5分で読むムーミン小説:ムーミン谷の仲間たち(4)

公開日:2018年3月19日  更新日:2020年1月1日  関連分類:

ムーミン小説/童話『ムーミン谷の仲間たち』の中にある9個の小物語の5個目の物語はあるヘムレンさんのお話です。

ちなみに、ヘムレンは種族の名前で、今回登場するヘムレンさんをムーミンアニメで登場したヘムレンさんと勘違いしないようにしてくださいね。

 

(5)静かなのが好きなヘムレンさん

ずっと昔のことですが、あるヘムレンさんがある遊園地で働いていました。

彼は遊園地の入り口で入場券にパチンと穴をあけて入場券が二回も使われないようにするお仕事でした。

 

遊園地は他の遠い親戚であるヘムレンさんたちが共同経営しているが、入場券をパチンとする仕事をしているヘムレンさん(本文で「ヘムレンさん」というのは全てこの人を指します)とは近い関係ではありません。

 

ヘムレンさんは静かなのが好きで、何がすごい仕事をするとかの目標がありません。彼の夢は年金生活だけです。

それで、年金生活の夢を見ながら毎日入場券をパチンパチンとする仕事を淡々と続けていました。

 

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大雨と洪水に破壊された遊園地とヘムレンさんの行方は?

しかし、ある日から雨が降り続き、なんと8週間も降り続いていました。

 

雨がずっと降っているせいで遊園地が水没し、遊園地の「鏡の部屋」は崩れ落ち、「不思議の庭」のピンク色の紙のバラが水に浮かんで流されていき、何でもかんでも壊れていきました。

 

※写真は書籍より撮影して引用:『ムーミン谷の仲間たち』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、山室静/訳、1990年発行

 

子供たちは絶望に陥り、すごく悲しんでいました。

ヘムレンさんは仕事を休まざるを得ないことになりました。

 

しかし、遊園地を経営している他のヘムレンさんたちは悲しむところか、上機嫌で遊園地をスケートリングに作り替えようと計画していました。

 

経営しているヘムレンさんたちはヘムレンさんとお話をして「スケートリングができたらまた入場券パチン係をさせてやるよ」と慰めたが、ヘムレンさんはただ静かな場所で老年年金をもらって生活したいと返事したら、ヘムレンたちから「じゃ、あの使われていないおばあさんの大きいな公園をやるよ」と言いました。

 

公園に引っ越して静かな生活を始めたヘムレンさん

ヘムレンさんはそれでおばあさんの公園に引っ越すことになりました。

その公園はずっと前から廃棄され、整備されていない状態でしたが、ヘムレンさんは公園にあるおばあさんの古い家に住むことにしました。

 

翌日の朝、小さい動物のホムサが経営者のヘムレンさんたちからヘムレンさんへ届ける弁当を持ってきました。

その際に、ホムサはヘムレンさんにある秘密を伝えました。

「子供たちはとても悲しんでいるよ。スケートリングが作られても我々冬には冬眠するし、どっちみち使えないよ」

「しかし、我々子供たちは遊園地から流されたものを全て拾って修理し、フィリフヨンカの小屋に入れたよ」

 

 

ヘムレンさんに起こった不思議な変化と行動

ヘムレンさんは子供たちのことをすごくかわいそうだなと思いました。

そして、その日にヘムレンさんはおばあさんの家の後ろにあるあずま屋の修繕に取り掛かりました。空が暗くなって見えなくなるまで止まることがありませんでした。

 

翌日公園の門の外に子供たちが修理した遊園地の品物を持ってきて置いていました。

それを見たヘムレンさんはあずま屋の修繕仕事を続けたが、突然天井が落ちてヘムレンさんがすごくがっかりしてこの仕事をやめようとしました。

 

しかし、少し経ったら、ヘムレンさんは外に行って遊園地のものを全て公園内に引っ張り込みました。

 

ヘムレンさんはそれから何日間も続けてメリーゴーランドをカルーセルに作り替えたり、ローラーコースターを作ったりしていました。

必要な材料と食事を経営者のヘムレンさんたちから調達し、ヘムレンさんたちも快く資材をくれました。

 

ヘムレンさんは毎日疲れ切っていたが、心はとても満ち足りていました。

 

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新しい遊園地と新しいヘムレンさん

その後、子供たちも手伝ってくれるようになりました。

他の人々も鍋、カーテン、キャラメルなど様々なものを持ち寄ってくれました。

 

公園がどんどん不思議な形になっていき、ようやく出来上がりました。

ここは遊園地ではなく、沈黙の園なんだ」とヘムレンさんが言いました。

 

※写真は書籍より撮影して引用:『ムーミン谷の仲間たち』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、山室静/訳、1990年発行

 

それを聞いた子供たちは新しい遊園地を迎え、楽しく「静かに」遊び始めました。

ヘムレンさんはフィリフヨンカさんのハンモックで寝ようとしました。

 

しかし、周りがすごく静かで、もしかしたら子供たちはつまらないからもう帰ってしまったのかと思い、起き上がって公園を見渡しました。

子供は静かに楽しく遊んでいました。誰も帰っていませんでした。

 

ヘムレンさんは思いました。

「明日はこう言おう:『きみらは笑ってもいいし、少し歌ってもいいよ。でもそれ以上はだめだよ』」

 

続く。

 

※参考書籍:『ムーミン谷の仲間たち』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、山室静/訳、1990年発行

 

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