写真引用:https://www.iltalehti.fi/
フィンランドの教育は世界的に見てもとても優れていると言われています。子供達が好奇心を持って自発的に学んでいくフィンランドの教育。
そんな優れた教育環境の中であっても、学校に行かない子供達は実際にいます。
「登校拒否」というのではなく、あくまで家庭内で学習すること「ホームスクーリング」を選んだ子供達です。
フィンランド統計局によると、2011年ではフィンランド国内の家庭学習者の子供達は222人でした。2010年代に差し掛かるとその数字は2倍に。
2019年には437人です。
フィンランドでは、
学校に行かず家庭で学習する子供達はどのように学業を学び、そしてその親達はどのような考えで家庭学習という選択を子供達に選んだのか??
今回は、この学校に通わないことを選んだ一つのご家庭の場合と、そしてフィンランドのホームスクーリングについて触れてみたいと思います。
フィンランドのホームスクーリングとは?遠隔学習とはまた別もの。
ホームスクーリングというのは、子供が通常の基礎教育に参加せず、両親や別の保護者、または家庭教師などの助けを借りて義務教育を実施することを意味します。
フィンランドの基礎教育法の第26条では、
義務教育は、この法律に従って編成された基礎教育に参加するか、その他の方法で基礎教育のカリキュラムに対応する情報を受け取るものとする
と規定されています。
つまり、親は子供が義務教育をどのように完了するかを決めることができます。
この年、コロナの影響でフィンランドの学校では遠隔学習が実行されました。
「これも学校へ通わずに家庭で学習するのだからホームスクーリングになるのでは?」
と思われるかもしれませんが、学校が主催する遠隔学習とホームスクーリングは別物です。
遠隔教育では、教育の責任は学校にあり、このコロナの時期もそうでした。
一方ホームスクーリングでは、教育の責任がすべて親にあります。
学習面以外で何が違うのかというと、例えば、、、
通学にバスや電車通学が必要な場合の運賃学割、学校の給食、また教材などの権利を失います。
ヨーロッパの多くの国でも、同様のタイプのホームスクーリングを実施している家庭がありますが、スウェーデン・ドイツ・スペインなどではこの家庭教育は特別な場合にのみ許可されています。
フィンランドでも法律により、子供は基礎教育カリキュラムと同様の知識とスキルを習得する必要がありますが、この指示は他の国と比べると緩い方です。
家で勉強する方法について、実際の厳しい規則などはフィンランドにはないからです。
フィンランドの義務教育、留年もあるがマイナスイメージは全くない
6歳から就学前準備期間としてプレスクールが始まり、小学校へ通う前の準備を遊びを通しながら簡単なことを学んでいきます。
7歳からは義務教育が始まり、小学校中学校を合わせて9年間学校で学びます。
この義務教育の小・中の間でも「勉強についていけない」「次のステップアップへは難しいだろう」など、何らかの問題があれば留年もこの時期からあるのがフィンランドです。
「留年」と聞くと聞こえが悪いかもしれませんが、子供にとってはとても重要なこと。
フィンランドの義務教育での「留年」とは「その子に寄り添った形で教育していく」ということなので、例えば「留年=頭が悪い、努力不足」というようなネガティブなイメージは全くありません。
フィンランドでは子供が教育を受ける上で、子供の環境を大事にし、そして何がその子自信に必要なのか、
個人個人の、そして子供を中心にして周りの大人がサポートしていく形の教育を重点におきます。
幼稚園や小学校に通わないホームスクーリング11歳の双子の日常とは?
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双子のケヴィン(Kevin)とレベッカ(Rebecca)は11歳。
朝は目覚ましを鳴らすことなく起きます。それでも自然と目が覚めるのはだいたいいつも朝の8時。
彼らは自分が興味を持っていること、またはその朝にそれぞれやりたいことを起きてから始めます。
レベッカは大体、朝は科学の本を読みます。他にも最近では生物学に興味を持ち出したのだとか。
彼女は11歳という歳で、既に同年代の普通の子供よりも高いの知識があるので、現在では高校レベルの学業に励んでいます。彼女は将来、獣医になりたいのだそう。
ケビンは歴史に興味がある男の子です。彼は、様々なオンライン教育ビデオを見てよく聞き、そこから学ぶことが多いよう。
ケビンとレベッカは幼稚園や学校に通ったことがありません。
母親であるヨハンナ・ハートマンさん(Johanna Hartman)曰く、
双子の子供達には授業がなく、特定の時間や特定の事柄について勉強する必要がないと言います。
子供は自分で自由にそれらを決めて実行するとのこと。
「子供達には自由に使える教科書がたくさんあり、自分の望むものは何でも自由に手に取ることができる環境です。母親である私がその環境を整理して与えているだけ。
子供達は興味のあるトピックを見つけ、それに合った合理的なフォーチャートは何かを自身で知っています。」
と母親であるヨハンナさん。
双子のケビンとレベッカは、教科書に加えて、例えば様々な大学のオンラインサービスの教材を使用します。
そう、オンラインや本で多くの情報を検索し、学んでいるのです。
「実はね、今から勉強しなくちゃいけませんよなんて全然言わなくていいんです。それは子供達から自然にもたらされるものであって、私の子供達はいつでもそうなのよ」
とのこと。
子供達は学業だけでなく、料理や自然のこと、犬をあやすことも知っています。色々な面から吸収することだってもちろんあります。
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図書館、ワークショップ、ハイキング、海外旅行からだったり。そして、学校の休暇日はホームスクーリングも休暇日。そこは曖昧にはしません。
休日は、乗馬を楽しんだり水泳や格闘技など様々な遊びを楽しみ、お友達もたくさんいるので学業以外でも充実しています。
親はどうして子供達にホームスクーリングを選択したのか?
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ホームスクーリングで学ぶ双子の母親ヨハンナさん、どうして子供を学校に通わせずに家庭学習を子供達に選んだのか?? そこが少し疑問に思われる方もいらっしゃることでしょう。
ヨハンナさんのご家族には5人の子供がいます。現在、双子の上の3人の子供は既に成人しており、それぞれ一人暮らししているのだそう。
家族は上の子供たちが幼かった頃、都合上スペインに住んでいました。そこで上の子供達は4歳からしばらくの間、在宅教育を受けていたとのこと。
家族がフィンランドに戻り、それをきっかけに子供達も学校に通い始めたそうです。
上から2番目の子供は当時、小学校に通う年齢だったそうですが、この子は4歳でホームスクーリングを始めたため、フィンランドでは既に他の同級生よりもスキルが優れていたのだそう。
ヨハンナさんは「ホームスクーリングを始めて、自分のペースで続けることができたことは、より理にかなっている」と言います。
家庭でホームスクーリングが子供達に良い結果を出すと判明した後、一番幼いケビンとレベッカは最初からホームスクーリングという学ぶ環境を選んだとのことです。
そんなヨハンナさん自身も、常に勉強を怠らないのだとか。
去年、彼女は教育の修士号を取得し卒業しました。現在は哲学の修士号を取得するために勉強しています。
ホームスクーリングを選ぶ多くの理由とは?
ヨハンナさんはまた、ホームスクールの地位を促進するフィンランド家庭学校協会の副会長であり、協会の設立メンバーの一人でもあります。
このホームスクーリングを選択するご家庭の根本的な理由として多いのは
「普通の学校はすべての子供に適しているわけではなく、子供達の最善の方法で自分のペースで学ぶ権利と自由をサポートしていないため、子供達を家庭の学校に留めておきたいと考えている人が多い」
とヨハンナさんは言います。
彼女は、他の子供達と常に一緒にいることは、子供がグループの輪の中に仲間としていることを保証するものではないと考えています。
ホームスクーリングでは子供にとって、自分と他人との違いや学校でのいじめを心配する必要がないメリットがある、と。
彼女はフィンランドの学校と教師は優れていると認めています。が、しかし大きな学校は制度的になりすぎているとも。
Q. もし、どうしても子供達を学校へ通わせなければならなくなったらどうしますか?
この質問に彼女は
A. もしも学校へ通わせる必要な状況になった場合は、家庭的な雰囲気の小さな村の学校が子供達に最適だと思います。
とのこと。
フィンランドでの家庭教育に関する研究はほとんど行われていません。修士論文もわずかです。
2017年に発表されたオウティ・ミュッリュマキ氏(Outi Myllymäki)の修士論文では、インタビューをした(ホームスクーリングを選択した)保護者からは
- 子供が望んでいるためにホームスクーリングを選択した
- 家庭で個別に進歩する機会がある
- 家庭と学校間の意見や考え方などの違い
- 教室内の空気と問題
- 学校のいじめがある
などの理由があると答えられています。
ホームスクーリングについては、様々な意見や考えなどがあります。
どれが間違っていてどれが合っているのか、それは子供自身にしか分からないかもしれません。
しかしどちらにも言えることは、子供の将来へ通じる道しるべは親が責任を持ってサポートしていくということに変わりはありません。
次回は自治体や協会、フィンランドの教育委員会から見た「ホームスクーリング」の内容でお届けします。
参考:フィンランドの教育:ホームスクーリング、フィンランドではどう捉えられているのか?
情報・引用:Iltalehti -Kevin ja Rebecca oppivat..
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3.運営に「誠実」と「感謝」
「フィンランドや北欧と日本の交流を促進し、人々により幸せな生活をして頂く」目標に目指しながら、キートスショップは感謝の気持ちをベースに「誠実に対応する」ことを運営の第一事項にしております。いかなることに関しても最大限誠実な対応を致しますので、ご意見・ご質問は随時お問い合わせください。遅くても24時間以内にご返答致します。お問合せフォーム、メール:ken@kiitos.shop
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キートスショップは、「フィンランドや北欧と日本の交流を促進し、人々により幸せな生活をして頂く」ことが実現されるよう努めてまいります。
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