ストルーブ測地アーク(Struve Geodetic Arc) フィンランド世界遺産の旅

公開日:2019年4月2日  更新日: 2022年08月30日 関連分類:

※写真引用:UNESCO

 

フィンランドには合計7つの世界遺産があります。

そのうち、文化世界遺産が6つあり、自然世界遺産は1つのみです。

 

 

キートスショップのブログでは既にフィンランドにある6つの世界遺産をご紹介させて頂きました。

 

参考記事:クヴァルケン群島(The Kvarken Archipelago) フィンランド世界遺産の旅

参考記事:サンマルラハデンマキ青銅器時代石塚(Sammallahdenmäki) フィンランド世界遺産の旅

参考記事:スオメンリンナ要塞 概要 アクセス 歴史 ガイドツアー ベスト観光プラン(一) フィンランド世界遺産の旅

参考記事:ヴェルラ砕木・板紙工場(The Verla Mill)フィンランド世界遺産の旅

参考記事:ラウマ旧市街(Old Rauma) フィンランド世界遺産の旅

参考記事:ペタヤヴェシの古い教会(The Old Chruch of Petäjävesi) フィンランド世界遺産の旅

 

 

今回は残された最後の一つフィンランドの世界遺産をご紹介していきます。

 

 

 

 

ストルーブ測地アーク(Struve Geodetic Arc)とはどんな世界遺産なの?

フィンランドの世界遺産の一つで、文化世界遺産に分類されているのが「ストルーブ測地アーク(Struve Geodetic Arc)」です。

 

実にこの世界遺産は「10ヶ国」にも跨ぐ、長さが2800キロにも及ぶとても範囲の広い世界遺産です。

 

 

ストルーブ測地アーク(Struve Geodetic Arc)は2005年に文化世界遺産に登録されたのですが、どういう重要性が評価されたのでしょうか?

 

ストルーブ測地アークは「人類史上最も大規模で高い精度で地球の大きさを測ったプロジェクト」だったからです。

 

この地球を測るプロジェクトは19世紀前半の1816~1855年の約40年間にわたって行われ、場所はノルウェー、スウェーデンフィンランド、ロシア、エストニア、ラトビア、リトアニア、べラルス、モルドバ、ウクライナの10各国を跨ぎ、2800キロ以上の距離に渡って行われました。

 

当時にこれらのエリアにはロシア帝国とスウェーデン帝国の2ヶ国のみで、研究の資金はロシアから提供され、天文学者のFriedrich Georg Wilhelm Struveが率いる研究チームが実施しました。

 

この偉大なプロジェクトとその成果が人類にもたらした卓越な貢献を記念し、関連遺跡が世界遺産に指定されたのです。

 

 

※写真引用:UNESCO

 

 

ストルーブ測地アークってどのように地球の大きさを測ったの?

その答えは「三角法」です。

 

三角形を使えば、長さや距離を直接測れないものの長さや距離を推定で測ることができるので、実に紀元前6世紀から利用されています。

 

例えば、ある高い崖の高さを測りたいとし、太陽の日差しから生まれた陰を確認します。

その陰から崖までの距離、自分の陰の長さと自分の身長を比例計算すれば崖の高さを推定できるのです。(自分の身長:自分の陰の長さ=崖の高さ:崖の陰の長さ)

 

 

そして、地球の大きさを推定することに関しても、このような三角測量法が1980年代衛星を使ってより精密的に測るまで使われていました。

 

 

世界遺産ストルーブ測地アークはノールウェー北部から黒海近くまでの2820キロの距離に渡り、265個の測定地点を設け、計258個の三角形に通じて大規模な距離測定を行い、地球の大きさを推定したのです。

 

 

 

 

観光客にはがっかりさせるかもしれませんが、ストルーブ測地アーク世界遺産はほとんど目に見えるものがありません。

 

ストルーブ測地アーク世界遺産はフィンランドに6箇所の測定地点を世界遺産に指定しています。

しかし、多くの測定地点には岩盤に小さな穴が残されたり、岩盤の穴に鉛が注入された跡であったり、十字のマークが残されたりする程度のものしかありません。

 

 

見に行って「おお~~」と感じることは恐らくあまりないでしょう。

 

しかし、是非想像力を働かせていただきたいです。

19世紀前半には今の設備もなく、長距離の移動もとても難しい時代です。

 

道路もない、森の中にある測定地点までは徒歩、スキー、馬、トナカイなどを使って莫大な時間をかけていくしかないです。

しかも、測定地点が265個もあるのです!

 

その時代にどうやって一つ一つの測定場所まで行くかを想像するだけでそのすごさをわかって頂けるでしょう。

 

 

※写真引用:UNESCO

 

 

フィンランドにある世界遺産に指定された測定地点

ストルーブ測地アークの測定地点は265個ありますが、世界遺産として指定されたのはその中の34個だけです。

その中、フィンランドにあるの6個です。

 

 

  1. Mustaviiri:フィンランド東南部のフィンランド湾に浮かぶ島にあります。
  2. Porlammi:ヘルシンキから東北方向約85キロにある岩
  3. Oravivuori:フィンランド中南部にあり(ユヴァスキュラから約50キロ)、丘の山頂にあるため、景色が良く、6箇所の測定地点の中で最も有名な場所です。
  4. Alatornio Church:フィンランドとスウェーデンの国境にあるAlatornio Churchは測定当時のままです。教会の高い塔を利用して測定を行われたそうです。
  5. Aavasaksa:フィンランド北部のフィンランドとスウェーデンの国境に近いこの場所は大自然と白夜が有名な特徴です。
  6. Stuorrahanoaivi:フィンランド最北端にある約600メートルの山

 

 

 

どれもなかなか簡単にアクセスできる場所ではないですが、できるならヘルシンキの近くもしくはユヴァスキュラの近くにある測定地点に一度は訪ねてみたいですね。

 

人類のこれほどの大規模プロジェクトがかつて行われた場所なので、そこに行けば何か新しい気づきや気持ちになれるかもしれませんね。

 

 

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