フィンランド政府が国民の信頼を勝ち取っているのは「透明性」であるというのはすでに過去に数回書かせて頂きました。
参考:透明度の高いフィンランド:コロナウィルスワクチン接種スケジュールがネットで公表
参考:「透明性、具体性、信頼性」北欧小国フィンランドのコロナウィルス救済策・補助金対応から見る「国の強さ」とは?
では、日本政府とフィンランド政府の「透明性」はどのように違うでしょうか。
筆者から見ると「できるだけ開示しないようにする」と「できるだけ開示するようにする」のところに違いがあるように見受けます。
例えば、これらの質問についてみてみましょう。
- コロナウィルスの検査数はどのくらい?推移は?
- コロナウィルスの新規感染者数はどのくらい?推移は?
- コロナウィルスのワクチンはいつにどのくらい入ってくる?
- コロナウィルスのワクチン接種はいつにできる?
これらの質問に対し、日本政府もフィンランド政府もやっていることややろうとしていることはそんなに変わらないようにと思います。
できるだけ検査をし、新規感染者数を特定し、できるだけ早く、多くのワクチンを入手し、できるだけみんなにワクチンを接種してもらうなど。
ワクチン接種の順番もあまり変わりません。医療従事者から、ハイリスクグループ、高齢者などの順で接種していくなど。
やっていることややろうとしていることは日本もフィンランドもそんなに変わらないです。
じゃ、何が違うでしょうか。
フィンランドが開示したワクチン接種進捗データから何がわかる?
フィンランド政府はワクチン接種の進捗状況について、フィンランド健康福祉局(THL)がオフィシャルサイトで開示しています。
参考:COVID-19-rokotusten edistyminen
データ内容はかなり詳しく、様々な項目で確認することができます。
- 年齢別
- 地域別(県単位)
- 地域別(自治体・市町村単位)
- 累計接種数
- 接種済み人口の割合(%)
- 週単位の接種進捗
特にリスクの高い「70歳以上」の接種済み割合を開示しているので、特にわかりやすいと思います。
例えば、ウーシマ県(ヘルシンキを含むフィンランド南端の県)では、70歳以上の1回目接種済み率は43.8%がわかります。(3月17日のデータ更新にて)
自治体で見ると、ヘルシンキ市は52.1%です。
そして、週単位で全国で見ると、3月13日時点で、80歳以上の1回目接種率が約75%に達し、75~79歳の1回目接種率が約33%に、70~74歳の1回目接種率が約9%に達していることもわかります。
全国累計1回目接種数63万、接種率が11.4%になっていることももちろんトップページに開示されています。
日本が開示したワクチン接種進捗データはどうでしょう?
早速ネットで検索し、検索順位一位は厚生労働省のページです。
開いたら、本当に1ページだけでした。
情報も毎日の接種数だけ。
これだけです。
※3月18日時点。
参考:接種についてのお知らせ
検索2位は日本経済新聞のページですが、厚生労働省のページよりもはるかにわかりやすいです。
接種累計回数、1日接種回数、ワクチン調達数と使用数などが数字やグラフで表示されています。
見ればすぐにわかりますが、日本のほうで開示されたデータは明らかに少ないですよね。
もちろん、データの集計や開示に関し、電子社会のフィンランドでは断然に実施しやすく、コストも低いでしょう。
また、フィンランドは小国で人口が少ない分、やりやすい面もあると思います。
しかし、「できるだけデータを開示しようとしているか」「できるだけデータを開示しないようにするか」という二つの質問から見ると、答えが出てくるかと思いますね。
できるだけ質問に明確に答えるフィンランド
昨日フィンランド国営放送のサイトに掲載されたニュースですが、フィンランド保健福祉局の方がメディアからの素朴な質問に明確的に答えてくれました。
参考:YLE How quickly will Finland get vaccinated?
それらの質問はどれも国民が一番知りたい質問だと筆者は思います。
例えば、これらの質問が聞かれました。
- ワクチンがフィンランドに入ってくるスピードはこれから上がるでしょうか?
- ワクチンがフィンランドに入ってから接種に使われるまでどのくらい時間かかるでしょうか?
- これから数週間内にどのくらいのワクチンがフィンランドに入ってくるでしょうか?
- ワクチン接種の見通しについて、今は前から変わったでしょうか。
ワクチンがフィンランドに入ってくるスピードについて、フィンランド保健福祉局の方が答えました。
「ワクチンが入ってくるスピードはメーカーの供給スピードに影響されます。ファイザーの供給はいつも安定していて、4月から毎週16万回分が入ってくると言われています。しかし、アストラゼネカの供給は不安定で、彼らはすでに計画通りの供給ができないと言っています。ジョンソンエンドジョンソンのワクチンも入ってきますが、4月末か5月頭の予定で数量は不明です。」(摘要)
「ワクチンがフィンランドに入ってから接種に使われるまでどのくらい時間かかるか」という質問に対しても明確に答えられました。
「ワクチンのロジスティックはメーカーによって異なります。ファイザーはフィンランド国内にある20個の保存拠点まで自分で運送しています。その20個の拠点から直接接種の場所に送られます。しかし、アストラゼネカの場合は、ワクチンはまず国内1カ所の中央倉庫に送られ、そこから国内60カ所の拠点に運ばれます。さらにそこから接種場所に持っていかれます。そのため、メーカーによってかかる時間が変わってきます。もちろん、データの集計にも時間がかかるので、接種を受けてからシステムに反映されるまでも数日かかります」(摘要)
「今度数週間内にどのくらいワクチンが入ってくるの?」
「ファイザーは先週に2週間分のワクチンを送ってくれたので、残念ながら今週にワクチンは入ってきません。モデルナとアストラゼネカからは今週に45000回分が入ってきます。モデルナのワクチンは隔週に入ってきますが、量が少ないし、これから増える予定もないそうです。来週からファイザーからは週に6万~6万7千回分入ってきます。アストラゼネカは数量が不安定で、週に1万5千~10万回分入ってくると見ています。」(摘要)
「ワクチン接種の見通しについて、今は前から変わったか」
「見通しは前と変わっていません。6月末までに5~7百万回分のワクチンがフィンランドに入ると予想しています。7月の頭に450万人が接種されます。これは16歳以上のすべての成人が接種済みになることを意味します。先週に接種した人数は11万人でした。この数を倍や3倍、4倍にするのは難しいことではないです。最大週に55~60万人に接種する人員や場所を確保できています。」(摘要)
ここまで明確的に答えが来ています。
透明性の高さを再び感じさせられましたね。
ワクチン接種の対応の仕方、接種の順番など日本もフィンランドもそんなに変わらないですが、詳しくデータや情報を開示すると、やはり国民は政府を信頼しやすくなります。
これらのようなことの積み重ねでフィンランドは安心して過ごせるような国になっているのではないかと筆者は思います。
ちなみに、日本でもワクチンの入手スケジュールが公表されています。
その情報はなぜか「首相官邸」のウェブサイトにあります。
情報が開示されているのはうれしいですが、なぜかワクチンを「箱数」で表示されています。
え?箱?
そして1箱には195バイアルが入っているとのこと。
え?バイアル?
どういうこと?
ファイザー社は1バイアル=5回接種分で、アストラゼネカ社は1バイアル=10回接種分だそうです。
全部接種回数に換算しておいてほしいですね。。。
参考:新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き
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