諦めさせないフィンランド教育

公開日:2018年10月28日  更新日: 2019年11月30日 関連分類:

 

今までフィンランドと日本の教育を比較する多くの記事も新聞、雑誌やネット記事の形で存在していると思いますが、実際にフィンランドの大学教育を受けたことがあり、フィンランド在住の筆者にとってフィンランドと日本の教育にいくつか大きいな違いが存在していると思います。

 

その一つとても大きいなのは「諦めさせない教育」ではないかと思いますね。

 

それはいったいどういう意味なのかを詳しく見ていきましょう。

 

※本記事はあくまでも筆者の観点からまとめたものであり、フィンランド全ての教育現場に当てはめられる内容ではないことをご理解ください。

 

エリートを育てるより学習弱者に力を注ぐフィンランド教育

フィンランド教育もフィンランド社会も共通した特徴があります。

それは「中間層を増やし、伸ばす」ということです。

 

社会福利の面から見ると、収入の高い人々から高額な税金を取り、様々な補助制度に通じて社会の弱者に再配分するのがその一例です。

 

 

フィンランド教育においても同じです。

 

すでに成績がいい生徒に力を注ぐより、教師は比較的に多い時間を学習が遅れている生徒に使います。

 

例えば、フィンランドの中学校などではこのようなシーンがあります。

教師は一つの物理コンセプトを生徒に紹介しました。

そのコンセプトについて、自分の思うことや自分の言葉で述べ直すなどの作業を二人ペアや3~4人グループでのディスカッションを10分間行うように生徒に求めました。

 

この10分間の時間を使って教師は学習の遅れている生徒のグループに入ったりしてディスカッションに参加し、学習の遅れている生徒のサポートを行います。

 

その同時に、学習の早い生徒はグループディスカッションに通じて他の生徒のサポートにもなります。

 

このように学習が少し遅れている学生を重点的にサポートすることによって落ちこぼれが出ないようにしています。

その結果、勉強することをあきらめる生徒も減りますね。

 

 

成績評価より知る喜びやできるようになる喜びを感じさせるフィンランド教育

日本では成績→いい学校へ進学→いい大学→いい就職先などの考え方が社会に存在しています。

そのため、成績が様々な面において重要となります。

 

フィンランドでは少し異なります。

試験が期末のみもしくは2回のみで、レポートの提出やグループワーク成果物の提出という評価方法も多いです。

評価方法が様々であれば、勉強の方法も様々になります。

 

レポートを書き上げることによって自分で参考資料を集め、自分の考え方をまとめ上げたりできます。

グループワークに通じてチームワークを学んだりすることもできます。

このように様々な方式で学ぶことができ、知ることから得る喜びも得やすくなります

 

もちろん、「暗記」と「問題を解く練習」も必要不可欠ですが、教育の主体ではなく、一部に過ぎないという位置づけとなります。

 

 

決まった答えのある試験(正解のある試験)と自分の考え方をまとめて述べる試験(正解のない試験)はどちらがいいかとフィンランドの学生に聞いたことがあります。

一部の学生は「決まった答えのある試験がいい」と答えました。

その理由を聞くと「考えなくていいから」だそうです。

 

自分の考え方をまとめて述べる試験でどのくらい考えさせられるかが想像できますね。

 

もちろん、学習には評価が必ず必要であり、試験も不可欠ですが、その勉強するプロセスの中で「試験や成績が大事」というより「いかに多くのことを知ってもらい、知る喜びやできるようになる喜びを感じてもらう」ことに重点が置かれます。

結果的に勉強することが嫌になる生徒も減るでしょう。

 

 

教育の現場は教室や学校にこだわらない

学生たちは本当に一日中学校にいなければいけないでしょうか。

先生が生徒を連れて町の中で教育を行うのはだめでしょうか。

 

恐らく多くの読者は「何があったらどうするの?」「学校の責任は?」などを連想するかもしれませんよね。

 

フィンランドではそのような心配がありません。

社会全体が教師の専門や権限に高く尊敬しているからです。

 

実際に筆者がフィンランドで金曜日朝10時のバスに乗っている時に小学生が先生と一緒に乗ってきてどこかの博物館に見学に行ったりすることを何回も目撃しています。

また、ヘルシンキ日帰りツアーを実施している最中(どれも平日)のバーべーキュー場でも3回ほどフィンランドの学生と同じバーべーキュー場を使用し、会話したこともありました。

 

1回は小学生のグループで、1回は特殊教育の学生たちで、もう1回は通常の高校生でした。

 

常に教室で缶詰め状態で勉強するだけではなく、偶に野外や自然の中という環境を活用した教育、もしくは博物館や美術館を活用した教育は実際に勉強したものを応用したり、練習したりすることができるし、息苦しくならずに少し気楽に勉強できるのも学生に諦めさせない工夫ではないかと思いますね。

 

 

このように、「いい成績が大事だから勉強しよう!」という概念より「様々なことを知ることができるから勉強しよう!」という違いがあり、フィンランド教育では学生に勉強を諦めさせない様々な工夫がされています。

 

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2.雑貨と現地ツアーに通じて幸せを増やしたい

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