なぜフィンランド人は年に5週間もの有給が取れるだろうか?

公開日:2022年7月18日  関連分類:

フィンランドのサマーコテージ

 

休み事情と言えば、北欧諸国の長い夏休み文化を聞いたことがありませんか?

 

夏休みに1ヶ月休むとか。

 

日本の社会文化から見ると、ありえないですよね。

 

連休前後とかにくっつけて1~2日の有給を取るだけで精いっぱいなんで、連続30日間の有給!?

離職予定で有給消化したい人以外は考えられません。

 

「いや、無理やろう!首になりたいか?もしくは同僚やお客様に殺されたいか?」という声が反射的に出てくるでしょう。

 

じゃ、なぜフィンランド人は1ヶ月も夏休みが取れるでしょうか。

 

 

 

 

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有給休暇の付与や有給休暇の取得について、法律で定められている

フィンランドでは、入社1年目には毎月の勤務に2日間の有給が付与されます。

 

なので、1年目の人は年間24日間の有給休暇がもらえます。

 

2年目以降は有給付与の数が毎月2.5日になります。

つまり、年間30日になります。

 

※ただし、フィンランドで有給を連続1週間利用する際、土曜日は勤務日と見なされ、6日間の有給が使われます。

 

それで、年間30日間の有給=5週間になります。

 

そして、「有給休暇を、夏期間中(5月~9月)に連続2週間、冬期間中(10月~4月)に連続1週間取得しなければいけない」という内容も法律に規定されています。

 

なので、いくら働きたくても、しっかり休暇を取らないと法律違反になります。

 

 

もちろん、これはフィンランドの労働法として、最低限保障される内容です。

 

業界労使協定、もしくは個別で雇用主と交渉することで、より多くの有給休暇日数が手に入ることも珍しくありません。

 

 

もちろん、有給を取得するには法律だけでは足りないです。

法律よりも広く深く影響しているのは社会文化要素です。

 

 

休みに対し、フィンランドと日本の一番の違いは「理解と包容」

しっかり働き、しっかり休むことはごく当たり前のことです。

人間は機械ではないですから。

 

 

しかし、日本文化とフィンランド文化の中に根本的な違いが存在しています。

 

それは、お客様>>>お仕事や会社のこと>>>自分という文化概念です。

 

つまり、相手の担当者が休みであろうが、病気であろうが、平日でさえあれば、「会社としての対応」がごく当たり前のように求められるのです。

そして、通常のスピードで対応してもらえなければ、文句を言う。

 

 

フィンランドで生きている人々の中にそのような文化概念が存在していません。

 

お客様、お仕事や会社のことは「重要」。そして、自分のことも「重要」

 

相手企業の担当者も一人の人間です。自分がお客様としてお金を払っている立場でも。

時期によって1週間休んだり、2週間休んだり、1ヶ月休んだりするのはおかしいことではないし、無責任なことでもありません。

 

相手に「会社としての対応」を求めたくても、「相手の会社でも我々と同じく人間が運営している」ことをよく理解し、担当者が休んでいる時は、無理して相手に会社としての対応を求めないです。

 

もちろん、緊急で対応してもらいたいことがあれば、相手企業の他の方にお願いしてみるが、誰も対応してもらえないなら、待つしかありません。

 

「まあ、今は夏だし、せっかくの季節なんで、みんなちゃんと休まないとね」というふうに気楽に考えてもいいのではないでしょうか。

 

 

 

 

休みの予定を早めに組み、関係者に知らせる

フィンランドでは多くの人が長い夏休みを取るが、もちろん、全国が一斉に経済休止になるわけではありません。

 

インフラ事業となる通信、電力、交通、エネルギー業界はもちろん年間通して働いてるし、レストラン、ホテル、観光業、文化イベント業界など夏が稼ぎ時の会社や従業員も多くいます。

 

そういう場合は、休みをずらしたり、チームメンバーが交代で休みに入ったり、サマージョブでアルバイトを入れたりして対応したりします

 

また、長い休みに入る前に早めに自分の休み予定を取引先や関係部署、海外支店などに連絡しておくのもよく行われています。

 

取引先には「小職は7月1~30日夏季休暇になるので、ご要望や進捗事項の確認などがございましたら、それまでかそれ以降にお願いできれば幸いです。なお、期間中の緊急連絡先は〇〇〇です。」みたいな感じで連絡されたりします。

 

部署内やチーム内であれば、「私は7月1~30日休みになるので、Aプロジェクトの進捗予定はこのように組みましょう。Bプロジェクトの進め方を休みに入る前に一回打ち合わせしましょう」というような感じで、休む前提でそれぞれの仕事内容の予定を組みます。

 

 

「休みは他人に迷惑をかけることではなく、仕事と同等に重要なことだ」というのはごく当たり前のような考え方です。

 

 

無給休暇の取得は珍しいことではない

もう一つは、日本ではなかなか見ないことで、フィンランドでは珍しいことではない「無給休暇」です。

 

労働法では有給休暇が年間24~30日ですが、無給休暇も年に数日取得すれば、年間休暇数はさらに多くなります。

 

 

有給休暇はすでにないですが、自分の都合や家族の都合などによって休みを取りたい時に、上司に相談した上、無給の休暇を取ることが可能な会社はフィンランドに多いです。

 

 

筆者の友人がそうです。クリスマスは祝日としては3日間しかないですが、有給を数日間利用し、さらに無給休暇1週間を取得して冬休みとして2週間実家で過ごしたことを聞きました。(クリスマス前の1週間とその後の1週間)

 

クリスマス前後の休み取得は非常に理解されやすいので、ごく普通に休んでいましたね。

 

 

 

 

有給取得に重要なのは「理解」「連絡」

まとめになりますが、休みの取得に関し、最初は「自分が休みを重視する」ことが重要です。

 

そして、関係者に早めに連絡し、相談した上、理解してもらえれば、フィンランドのように有給が取りやすくなるのではないかと筆者は思いますね。

 

もちろん、休む間に緊急連絡先としての担当者がいても、「進捗は出ない」ことをしっかり理解してもらう必要があります。

 

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