日本で起きている「少子高齢化」はもはやニュースではなくなってきています。
少子高齢化によって浮上する問題は、国にとって税金収入の減少と社会福祉、年金システムが破綻する可能性の増加などです。
厚生労働省が発表した2017年のデータによると、日本での出生率は1.43とまで低下しています。(2005年最低記録の1.26より緩やかに回復していますが)
では、フィンランドはどうでしょうか?
北欧の社会福祉大国の一つであり、子育ての環境も世界的に優れているとされているフィンランド。
実にとても衝撃的な事実は、2018年フィンランドの出生率は日本と同等レベルの1.4までに低下したのです。
最も驚いたことは、2010年にまた1.87のレベルを維持できたフィンランドの出生率は10年足らずに1.4までに急速に低下したのです。
※フィンランド国家統計局のデータによると、フィンランド2017年の出生率は1.5、2018年の出生率は1.4です。
上記のデータを見ると、フィンランドは北欧諸国の中で出生率が最も低い国です。
2016年時点ではまた日本より出生率が高かったですが、2018年には同等レベルの1.4になってしまいました。
社会福祉や子育て環境が完備していると思われているフィンランドでは、果たしてどのようなことが起きているのでしょうか?
フィンランド経済状況の悪化が出生率に直撃
この10年間でフィンランドの出生率が急激に下落した理由の一つは「経済状況の悪化」です。
経済状況の代表的な指標の一つである「失業率」を確認してみましょう。
北欧4か国の失業率を比べると、フィンランドの失業率は最も高い国です。
フィンランドの失業率は2015年をピークに、その後徐々に低下し、経済状況は改善されているとみられます。
しかし、子供を産むという判断決定においては、すぐに一般家庭の経済状況の改善に繋がらないのも一般的な現象です。
実に同じ現象はフィンランドで1990年代にも起きました。
当時も不況によって出生率は大幅に低下したのです。
その後社会福祉制度の改善により出生率が回復しました。
当時失業手当より子供を産んで家で子供の世話をするほうがいい選択肢だったかもしれません。
しかし、今フィンランド人のカップルは一人目の子供を産む時期を遅らせています。
下記の図を見るとわかりやすいですが、子供のいる家庭は1998~2018の20年間で全体世帯を占める割合が10%も低下しました。
子供のいない家庭が占める割合が10%増加したのです。
ちなみに、事実婚(パトナーシップ)がフィンランドの婚姻関係の約26%を占めているという事実もわかります。
※フィンランド統計局より引用して作成。
独身の時期と二人のみの時期が伸びている
フィンランドでは、カップル関係になるタイミングを代表することは「同棲」です。
ちなみに、フィンランドでカップル関係になるときに「告白することが稀」です。
参考記事:フィンランド人の恋愛事情 あなたには絶対信じられないことが!?
フィンランドで初めて同棲するのは平均25歳ごろだそうです。
初めて同棲する年齢は特に変化がありません。
しかし、一人暮らしの割合が高まっています。
現在25~34歳のフィンランド人の45%もの人が一人暮らしです。
つまり、婚姻生活やカップル関係になる人は減っているということですね。
まとめ:フィンランド政府も日本と同じように少子化のチャレンジに直面している
フィンランドの財政は現在また安定しているほうですが、この少子化の状況が改善されなければ、フィンランドの社会福祉制度を支える財源はいずれ大幅に不足します。
少子化の対策となりうる「難民の受け入れ」はすでにフィンランドで数万人規模(人口の1%弱程度)で行われ、数万人もの外国人が労働力となれば、フィンランドの財政は少し助かるでしょう。
しかし、それは数万人もの外国人が「労働力となれれば」という前提です。
言語、文化など多くの問題を直面する外国人たちにも多くのチャレンジが待ち受けています。
フィンランド政府がどのように急速に下落する出生率を回復させることができるかもフィンランド在住の筆者としてみていきたいです。
参考:Finland’s fertility rate to continue to decline, against the odds
参考:Decline in Finland’s birth rate continues
参考:Record-low birth rate threatens Finland’s welfare system: Finance Minister
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