人間の社会生活の基本需要の一つ:「住」
フィンランド政府(社会福利局Kela)は国民に対し、住宅の補助を手厚く行われています。
その理由の一つは厳しい冬の寒さかもしれません。冬に住む場所がないと一晩で命取りになりかねないので、政府としても軽視できないでしょう。
フィンランド社会福利局が提供する住宅手当は下記の種類があります。
- 一般住宅手当
- 学生住宅手当
- 年金受領者住宅手当
- 兵役義務者住宅手当
今回は最も一般的に活用されている「一般住宅手当」を中心にご紹介します。
一般住宅手当
フィンランドの社会福利システムKelaに入っているフィンランドに長期居住(外国人は就労ビザや配偶者ビザ、永住権ビザなどが含まれます)している人で低収入であれば一般住宅手当をもらう権利があります。
賃貸物件、住宅ローン支払い中の持ち家、集団住宅、使用権のある住居(所有権はない)などの住宅が含まれます。
手当の計算
手当の計算は「住宅出費」をベースに計算されます。
例えば水道費は月19ユーロ(約2500円)、暖房代は41ユーロ(約5300円)、他に住宅メンテナンス費用とか(共益費)、住宅ローンの利子部分の3/4は住宅出費に含まれます。
一般住宅手当の支給額は「最大住宅出費の80%」というふうに計算されます。
しかし、すべての住宅出費に一律80%補助されるわけではありません。(一律であれば、住む家が高ければ高いほどお得ということになるでしょう)
補助の上限は「同じ住宅に住む家族の人数」「住宅の所在地」「収入」によって変わります。
都会であれば高めに補助され、地方であれば低めに補助されるわけです。
フィンランドでは4つの住宅コストレベルに分けられています。
最も高いのがヘルシンキ市(カテゴリー1)で、その次はエスポー市、カウニアイネンとヴァンター市(カテゴリー2)、第三レベルはそれ以外の主要都市(カテゴリー3)と第四は残りの全ての町(カテゴリー4)です。
カテゴリー(住宅コストレベル)ごとの、1ヶ月の最大住宅手当金額/2018年
世帯に住んでいる人の数 | カテゴリー1 | カテゴリー2 | カテゴリー3 | カテゴリー4 |
1 | 508ユーロ | 492ユーロ | 390ユーロ | 344ユーロ |
2 | 745ユーロ | 706ユーロ | 570ユーロ | 501ユーロ |
3 | 947ユーロ | 890ユーロ | 723ユーロ | 641ユーロ |
4 | 1095ユーロ | 1038ユーロ | 856ユーロ | 764ユーロ |
※フィンランド社会福利局Kelaの住宅手当のページを参考にしています
そして、収入が高ければもらえる手当が減ります。
計算例
賃貸物件に住んでいる人の場合は相対的に計算しやすいです。
各市が決めている「最大住宅出費の80%」の金額があります。例えばヘルシンキは月508ユーロ、トゥルクは月390ユーロ、ケミは月344ユーロです。(参考例として)
その最大住宅出費の80%を家賃と比べます。家賃より少なければ全額支給、家賃より多ければ家賃額のみ支給ということです。
例えば、ヘルシンキで賃貸しているマイヤは家賃800ユーロ(約10万4千円)。
一人暮らしの彼女に支給されるヘルシンキ市在住の一般住宅手当は月508ユーロです(約66040円)。
この場合、最大住宅出費の80%で計算した結果が家賃を越えていないので、計算した結果の金額が支給されます。
もう一つ例を見てみましょう。
フィンランド北部の小さな町ケミで住んでいるヘッリは月291ユーロの家賃を払っています。(約3万8千円)
最大住宅出費の80%で計算した結果、一人暮らしの彼に支給されるケミ在住の一般住宅手当は月344ユーロになります。(約4万7千円)
しかし、家賃の金額を越えたため、支給される手当は291ユーロです。
まとめ
やっぱりすごいです。
フィンランドではこれほど住宅補助がもらえるとは知りませんでした。
このように手厚く生活が苦しい国民を助ける国は北欧くらいしかないでしょうかね。
しかし、とは言え、一生懸命仕事して税金を納めている人はあまりもらえず、あまり頑張っていなくて税金を納めていない人はたくさんもらえるということにもなりかねないので、そのバランスが非常に大事で難しいとも感じます。
※データ出典:フィンランド社会福利局Kela
※本記事の情報はフィンランド社会福利局Kelaが公開した最新情報(2017年8月)です。毎年予算変更などによって補助金の金額も変わる可能性があります。
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