フィンランドの医療費、どのくらいかかる?

公開日:2018年9月10日  更新日: 2019年11月30日 関連分類:

高税率高福祉の北欧国家であるフィンランドに住んでいる人は病院に行くときにどのくらい費用かかるって気になりませんか?

 

お金がかからないところもあれば、意外と安くない部分もありますね。

医療費無料とは言えない国です。

 

前回筆者が地域医療センターに行った時の記事を参考にしながら見ていきましょう。

参考:ヘルシンキで初めて一般病院に行く フィンランド生活

 

 

フィンランドの公立医療システム

フィンランドには私立病院やクリニックもあります。

待ち時間が短い分、費用がとても高いので誰でも気軽に行ける場所ではありません。

 

一般的にフィンランドの国民健康保険(社会福利局KELA)以外の保険に入っていない人はフィンランドの公立医療システムを利用します。

フィンランドの公立医療システムは大きく3種類(段階)に分かれます。

  • ヘルスステーション
  • 外来クリニック
  • 病院

 

ヘルスステーションは「家庭医」のような位置づけで、病気になった時に最初に訪ねる場所です。

そして、ヘルスステーションの先生が対応できない病気だと判断されたときに、推薦状と関連病歴情報と共に病院の専門外来クリニックもしくは直接病院に紹介されます。

 

それで、定期的に専門外来クリニックに通ったり、病院に入院したりすることで治療を続けます。

もちろん、病気の状態によりますが、ヘルスステーション→専門外来クリニック→病院入院とステップを踏んで治療を進める場合もあれば、いきなり入院ということもあります。

 

 

フィンランドの病院に行くとどのくらいお金がかかるの?

ここではフィンランド在住且つフィンランドの社会保険KELAに加入している人で、ヘルシンキ市のケースをご説明します。自治体によって若干異なる場合があります。

※下記の数字は2018年のデータです。ユーロ=130円です。

 

ヘルスステーション

ヘルスステーションに予約を取り(平日8~16時)、家庭医のような先生に診てもらうのは無料です。

無断キャンセルは40.3ユーロの罰金が科されます。(約5200円)

 

時間外(平日16~20時)の診察は診察費16.4ユーロかかります。(約2100円

深夜、土日、祝日の緊急診療は診察費32.7ユーロかかります。(約4200円

 

ヘルスステーションに行けない患者さんには医師や看護師が家まで診察に来てくれます。

医師や歯医師の訪問は一回15ユーロ(約2000円)

 

専門外来クリニック

病院の専門外来クリニックで診てもらうには1回32.7ユーロかかります。(約4200円

精神科外来は無料です。

※年間医療費上限683ユーロ約89000円)に達するまで通院するたびに払う必要があります。

 

病院

入院する場合、入院日から退院日までカウントされます。

1日38.5ユーロです。(約5000円

 

半日の昼間だけもしくは夜間だけの入院費用は17.9ユーロです。(約2300円)

 

その他の医療サービス

  • 診断証明書:19.4~48.5ユーロ(約2500~6300円)
  • 子宮頸がん検診:無料
  • 乳がん検診:無料
  • 予防接種:国規定の項目であれば無料
  • リハビリ治療:1日13.4ユーロ(約1700円)

 

 

18歳未満の子供たちにやさしいフィンランドの医療システム

上記は成人向けの費用となりますが、18歳未満の子供でしたら負担が軽減されます

 

例えば、ヘルスステーションでの時間外診療も深夜土日緊急診療も無料となります。

医師が家まで診療に来る費用も無料になります。

入院や長期リハビリがもし7日間を超えれば、入院費用やリハビリ費用が無料になります。

 

まだ成人していない子供だちには親からだけではなく、国としても最大限サポートする形がはっきり見えますね。

 

 

公立医療システムの医療費上限制度

日本の「高額療養費制度」と同じコンセプトで一定の期間中に患者さんが負担する医療費に上限を設ける制度がフィンランドにも似たようなものがあります。

 

日本では「毎月」を単位に上限が決まっていますが、フィンランドのヘルシンキ市では「毎年」を単位に上限が決められています。

ヘルシンキ市2018年の年間公立医療システム医療費上限が683ユーロです。(約89000円

※日本の高額療養費制度だと、ざっくり一般所得者では毎月の上限医療費負担額が9万円前後です。年収と年齢にによって変わります。
※フィンランドでは「医療費上限」と「医薬費上限」が別々で定められています。医薬費上限に関しては「意外と面白いフィンランドの医薬品自己負担について」をご参考ください。

 

フィンランドは年間上限負担額9万円に対し、日本は月間上限負担額9万円で見ると、フィンランドの医療費負担がとても軽いと感じるかもしれませんが、これも一長一短があります。

 

日本の場合は保険適用項目であれば何でも高額療養費制度に含まれます

しかし、ヘルシンキ市では決まって項目しかこの医療費上限に含まれません。例えば、ヘルスステーション費用、外来クリニック費用、日帰り手術、継続治療費、リハビリ費用や入院費用くらいしか含まれません。

※入院費用に関しては、上限額を超えたら、一日38.5ユーロから17.9ユーロに半額ほどになります。無料にはなりません。

 

 

筆者から見るフィンランドの公立医療システム

フィンランドの公立医療システムをどう見るかはもちろん比較対象によります。

筆者から見ると、フィンランドは税金負担が高いわりに、日本の医療費用負担より高いイメージがあります

 

特に日本では国民健康保険適応であればどんな病気の治療でも含まれ、一定期間中の医療費負担額上限が高額療養費制度によって決まっています。

しかも、フィンランドではとても高い歯科治療も含まれています。

 

一見日本の医療システムがいいようにも見えますが、医療費が国の支出を多く占め、財政の重い負担になっているのも事実です。

その面から考えると、フィンランドの医療システムはある程度日本より税金を節約できるかもしれません。

 

また、本記事では費用の面を中心にまとめましたが、「待ち時間」を特に話していませんでした。

フィンランドのヘルシンキでヘルスステーションの予約を取るのは一般的に1~2ヶ月後となります。

 

例えば、皮膚疾患など緊急ではない病気であれば、ヘルスステーションに行ってそこで何時間待つか、家で1~2ヶ月待つか、病院に行ってお金払って急診で(急診でも病気が緊急でない限りかなり待ちます)見てもらうしかありません。

 

「待ち時間」の側面から見ると、やはり日本の医療が便利です。

 

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