日本の少子化が進み、人口が減少する時代に突入したことはもうニュースではありません。
日本の少子化には子育てや教育のコストが高い、待機児童問題、子育てと仕事の両立の難しさなどの問題が存在しています。
しかし、教育が無料で(国民やEU市民に対し)、待機児童の問題がなく、子育てと仕事の両立が日本より遥かにしやすいフィンランドでも実に少子化が非常に急激に進んでいます。
その理由には経済環境の不況や個人的に自分の人生をもっと楽しみたいなどが挙げられます。
参考:少子化の衝撃を急速的に受けるフィンランドが直面するチャレンジ 5分でわかるフィンランド
フィンランドでは少子化が急激に進んでいますが、人口はまだ減少していません。
その理由は、「移民」です。
移民の受け入れで人口を維持するフィンランド
今年2020年の1~8月の間にフィンランドの人口は約7千人増えました。
しかし、死亡数は出生数を5千人ほど上回り、人口の減少が起きずに人口が増えた理由は移民でした。
この8ヶ月間にフィンランドに移入した人が移出した人より1万2千人多かったわけです。
そして、移入した人の中でもともとフィンランド国民の人は約3分の1を占め、残りの3分の2で約1万2千人は外国人の移入でした。
フィンランドでは、移民政策が隣国スウェーデンやヨーロッパ大国のドイツほどオープンではないですが、地域の戦争によってイラク、ソマリア、シリアなどの地域から、2015や2016年前後をピークに多くの難民を受け入れていました。
(留学ブームによって卒業後に残るベトナム人の移民も多いですが)
難民としてフィンランドに移住した人の多くは4~5年経てばフィンランド国籍の申請ができ、そのままフィンランド国籍を取得し、フィンランドに住み着く人が多いです。
参考:フィンランド国籍・市民権(Citizenship)申請
現在コロナウィルスの影響もあり、フィンランドへ難民の流入は減っており、さらにフィンランド民意を受け、政府は難民の受け入れを拡大しないもしくは縮小させていく模様です。
今後フィンランドはどのような施策で人口を維持していくかに注目したいですね。
子供を産めば50万円をあげる自治体施策も
フィンランドでは少子化対策の一環として、子供を産めば50万円の補助金を出す自治体があります。
ビッラト(Virrat)というフィンランド中南部内陸にある人口わずか7千人ほどの小さな町では、人口を増やす対策として、この町で子供を産み、育てれば総額約50万円(4千ユーロ)の補助金を受けることができます。
もちろん、産むだけではなく、この町に長期的に住むことも条件の一つですので、50万円は8年間の8回に分け、毎年6万円くらい(500ユーロ)もらえるシステムです。
月で換算すると、毎月5千円くらいの給付金ですね。
ただ、知っておかないといけないのは、この給付金は自治体からのもので、国からの様々な関連補助金は別にもらえるので、自治体の給付金は上乗せという形になります。
実に、このような少子化対策施策はフィンランドで初めてではありません。
レスティヤルヴィ(Lestijärvi)というもっと田舎でもっと人口の少ない(750人程度)町ではすでに2012年から「子供を産んで10年間住めば125万円もらえる」施策を打ち出しています。
条件は似たような形で、毎年12万5千円がもらえて10年間続けるということです。
レスティヤルヴィでは、この施策は明らかな効果を収めています。
2012年までの6年間の出生数は33のみでしたが、施策実施後の2013年以降の6年間は出生数55に上りました。
成長率67%です!!
そして、直接渡す自治体補助金として1年間12万5千円となりますが、実に保育、教育、医療など様々な自治体支援費用も考慮すると、自治体が一年間一人の新生児や子供に提供した「補助金」は600万円(5万ユーロ)を超えています!!
※レート:ユーロ=125円。
少子化対策として新生児や子供にこんなに費用をかける自治体はおそらく世界を見渡しても他にないでしょう。
日本で真似できるかどうかは別として、一つ参考になれればと思います。
参考:Immigrants keep Finland gaining population
参考:Finnish town pays thousands of euros for each newborn child
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