フィンランドのコロナの影響による失業者問題

公開日:2020年9月24日  更新日: 2020年09月26日 関連分類:

 

2020年、世界中を混乱させた新型コロナウイルスの影響は人体だけでなく経済への影響も大きく変えました。

 

ロックダウンになった国や都市も多く、特に人との関わりが重視されるようなサービス業界は大打撃。

 

今ではピーク時よりも改善されましたが、完全に元の生活、経済状況に戻るにはまだまだ程遠い見通しです。

 

 

 

 

ヨーロッパの中でもパンデミックを最小限に抑えられたと言われたフィンランド

ヨーロッパの中でも比較的コロナのパンデミックを避けることができたと言われているフィンランド。

 

フィンランドでは2020年3月19日の早い段階で緊急事態が宣言され、国境が事実上閉鎖、教育機関や一般的な会社は自宅にて遠隔で行われ、もちろんレストランや公共の施設も封鎖されるなどの対策がなされました。

 

参考:新型コロナウイルス・フィンランドの新しい大規模な政策とは?!

 

参考:フィンランド在住者が感じる新型コロナウイルスの影響による生活変化

 

 

フィンランドの夏の月、2020年6月を境に、徐々にではありますがロックダウン状態も緩和されてきてはいますが、それでも以前の生活のように戻れたわけではありません。

 

9月現在でもまだまだ新型コロナウイルスの影響は拭えないでいる人も多くいます。

 

 

さて、このコロナの影響で個人個人の経済的な影響、フィンランドではどのような変化があったのか?

 

失業の問題が一番身近で一番のネックではないでしょうか。

 

 

 

 

フィンランドの失業者数は40000人以上!!

 

フィンランドの雇用者数

フィンランドの統計局の労働力調査によると、2020年8月の雇用者数は前年より6万5000人少なかったと報告されています。

 

このコロナが流行り出してからの雇用率(季節調整値)では71.6%とのことですが、これは1年前の測定値では72.7%だったこともあり、減少していることがわかります。

 

特に、2020年1月以降では急激にこの割合が減ったとのことで、ちょうどコロナが流行り出してきたころを境に激減したための数字と言うことです。

 

フィンランドが緊急事態宣言を出し、6月から少し状況が緩和された後の8月ごろでは、250万人以上が雇用されたとのこと。

 

しかし、この数字にはレイオフ期間で一時的に失業と言う形であった人の雇用と言う意味も含まれているため、完全失業者が新たな雇用されたという数ではないようです。

 

 

フィンランドの失業者数

失業者数は前年と比較すると、ご想像通り増加しています。

 

2020年8月の失業者数は21万1000人。これは前年と比較すると4万2000人も増加したことになります。

失業者率では7.5%という割合になります。

 

 

日本の失業者数

ちょっと比較ができるように2020年の日本の失業者数はどれくらいなのかここで見てみましょう。

 

2020年9月時点の最新データでは、4〜7月の間のものが報告されており、

日本の完全失業者数は197万人。これは前年に比べて41万人の増加とのことで、半年連続で失業者が増加しています。

 

フィンランドと日本の人口の違いから人数ではちょっと分かりにくいと思いますので割合ではどうなのか?

 

完全失業者率(季節調整値)で割り出すと、2020年では

4月:2.6%

5月:2.9%

6月:2.8%

7月:2.9%

(データ:総務省統計局より)

 

 

フィンランドの失業基金の申請など

雇用基金は、失業基金への申請の数が昨年の8月と比較してほぼ80%増加したと述べています。

フィンランドの失業基金は8月に約23万3000もの申請を受け取りました。

 

 

報道機関に向けた雇用基金からの情報によると、失業基金は2億6000万ユーロ弱(約312億円弱)の所得関連の失業保険を支払ったとこのとで、これは2019年の8月よりも72%多くなりました。

(1ユーロ=120円計算)

 

 

しかし、雇用基金によれば2020年8月時点で、6月の申請ピーク時期に比べると約5万件減ったとのことで、7月との比較では3万人未満に減ったとのこと。

 

 

数字からは分からない、2人の専門家の意見からみえてくる実際の現状

 

フィンランドの大手銀行Danske Bankの経済管理者であるJukka Appelqvist氏は、フィンランドの労働市場のセンチメント(市場全体の心理状態)は矛盾しているとコメントしました。

 

春に雇用された多くの人々が仕事に復帰することができた、が、、、

それと同時に恒久的な失業者は増加し続けている、と指摘したのです。

 

 

全体の数字だけでは中々見えてこない現状、それは雇用の現象は最年少の年齢層と定期雇用に集中していますが、8月ではフルタイムの労働者の減少が増加しているということ。

 

「失業率が上昇すると、その回復は(失業率の減少)は簡単にはいかない。例えば、来年には元に戻るかというとそれはないと断言できる」とJukka Appelqvist氏。

 

 

また、フィンランド中央商工会議所のチーフエコノミストであるMauri Kotamäki氏は失業率の上昇を懸念しています。

 

2020年9月中旬、フィンランド政府から予算案が発表されたばかりですがこれに彼は失望したと言い、

 

この予算案がまだ実施されていなくても、フィンランド政府が国民経済を調整する方法をもう一度検討する必要がある、としています。

 

「重要なのは、75%の就職率が議会の任期の終わりに達成されるかそれより少し後に達成されるか、ではありません。」

 

とのことでKotamäki氏はこの点に関して行動する政府の能力への信頼を回復する決定を下すことが不可欠であろうと述べています。

 

更に彼はまた、その背後にあるその行動と動機を可能な限り明確にするため、政府プログラムの更新が必要とも。

 

 

どちらにせよ、二人の専門家の意見では、現時点での政府の対策や現状のままでは問題解決につながらないとし、不満を抱いていることが伺えます。

 

 

フィンランドで失業問題が一番深刻な地域

フィンランド雇用経済省の雇用サービス統計によると、8月の時点で職業安定所オフィスには33万人の失業者がおり、これは1年前と比べて40%も増加していることになります。

 

その中でも、このコロナの影響によりフルタイムの職を失った失業者は6万1000人。

この数だけでも去年と比べ5万4000人多いことになります。

 

レイオフの数は春以降減少していますが、今では6万人がまだ何もできない状態であり、新たな改善はみられません。

 

 

地方の失業者率

フィンランドの首都から離れた北カレリア地方では労働力のある失業者率は15.2%。

その他、首都圏も入る地域・北極圏のラップランド、中央フィンランド・南東フィンランドでは13%を超えています。

 

 

労働力がある人の求職者率

現在、職業安定所に登録されている失業者による求職者は、

ヘルシンキ市を含むウーシマー地方では1年前よりも60%多くいます。

これはフィンランドの地域全体から見て2番目に大きな増加が見られた地域。

 

そして最も多い失業者数を抱える地域は、フィンランドの自治領であるオーランド。

この地域では職業安定所に登録されている失業者の数が3倍以上に増えたと報告されています。

 

 

 

 

経済的な打撃を受けたこのコロナ時期、世界中で人々の生活が180℃変わってしまった世の中になってしまいました。

 

これから先、経済的な面からみる痛手はこの先まだ続きそうです。

 

これらのデータをみて、どう思われましたか?

 

日本はまだマシか?フィンランドはサポートがあるからいいね?色々な意見があると思います。

 

*フィンランドではコロナの影響に対する救済策・補助金はどのように?

こちらもご参考になることと思います。

 

参考:「透明性、具体性、信頼性」北欧小国フィンランドのコロナウィルス救済策・補助金対応から見る「国の強さ」とは?

 

 

情報・引用:Ilta-Sanomat -Työttömiä yli 40 000 lisää – ”Vielä ensi vuonnakaan ei nähdä paluuta vanhaan”

 

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