?

日本の自衛隊の食事、曜日感覚が鈍らないようにと毎週金曜日はカレーが出されますが、ここフィンランドの軍隊の食事も毎週木曜日は豆スープが出てきます。

しかし、フィンランドの軍隊は曜日感覚が鈍らない様にと言う理由で毎週木曜日が豆スープとしているわけではありません。

 

 

多くのレストランではランチに、そして自宅、学食でも、フィンランドでは軍隊以外でも木曜日に豆スープを食べられることが多いのです。

 

日本で有名なフィンンランド料理の一つ、サーモンスープよりも豆スープの方が頻繁に食べられていると言ってもいいでしょう。

 

どうして木曜日が豆スープの日とされているのか、これはちょっとした歴史があるのです。

 

 

その昔、5世紀〜15世紀の中世ヨーロッパに起こった宗教改革。

その改革前のフィンランドのカトリック教徒の人たちにとって金曜日は断食の日でした。

そのため断食の前日には、できるだけ栄養価が高く、尚且つ満足のいく食べ物をたくさん食べて身体に栄養を蓄えておく必要があったのです。

 

 

そこで、乾燥させたエンドウ豆と塩漬けの豚肉がよく使われ、豆スープが作られるようになったのが始まりです。

この豆スープ、腹持ちがよくタンパク質が豊富。しかも、フィンランドでは比較的簡単に手に入るエンドウ豆。

 

 

しかし、本当にこんな昔のことが今でも続けられる理由になるのか?と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。

もうひとつ、違った理論が豆スープにはあります。

 

 

豆スープにうんざりしたスウェーデン国王

フィンランドの歴史、そして文化はお隣の国、スウェーデンと深い関係があります。

この「毎週木曜豆スープ」にも、もう一つ理論があるのですが、これがちょっとした昔話の様。

 

1500年代のスウェーデン、国民は税金として食糧が徴収されていた時代です。

その時代のスウェーデンの国王グスタフ1世(Kustaa Vaasa)は「毎年そういえば夏の間、毎日の様にエンドウ豆のスープを食べていたなぁ」と気付き、

 

「なんでこんなにずーーーっと毎日豆スープばっかりなんだ。もう飽きを通り越してうんざりだ!!」

 

そして国王は気付きます。税が納められる年の終わり春、民から大量の乾燥したエンドウ豆を受け取っているではないか!!だからか!!

 

 

そこで、国王グスタフ1世が取った行動、

「全ての民よ!毎週木曜日にエンドウ豆のスープを食べることを命ずる!」と豆スープ令が出されたと言うお話。笑

 

これにより、大量のエンドウ豆が消費されることとなり、国王は豆スープ地獄(?!)から解放されました。

めでたしめでたし。

 

 

それから木曜日に豆スープを食べられる習慣が今も残っている、と言うお話もあります。

 

 

 

 

豆スープはフィンランドだけではない

先ほどのお話で、スウェーデンでも豆スープが食べられていたことはわかりましたね。

 

そう、この豆スープはフィンランドだけにあるものではありません。

他の国でも豆スープはあります。

 

 

しかし、国によってその形状や味付けが違うところが面白いところ。

 

スウェーデンでは通常、黄色いエンドウ豆から作られるのでフィンンランドの豆スープと色が違います。

ノルウェーでは、サラダと同様の部類に分けられる濃厚で酸味のある冷製エンドウ豆のスープがあります。逆に温かい豆スープもあり、こちらには肉が入っていません。

 

 

イギリスでは、スープと言うよりも豆を煮込んだものに近く、豆の原型を残していてます。

ロシアでは、薫製された豚肉から作られ、豆以外にもジャガイモが追加されたりと様々。色々なバージョンがあります。

 

 

アイスランドでは、豆スープを調理する際に塩漬けラム肉が使われます。

オーストラリアでは、ミートパイと同じお皿に入れられて出されることが一般的でパイフローター(Pie floater)と言われています。

 

 

 

 

フィンランドでは豆スープにマスタード

ベースは同じエンドウ豆から作られていますが、豚肉と一緒に煮込まれることが多いフィンンランドの豆スープ。もちろん、豆オンリーの場合もあります。

お鍋でグツグツ煮込んで調理することはもちろん、缶詰タイプもスーパーでは売られています。

 

 

豆が好きな方にとっては素敵なスープですが、豆類が苦手な方からすると地獄の様なスープ。笑

しかし、これを嫌いだと言うフィンランド人はあまりいません。

 

 

フィンランドでは、このスープと一緒に食べるのはパンヌカック(Pannukakku)と言われるフィンランドパンケーキ。これに例えばリンゴンベリーのソースを添えたりしてスープと共にいただきます。

スープのトッピングには時々、みじん切りの玉ねぎを選ぶ方もいらっしゃいます。

 

 

が!ここでびっくり!!

なんとスープの上から!!

 

マスタード(Sinappi)をムニューーっとかけるんですよ!!

ソーセージじゃなく、スープにです!

 

しかし、これらが一番ベーシックな食べ方。

 

 

もし、豆類に抵抗がなければぜひフィンランドで味って欲しい豆スープ。

作る人やレストランによって味がかなり変わってきます。

 

豆が好きな人は色々なところで豆スープを味比べしてみてもいいでしょう。

その際は、マスタードをお忘れなく!

 

 

情報・引用:Iltalehti -Tiedätkö miksi torstai on hernekeittopäivä?

情報・引用:mtv-uutiset -Miksi hernekeittoa syödään torstaisin?

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「フィンランドと日本の交流を促進し、人々により幸せな生活をして頂く」という目的を果たすため、キートスショップ現在は「フィンランド雑貨販売」と「ヘルシンキ現地ツアー」の2軸で事業を展開しております。フィンランドの雑貨が好きな方により良い製品、より早く、より良い価格でご提供し、フィンランド雑貨をお客様が手に取る際の喜びを想像しながら事業を運営しております。また、実際にフィンランド・ヘルシンキまで旅をされた方々にはフィンランド文化の核心価値を実際にご体験頂けるヘルシンキ現地ツアーをサービスとしてご提供しております。

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