※ユヴァスキュラ市の市役所庁舎。
日本の行政構造は3階層で、中央政府、都道府県と区市町村です。
フィンランドは現在中央政府と区市町村の2階層構造になっています。
フィンランドの自治体レベルである区市町村はどのような役割をしているでしょうか?
我々の生活とどうかかわっているでしょうか。
実際にフィンランドに住んでいる筆者の体験を含め、この記事で一緒に探ってみましょう!
フィンランドに都道府県はないの?
実にフィンランドは昔に「都道府県」レベルの政府が存在していました。
「省」という階級の政府ですね。
省という階級の政府は2009年に廃止され、一部区市町村の間の調整役などの役割が残されているが、重要な機能はほとんど残されていません。
省が廃止されたとはいえ、100年以上使われてきたので、今でも多くの機構や組織にその名前が残されています。
例えば、フィンランド南端の「Uusimaa」やフィンランド南部中央の「Keski Suomi」などの文字は今でも銀行や民間組織で使われたりします。
基幹機能を発揮するフィンランドの地方政府
今フィンランドの政府は中央政府を除けば、残りは310個ある自治体政府です。
日本で自治体の名前は「区市町村」などがありますが、フィンランドでは「市」(Kaupunki)と「町」(Kunta)の2種類しかありません。
自治体を市にするか、町にするかは自治体自分で決めることができます。
なので、人口わずか1280人の自治体Kaskinenでも市になっていますし、人口が4万人を超える自治体Nurmijärviは町のままです。
面積も大きく変わります。
一番大きい自治体のInariは岩手県よりも広く、Kauniainenのような小さな自治体は東京の中央区よりも小さいです。
フィンランドの地方政府(自治体)はもともと「教会」でした。
地域の基幹機能を担う組織として発展してきました。
今のフィンランド地方政府は人々の生活にかかわる多くのサービスを提供・維持しています。
例えば、下記のような公共サービスが代表的です。
- 基礎医療サービス
- 保育、介護
- 教育:小学校~高校、応用技術大学
- 図書館
- 公共交通
- 水道、エネルギー、ごみ処理
こんなに幅広いサービスを提供してくれているので、我々の生活に緊密につながっているのがわかりますね。
地方政府の税金:フィンランドの住民税
日本の地方政府に納める代表的な税金は「住民税」です。
一部は都道府県政府に納め、一部は市町村に納めます。
フィンランドの住民税は全部地方政府納めます。
そして、住民税の税率を地方政府が自分で決めることができ、フィンランドの住民税は地方政府によって16.5%~22.5%の範囲内にあります。
フィンランドの住民税は日本の住民税と同じように固定税率なので、所得が多くても少なくても同じ税率になります。
フィンランドに市長選挙がない!?
フィンランドの自治体選挙は「議会選」しかないです。
議員の数はその市の人口によって変わり、小さい町には議員9人しかいないですが、ヘルシンキ市には85人もの議員がいます。
そして、市長は議会から任命されるため、市長選はありません。
市政府各部門の部長は議会で握った議席数によって各政党に配分されます。
なので、議会の最大政党が行政部門のすべてを握ることができません。
市政府(市役所)はどのように生活にかかわるの?
日本だと市役所は生活に結構かかわってきますよね。
引っ越した時に転出届、転入届を市役所でやらないといけないし、印鑑証明書などの書類が欲しいときにも市役所で手続きをするのが一般的です。
しかし、フィンランドでは。。。。。。
基本、市役所に行くことはありません!!
それも「電子社会」のおかげです。
市役所にかかわるほとんどの手続きはネットで完結できます。
そのため、フィンランドに住んで6年半の筆者はいまだに市役所に行ったことがありません!
(強いて言えば市役所に行ったことありますが、それは何かの手続きではなく、市政府が主催したイベントに参加するためでした)
ただし、何か特別な相談(住居問題、生活保護など緊急な状況など)をするときにはもちろん市役所に行きますが、一般的に行くことはありませんね。
簡単な概要ですが、フィンランドの地方政府・市役所のことをよりご理解いただけたのでしょうか。
参考:Wikipedia Municipalities of Finland
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