
2年前からフィンランドの中央政府を率いる右寄りの政党たちは、フィンランドの好ましくない経済状況と財政収支状況を見て、フィンランドの社会福祉を大幅削減へ踏み切りました。
かつて社会福祉大国のフィンランドはどう変わっていくでしょうか。
好ましくないフィンランドの経済状況
一言経済状況と言っても様々なことや要素がお互いに影響し合っています。
その中から考えられる要因として、EU内やヨーロッパエリアの経済成長が小さく、出生率の低迷、移民の受け入れに消極的な政府、人口の増加が見込めないなどが存在しているでしょう。
もともとフィンランドの人口の増加は移民の受け入れが2010年代の主な要因でしたが、右派政権の躍進により、フィンランドの人口増加の最後手段さえなくなりつつあります。
出生率を向上させる有効な施策がない中で、人口が増えないフィンランドには大きく経済が成長するシナリオを見出せないままです。
そのため、不動産を筆頭に今後数年の経済成長予測に楽観的な見方があまりありません。
しかし、収入である税収の増加が見込めないまま、年金や医療などへの支出は増え続ける一方です。
単純にこのままでは、財政は悪化していきます。

財政状況の悪化から予算と社会福祉の削減へ
このような背景がある中、フィンランド政府は予算削減、そして社会福祉の削減へ踏み切ったのです。
最初に起きたのは様々な政府機関の職員削減です。
それは税務署、社会福祉のKelaや健康保健局THLなどです。
それぞれ200人前後を削減し、これだけで600人が失業します。
参考:Up to 200 jobs in danger at Finland’s Tax Administration
参考:Kela seeks €45m in savings, plans staff cuts
参考:Finnish public health authority THL announces 200 job cuts
税金の増税:消費税増税、25.5%に
人員削減による予算を削減するだけではなく、税収も増やされています。
税収の一大黒柱である消費税(VAT)は通常税率を24%から25.5%へ引き上げ(2024年9月から)、低減税率10%に該当する多くの商品・サービスを14%に引き上げました(2025年1月から)。
税金はどんどん増えていますね。
社会福祉の削減も激しく
社会福祉の面においても多くの項目で削減が行われました。
(1)学生の住宅手当
学生の住宅手当は今まで一般住宅手当の中に属してきましたが、2025年8月以降は「学生の住宅手当」の項目に移されます。
住宅手当は「賃貸」もしくは「居住権住宅」に住む人のみが対象となり、自治体によって毎月の手当は296ユーロ(ヘルシンキ、エスポー、ヴァンター)、248ユーロ(トゥルク、タンペレ、オウルなどの都市)、216ユーロ(その他)になります。
これらの金額は最大額であり、その学生に別の収入があれば、手当は減額されます。
(2)基礎失業手当
失業者で、自分で暮らしている人は2024年に毎月約800ユーロの基礎失業手当がもらえました。
失業者で親と一緒に住んでいて、親に毎月1800ユーロ以上の収入がある場合、「部分失業手当」がもらえます。
2024年に部分失業手当は毎月400ユーロでしたが、2025年から毎月280ユーロに減額されています。
「積極就業手当」というのは、今まで失業者が政府が行う就業促進に関係する様々なコースやイベントに参加していればもらえる手当で、毎月平均110ユーロでしたが、これが2025年からなくなっています。
例えば、フィンランド語のできない外国人が仕事探しながら、政府が提供するフィンランド語教室に通えば、この「積極就業手当」がもらえていました。
今は削られましたね。
(3)所得額による失業手当
失業手当基金(一般的に組合が運営)に加入している人は、職を失ってから約1年半に渡り、前職の収入額の一定の割合で失業手当基金から失業手当がもらえます。
この失業手当は前職の収入額に関連するため、上記の基礎失業手当よりも金額が大きいです。
例えば、前職の収入は毎月5000ユーロの人であれば、この所得額による失業手当は毎月約2300ユーロになります。基礎失業手当の800ユーロよりもはるかに多いです。
しかし、この所得額による失業手当に関するルールも変わります。
一つは、失業手当基金の加入期間です。
2024年9月までは、加入期間6ヶ月あれば、失業手当基金の支給対象になりますが、2025年現在は加入期間最低1年がないと、支給対象になりません。
もう一つはもらえる金額です。
2024年9月までは全額を1年半の全期間にわたってもらえることができましたが、2024年10月以降に、全額でもらえるのは最初の2ヶ月だけに変わり、3ヶ月目以降は80%に減額され、さらに9ヶ月目以降は全額の75%に減額されて支給されます。

(4)一般住宅手当
一般住宅手当は支給停止と減額の2部分が2025年から始まっています。
支給停止の部分は「家を買っている人」と「資産を持っている人」です。
まず、家を買っている人には一般住宅手当の支給が停止されます。
また、資産を持っている人の中で、資産が1万ユーロを超えていない人は全額支給、資産が5万ユーロを超えた人は一般住宅手当がもらえません。
資産が1万から5万ユーロの間にある人は、資産の金額が手当の計算に組み込まれます。
※資産は現金だけではなく、金融資産、不動産、所有するビジネスにある資産なども含まれます。
一般住宅手当の減額について、これらの6都市での住宅手当が減額されます。
「Kajaani, Kouvola, Lappeenranta, Mikkeli, Pori and Vaasa」
(5)国外への年金支給を停止
本来年金を払ってきた人に対し、年金を支給するのはごく当たり前のことですが、2025年2月から、フィンランド国外に移り住んだ人に対し、年金の支給を停止します。
つまり、フィンランド国内に住まない限り、年金は支給されないとのことです。
多くの対象者はスウェーデンに住むフィンランド人だそうですが、なかなか厳しいですね。
このように、フィンランドでは現在経済状況がよくなく、様々な削減が行われている状況です。
参考:Changes to Kela benefits in 2025
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