今回は「外国人移民」について、少しまじめな記事を書きたいと思います。
どの国も大体そうですが、「高い専門技能を持つ人材は歓迎だ!」と移民政策に掲げています。
しかし、過去10年間に渡り、中東世界の混乱によって、大量な難民はヨーロッパに押し寄せてきて、人権を基本価値とする国々は多くの難民を受け入れてきました。
フィンランドも例外ではなく、今まで多くのイラク人、ソマリア人難民を受け入れてきました。
その数は数万人に上ります。
ロシア人やエストニア人と異なり、中東系やアフリカ系の方々は外見で明らかに違うので、フィンランドで人種差別者の主なターゲットになりました。
政治においても「外国人難民に生活費や補助金を払うより、フィンランド人の社会福祉をより充実すべき」と掲げる政党フィン人党が支持を集めています。
先日のフィンランド地方議員選においても、フィン人党がヘルシンキ市で出した広告は「ヘルシンキ市の市営住宅の多くは外国人が住んでいます。払うのはあなたですが」という内容でした。
もしフィン人党が提唱する政策だけを読んでいると、一理ありと思えないことでもありません。
「フィンランドのリソースはフィンランド人に優先して使うべき」
「外国人移民を受け入れても失業率は高い。就業できても低賃金(納税額が少ない)の仕事ばかり。しかも彼らは国から多くの補助金をもらっている。そんな外国人移民は受け入れるべきではない」といった内容が彼らの意見です。
もちろん、外国人移民を受け入れ、国内社会の対立を起こすのは誰にとってもメリットのないことです。
しかし、「外国人移民はフィンランドの社会福祉制度だけ利用し、少ない税金しか払っていない」という論点はどうでしょうか。
様々なニュースを見ると、確か外国人移民はフィンランドの社会リソースをフィンランド人よりも多く使っています。
年間社会補助金(様々な種類を含め)について、2018年のデータによると、フィンランド生まれの人は平均2243ユーロもらっていたことに対し、海外生まれの外国人移民は4676ユーロもらっていました。
倍以上の差です。
参考:YLE Kela: Immigrants require twice as much income, housing support as native population
しかも、外国人移民の失業率はフィンランド人よりも格段に高いのが事実です。(外国人の名前を持つだけで面接に呼ばれる可能性が下がる)
2016年ヘルシンキ市の報告では、フィンランド人の失業率10%に対し、外国人移民者の失業率は24%。
参考:YLE “I’m broken, depressed”: Foreigners struggle to find work in Finland
参考:YLE Researcher: “If there’s a worker with a Finnish name, they’ll probably be hired”
確か外国人移民は就業しにくくて多くの社会リソースを使っているのは事実です。
しかし、単純に経済の面だけを考えると、フィンランドにとって外国人移民は本当に経済の負担にしかならないでしょうか。
一人の子供を育てる費用と一人の外国人移民を受け入れる費用、どっちが高い?
フィンランド人の子供だからいくら費用かけてもいい、外国人移民だから費用をかけるべきではない、といった考え方ではなく、単純に一人の子供をフィンランドで育てる費用と一人の外国人移民を受け入れる費用を比較してみたほうがいいと思います。
この質問、この比較はまだ誰もやったことがないと思いますので、一度データを集めて比較してみたいと思います。
一人の子供をフィンランドで育てるには国にとって様々な費用がかかります。
- 出産手当:2900ユーロ(最低額)
- 親の育休手当て:4350ユーロ(最低額)
- 児童手当:19380ユーロ
- 小中高の学費:105600ユーロ
※これらの項目以外にも他の費用があると思いますが、省略します。
この4項目の費用合計は132230ユーロ(約1800万円、ユーロ=130円)
一人の外国人移民を受け入れるにも様々な費用が掛かります。
- 無料フィンランド語授業:1800ユーロ(推測)
- 市営住宅:24000ユーロ(推測、5年住むことで計算)
- 住宅補助:42000ユーロ(月350ユーロ、10年支給で計算)
- 失業補助:20160ユーロ(3年間で計算)
- 生活保護:17676ユーロ(3年間支給で計算)
※これらの項目以外にも他の費用があると思いますが、省略します。
この5項目合計で約105636ユーロ(約1400万円)
数字だけ見ると、外国人移民を受け入れたほうが一人の子供をフィンランドで育てるよりも「安い」かもしれません。
※もちろん、外国人移民は市営住宅を平均何年住んでいるか、住宅手当を平均いくらもらっているかなどのデータがないので、推測しかできませんが、実際の期間や金額によって結果が大幅に変わる可能性があります。
果たして外国人移民の受け入れは本当にフィンランド経済にとって負担しかないのか?
「国の費用」で考えれば、一人の子供を育てることは一人の外国人移民を受け入れるよりはるかに安いわけではありません。
外国人移民の受け入れは一人の子供を育てることに比べ、フィンランドの社会福祉制度の巨大な負担になるわけでもありません。
しかし、一人の子供を18歳まで育てには18年以上かかります。
相対的に、一人25歳の外国人移民の受け入れは数ヶ月だけでできます。言語の教育や職業訓練の期間を入れても5年間くらいで職に就き、税金を払い始めることが一般的に考えられます。(もちろん、1年で職に就く人がいれば、10年経っても無職の人もいます)
となると、外国人移民の受け入れは本当にフィンランドの経済やフィンランドの社会福祉制度の負担になるといえるでしょうか。
簡単に結論を出せない質問だと思います。
もちろん、外国人移民の受け入れは単に経済的な視点では足りないです。
社会の対立が起きないように、外国人移民がフィンランド社会で平和に自由に生活できるように様々な施策が必要だと思いますね。
参考:データは【社会福祉制度】の関連ブログ記事より引用
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