日本の昔のムーミンアニメ、フィンランドでは低評価のわけ

公開日:2020年1月22日  関連分類:

情報・写真引用:Muumi.com -Muumi-animaatiot: Mūmin (1969-1970) & Shin Mūmin (1972)

 

フィンランドと日本、どちらでも人気度が高いアニメ・キャラクターといえば、皆さんご存知、ムーミンですよね。

 

ほとんどの方が1990年代以降に放送された、新しい方のムーミンアニメを思い浮かべる事でしょう。

もしくは、最新の2019年から放送されたムーミンの方かもしれません。

 

 

ムーミン大好き!という方はご存知かもしれませんが、実は1970年代の変わり目にも日本ではムーミンが放送されていました。

 

この初期のムーミンアニメ、実はフィンランド国内では殆ど知られてはいません。

少なくともフィンランドの子供達は知らないことでしょう。

 

それゆえに、「知っていますか?」と言う内容でメディアに取り上げられることも。

フィンランド人にとっては本来のムーミンとは全く違うイメージ、とても奇妙で時には恐ろしく感じると言われています。

 

さて、これらのイメージは特にどのようなところに現れているのでしょうか。

 

 

※結構なマイナス評価の記事内容を書いていますのでお読みになりたくない方はこちらをどうぞ。。。

ムーミンが生まれた瞬間:原作者トーベ・ヤンソンが描いたムーミンの原形

 

 

トーベ・ヤンソンが許さなかった初期のムーミンアニメ

1960年から1970年の間に、日本で制作された、「ムーミン」。

ナレーションは今は亡き、女優の岸田今日子さんでした。

このアニメをリアルタイムで見ていたという方には、「岸田今日子がナレーションのムーミン」といえばこの初期のムーミンだとピンとくることでしょう。

 

 

実は、フィンランドでこの初期ムーミンアニメが有名ではない理由、それは日本国内だけで放送されていたからという理由もありますが、

 

ムーミンの原作者、トーベ・ヤンソンにとっては結構不愉快なものでした。

そう、彼女自身も日本国外での放送は百歩譲ってギリギリ認めたものの、その他の国での放送は許可しませんでした。

 

それだけ本来のムーミンの世界が歪んで表現されていたと言うのです。

 

 

初期のムーミンアニメでは、現金で買い物することができ、フローレンの兄であるスノークが運転する自動車も登場したりと、自然豊かなムーミン谷であるべき姿が都会のようになってしまっているとトーベ・ヤンソンは感じたようです。

(「フローレン」という呼び方も日本のアニメにしか存在していません。正式名は「スノークのお嬢さん」です)

 

 

現在では、スナフキンの持つ楽器はハーモニカですが、初期アニメではギターを弾いていました。

これも原作にはない話。

 

フィンランドではニースクネイティ(Niiskuneiti)という名のフローレン、彼女の名前も「ノンノン」と言う、現在とは全く違う名前がつけられおり、これにはトーベ・ヤンソンもお怒りだったようです。

なぜなら、英語の否定的な「NOn NOn」を連想させるからと言う理由でした。

 

 

更には、本来ムーミンママがどんな自体が起きても肌身離さず常に持っていなければならない大切なバッグが初期アニメではありません。

 

それどころか、トーベ・ヤンソンの作品には出てこない人間がアニメには何度か登場するのです。

 

 

 

 

日本の初期のムーミンアニメは子供向けじゃなく大人向け

「おさびし山でムーミンたちがパブで酔っぱらう」なんてどう言うことか!?とフィンランドでは奇妙に思われたりする初期のムーミンアニメ。

 

 

度々、暴力的な場面が出てきて全体的に暗いところもフィンランドでは批判を浴びる点となりました。

特にリトル・ミイ(ちびのミイ)は従来のムーミンシリーズよりかなり暴力的で冷血なキャラクターです。

 

 

ですので、本来は子供へ向けた夢のあるムーミンの物語。

フィンランドのメディアではこの初期ムーミン、「子供向けではなく大人向け」と言われて紹介されています。

 

それはそれはもう踏んだり蹴ったりの評価となってしまった初期のムーミンアニメ。

残念でなりません。

 

 

そしてこのシリーズのアニメーターチームの中には、日本のアニメ界の神様的存在、宮崎駿がいました。

この事もメディアではちゃんと紹介されています。

現在ではフィンランドでも名高い宮崎駿。「となりのトトロ」は子供から大人までいい評価を得ているので初期ムーミンとの評価の差がちょっと驚くところでもあるのでしょう。

 

 

 

 

90年代以降のムーミンアニメは高評価されている

初期のムーミンを知る方からすると、ガラッと設定が変わっている90年以降のムーミンアニメ。

 

それもそのはず、トーベ・ヤンソンの弟であるラルス・ヤンソン(Lars Jansson)もこのアニメ制作に協力した、と言うのは大きな変化の理由でしょう。

この方の協力によってムーミンの世界観、そしてキャラクター設定、全てにおいて原作に近いものとなり、柔らかいイメージが前面に出ることとなりました

 

 

日本でも、再放送が何度もされ、フィンランドでも未だにテレビ番組で放送しています。

それも、フィンランド語・スウェーデン語のどちらの言語ででもです。

 

 

オープニング、エンディングの歌は日本と違うものの、その他は全て日本で放送したアニメと同じです。

 

この新しくリニューアルされたムーミンアニメにより、フィンランドと日本を繋ぐ、それはそれは大きな絆が生まれたことは確かです。

 

 

 

 

個人的にはどちらも違ったおもしろ味があっていいと思う

トーベ・ヤンソンの描いたムーミンの世界観はとても大切です。

しかし、いち視聴者として、私個人では「どちらも面白い」と思っています。

 

 

アニメの物語としてそれぞれ面白いと言うこともありますが、

その中でも原作自体にちゃんと深い物語がある上で、こんなにも「見比べることができる」そういった意味では違う角度からの面白さも発見できます。

 

 

残念ながら、原作者トーベ・ヤンソン、そしてフィンランド国内では異様に感じられる初期のムーミンアニメとなってしまいましたが、このマイナス評価があったからこそ、新たな、それも最高のムーミンアニメがまた作られるきっかけとなった作品でもあります。

 

 

情報・引用:Yle.fi -YLEX -Tiesitkö? 1970-luvun taitteessa Japanissa tehtiin kummallista Muumit..

 

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