フィンランド人の仕事に対する価値観:失業したらどんな仕事でもやるのか?

公開日:2021年3月5日  関連分類:

 

仕事に対する価値観は人それぞれです。

 

しかし、国と国の間には文化と環境の違いがあり、仕事に対する価値観では全体的に異なる傾向が見えるかもしれません。

 

 

下記の質問を是非考えてみてほしいです。

「もし自分が失業したら、どんな仕事でもいいから受けてやりたいと思うか」

 

 

失業になってしまったら、とりあえず収入を確保したいので、どんな仕事でもいいから、受けてやりたいと思う方が多いかもしれません。(財産や貯金がある人除き)

 

 

しかし、フィンランドは社会福祉大国です。

 

充実した社会福祉制度に守られているフィンランド人はそのような考え方を持っているでしょうか。

他にどのような考え方があるでしょうか。

 

 

今回は2020年のアンケート調査結果をもとにご紹介したいと思います。

 

 

 

 

失業になったら、どんな仕事でも受けてやりたいフィンランド人は28%のみ

アンケート調査によると、失業した状態で、どんな仕事でもいいから、仕事さえあればやりたいフィンランド人は全体の28~30%程度しかいません

 

 

失業していてもちゃんと自分に合う仕事でないとやりたくないフィンランド人は52~52%程度で全体の半分くらいです。

 

 

この数字を見る限り、フィンランド人にとって、仕事は単なる収入の確保だけではなく、様々な条件や要素において他の意味を持っているでしょうね。

 

 

別の調査によると、フィンランド人にとって仕事の最も重要な意味は「収入の確保」です。

しかし、収入以外に他の重要な理由に「社会的な責任」「自己成長」と「共存共栄感」も挙げられています。

 

やはり失業になってしまったときに、収入の確保も大事ですが、社会的な責任や自己成長などの要素も大事で、半分ほどのフィンランド人にとって、どんな仕事でもやるわけにはいかないようです。

 

 

全ての仕事は同じ大切なのか?同じ価値があるのか?

読者の皆様は「仕事の価値」をどのように定義しているでしょうか。

 

フィンランド労働者組合は価値と意味のある仕事は「生産性があり、永続可能且つ総合的な仕事」と定義しています。

 

 

前述のアンケート調査の中で、下記の設問がありました。

すべての仕事に同じ価値を持つと思うでしょうか。もしくはごみのような仕事(shit job)も存在していると思うでしょうか

 

 

この質問に対し、フィンランドの年長者はどの仕事も同じ価値があると回答する方が多かったが、若い人は意味のない仕事もたくさん存在していると思っているそうです。

 

 

この認識の差はもしかしたら時代が違うからそうなったかもしれません。

もしかしたら過去と現在の仕事の内容がだいぶ変わったからそうなったかもしれません。

 

 

過去の仕事の種類に比べ、今の仕事の種類ははるかに多いです。

そのたくさん種類がある仕事の中で仕事の意味を自分で見出せないなら、仕事の価値は感じないでしょうね。

 

 

 

 

女性の就業率上昇は仕事に対する意識へ影響!?

仕事はフィンランド人にとって非常に重要なことです。

 

特に2008年金融危機以降にその重要性がさらに高まりました。

 

重要性がどんどん高まる一因は「女性の就業率の上昇」です。

 

主婦が主流だった時代から家の外の仕事に就くことが主流になってきたことで、女性にとって仕事の意味がとても重要になってきます。

特に30代の女性にとってです。

 

 

介護の仕事に就いているカタリーナは失業したらどんな仕事でも受けると思いませんでした。

彼女にとって介護という仕事の内容自体が報酬の一部です。

この介護の仕事をやることで生活の満足感が得られるためです。

 

そのため、どんな仕事でもいいわけではないそうです。

 

 

日本でもフィンランドに似たような状況!?

日本では全く同じ設問の調査が行われていないので、直接比較できませんが、他の調査結果を参考に見てみましょう!

 

 

失業者が仕事に就けていない理由は日本で調査されてきました。

 

その一番の理由は「希望する種類・内容の仕事が無い」で、全体の約27%を占めています。(2019年)

「勤務時間・休日などが希望と合わない」という理由の方は13%。

「賃金・給料が希望と合わない」は約8%です。

そして、「条件にこだわらないが仕事が無い」という理由の方は全体の約5%です。

 

 

日本の場合、失業者が仕事を選ぶ際に様々な条件が合うのはとても重要な感じですね。

条件こだわらないが仕事がないという理由は5%にとどまっていることから、日本の失業者もフィンランドに近い感じで、どんな仕事でも受けるわけではなさそうです。

 

 

このように、日本でもフィンランドでも仕事の内容と条件がとても重要で、失業になったからと言ってどんな仕事でもやる人はやはり少数派です。

 

 

参考:Ottaisitko sinä vastaan mitä tahansa työtä? Kaikki suomalaiset eivät tekisi niin työttömänä, mutta korona saattaa kasvattaa työn arvostamista

参考:5.6%は「条件にこだわらないが仕事が無い」…完全失業者の「仕事につけない理由」とは?(最新)

 

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