ムーミンの小説を読んだことのある方には必ず残る疑問でしょう。
『楽しいムーミン一家』の中で魔法の帽子にジャコウネズミは自分の入れ歯を入れました。
その入れ歯は何か怖いものに変わりました。
その怖いものは一体なんでしょうか。
魔法の帽子は帽子に入ったものの姿や性質を変える力を持っています。
紙屑を雲に変化させたり、水を木苺のジュースに変えたりします。
そして、入れ歯もその姿が変えられました。
しかし、『楽しいムーミン一家』の中でどのような姿に変わったかを明らかにされていません。
※『楽しいムーミン一家』の書籍より撮影して引用。
その姿に関係する言葉を下記の通りに残しただけです。
- 「ジャコウネズミが恐ろしい経験をする」(第3章の始まり)
- 「ジャコウネズミがひどく怒っているか、怯えていることだけは、よくわかりました」(ムーミンたちが森でジャコウネズミに出会った時に思ったこと)
- 「それなら、誰の足跡だろう。とっても変な足跡だね」(ムーミンとスナフキンが洞窟の天井の穴から帽子の周りを見た時)
- 「ジャコウネズミの入れ歯がどんなふうに変わったか、それが知りたかったら、あなたのお母さんに聞いてごらんなさい。お母さんは、きっと知っていますよ」(作者の注)
ムーミンの物語の原作者であるトーベ・ヤンソンはフィンランド人だから、日本人のお母さんが知らないならフィンランド人のお母さんは知っているだろうと思う方もいるでしょう。
しかし、正解は……「誰もその姿を知りません」です。
そもそも魔法の帽子が帽子に入ってきたものの姿を変えることに決まったルールがありません。
ムーミンが醜い生物に変わったり、お水が木苺のジュースに変わったりするなど、良さそうなものに変わったり、そうでもないものに変わったりしていました。
つまり、「どんなものに変わってもおかしくない」と言ってもいいでしょう。
その中で、原作者が残した手掛かりは「恐ろしいもの」「変な足跡を残すもの」しかありません。
つまり、「足の付いている怖いもの」と読者に想像を膨らませてほしかったでしょう。
そして、筆者の数人のフィンランド人友人に聞いてみたところ、これもフィンランド文化と関係なく、フィンランド人のお母さんも正解を知りません。
更に、フィンランド語を駆使してフィンランド語の世界で検索してみたが、やはり関連する正解はありませんでした。
そのため、日本のお母さんたちはもし子供たちに聞かれたら、もうグーグルで検索して正解を探す必要がありませんよ。
自分の想像を膨らませて好きな答えを作ってしまえばいいです!
原作者のトーベ・ヤンソンはこの伏線を入れるのは、親を子供の童話書に引っ張り込めたいことが理由かもしれませんね。
是非この質問を機に子供と一緒にムーミンの童話小説を楽しんでみましょう!
※参考書籍:『たのしいムーミン一家』講談社、トーベ・ヤンソン著、山室静訳、1990年発行
じゃこうねずみについてはまだ知らない方はこちらの記事を参照ください。
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