5分で読むムーミン小説:ムーミンパパの思い出(5)

公開日:2018年1月28日  更新日: 2019年11月30日 関連分類:

いよいよムーミンパパの冒険はクライマックスを迎えます!

果たしてどのようなことが起こったのでしょうか?

 

新しい冒険の始まり!「新・海のオーケストラ号」の誕生!

夏至を過ぎたごろ、ミムラの末っ子が生まれ、「ミイ」と名づけられました。(これはリトルミイがムーミン童話小説での初登場です)「ミイ」は「一番小さいもの」という意味だそうです。

 

事件のない平和な日々が続きました。

 

ロッドユールは王様とボタンの遊びをし、国民たちはお化けの驚かし方に飽き、ミムラの娘は嘘をつけるのがうまくなり、竜のエドワードは偶に来て我々に怒鳴りつけるが、ヨクサルに怒鳴り返されていました。

ヨクサルと言えば、食べているか、寝ているか、日向ぼっこをしているか、ミムラと笑ったり木登りしたりしているかです。

 

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そんな時、突然フレドリクソンが操舵室小屋に来てドアの前に立っていました。船長帽をかぶっていながら。

 

空飛ぶ船、新・海のオーケストラ号が完成しました!

 

その日の午後に除幕式と試験飛行が行われます。

フレドリクソンは誰よりも王様よりも先にムーミンパパに言いに来てくれました。

 

試験飛行を準備する際に、排気管からオートミールが出てきました。

どうやらリトルミイが流し込んだらしいです。これがリトルミイがやった初めてのいたずらですね。

 

※参考書籍:『ムーミンパパの思い出』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、小野寺百合子/訳、1990年発行

 

新・オーケストラ号の驚くべき新しい機能とは!?

空を飛ぶのが怖いロッドユールを除いて新しい自由村の人々は船に乗り込みました。

 

気が付いたらすでに船が飛んでいました。

空を飛ぶ気持ちのいい時間が短く、船は一瞬して海岸に向かい、まっすぐ海中へ突入しました。

 

海の中はとても静かで何一つ音がしませんでした。

 

 

しかし、徐々にかすかな音が聞こえてきました。

 

「うみいぬ、うみいぬ、うみいぬ……」

 

暗闇の中で数え切れないほど小さな影のようなものが見えました。それはウミヘビや魚たちでした。

魚たちみんな一つずつ鼻の上に小さなランプを乗っけていました。しかし、どのランプも光がついていませんでした。

 

ヨクサルは悪い予感をしたが、リトルミイは「わたしたちも、明かりをつけましょうよ。」と言いました。(これは恐らくリトルミイの初めての言葉です)

 

未知の深海で出会った恐ろしい怪物……その姿は?

無線聴音機から聞こえました。

 

「うみいぬだ。明かりを消せ。食べられてしまうぞ」

 

リトルミイはまた言いました。

「食べられてしまうわ」

 

※参考書籍:『ムーミンパパの思い出』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、小野寺百合子/訳、1990年発行

 

そうしたら音がずっと近づいてきました。海のオーケストラ号は落ち着きなく揺れ出し、聴音機は怒った猫のような音を立て、私は首筋の毛が逆立つのを感じました。

 

「フレドリクソン、ランプを消せ!」とムーミンパパは言いました。

 

真っ暗になる直前に左舷のほうに、ちらとうみいぬが見えました。

なんとも言えない恐ろしい生き物でした。暗がりの中では、あとは空想するばかりでしたから、怖さがまた一層生ましたのです。

 

 

海底の怪物がもたらした災難!ムーミンパパは無事だったのか?

うみいぬは舵を食べ始めました。

 

海のオーケストラ号は脱出を試みたが、うみいぬに持ち上げられ、ひっくり返され、船の中はごちゃごちゃになりました。オートミールや、メリケン粉や、コメや大麦が、みんなごっちゃにこぼれだしました。

 

ミムラの子供たちの長靴や、お化けの編みかけの靴下や、ヨクサルのたばこの缶もひっくり返って、もうめちゃくちゃです。

 

と、その時!

 

竜のエドワードは海に頭を突っ込み、窓から船の中を覗き込んでいました。

竜のエドワードはうみいぬを踏み潰しました。窓からうみいぬがバラバラになったのが見れました。

 

フレドリクソン、ムーミンパパ、ミムラ夫人は竜のエドワードに感謝したが、竜のエドワードはそれを疑いながらも「明日の朝コーヒーを飲みに来る」と言って去っていきました。

 

※参考書籍:『ムーミンパパの思い出』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、小野寺百合子/訳、1990年発行

 

その瞬間、海全体が光り出しました。

何百万、何千万の魚が灯をつけました。シャンデリア、懐中電灯、ランプ、ろうそく(ろうそく!?海の中で?)、電球、アセチレン灯など様々なあかりでした。

 

みんな嬉しそうに感謝の踊りを踊りました。

それまで陰気だった海は、虹のように輝きだしました。海底は青々とし芝生のようで、その上に紫や赤や黄色のイソギンチャクの花が咲き乱れ、ウミヘビたちは、喜びのあまり、逆立ちをしていました。

 

続く。

 

※参考書籍:『ムーミンパパの思い出』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、小野寺百合子/訳、1990年発行

 

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