前回、フィンランドのホームスクーリングというテーマでご紹介した記事を覚えていますか?
フィンランドの義務教育の規定やどういった理由でホームスクーリングを子供に選んだのか?
子供達は実際どのように家庭で学んでいるのか?
などなど・・・
その親の意見を中心にご紹介したわけなのですが、
今回は、また違った視点からフィンランドにおけるホームスクーリングについて触れていこうと思います。
*前回の記事を先に読んでおくのをおすすめします。
参考:フィンランドの教育:ホームスクーリング・学校に通わない子供達はどうしてる?
ホームスクーリングを選んだが、実際は後悔する親も。
前回の記事では、ホームスクーリングに対してポジティブなイメージで記事を書きました。
が、現実にはそのポジティブな想像とは真逆になる可能性もひめているのは確かです。
国際的なこのホームスクーリングの研究では、
- 学校の暴力
- 薬物問題
- その他の安全でない環境
などを、ホームスクーリングを子供に選んだ主な原因として親は挙げています。
フィンランドの全国教育委員会(OPH)の教育カウンセラーであるアンナマリ・カヤスト氏(Annamari Kajasto)は、自治体や保護者から毎週、家庭での教育について連絡を受けていると言います。
その連絡・相談内容の一つとして、
ホームスクーニングという決定を下し選択したが、特別な教育は保護者が望んでいたものではなかったという内容。
そして子供をまた学校へ通わせたいと思う親の相談もあるようです。
自治体がホームスクーリングの子供の状況を把握しておく
フィンランドの基本教育法によると、自治体は家庭学習者の学習進捗状況を監視する必要があります。
全国教育委員会OPHは、数年に1回、家庭学習者と面会するために調査自治体に調査教師を任命することを推奨しています。
ただし、教師は進行状況を監視しますが、学習の責任は負いません。
しかし、このホームスクーリングの監視に関するゆるい立法と家庭学習者の状況について、時折一般の議論があります。
ホームスクーリングという学習環境では、常に子供の最善やメリットが実現されるとは限りません。
過去にホームスクーリングを選択した親に罰金が課せられたことも
2018年、地方裁判所は10歳の子供が読み書きができず、実際には5〜6歳のレベルだったという事件がありました。
この子供はホームスクーリングという学習環境に置かれていると言われていたので、家族は学校主催の訪問には一切答えませんでした。
ホームスクーリングという環境を子供に選んだ親ですが、子供へのサポート、管理、その他のことなど蔑ろに慣れていた子供。
ホームスクーリングという環境では全ての責任が親である保護者にあります。
最終的にこの子供の親は罰金が科せられたということです。
このようなことが発覚された当時、フィンランドの子供のためのオブズマン(Lapsiasiainvaltuutettu)のトゥオマス・クルッティラ氏(Tuomas Kurttila)は、
「自治体には義務教育の進捗状況を監視するためのより明確な指示を与える必要がある」
と、コメントしました。
全国教育委員会OPHのカヤスト氏によると、
ホームスクーリングでの子どもたちの幸福と学習について、地方自治体の懸念を耳にすることがあります。一部の学校は、特別なサポート決定の場合に必要とされています。
と答えています。
必要なサポートが家庭でちゃんと責任を持って子供に与えられているのかどうか?
ここは基本中の基本ですが、これが親だけではなかなか思うように行かないご家庭もあるのは確かです。
自治体の慣行はさまざま・修了証の重要性
フィンランドのホームスクーリング協会、そして全国教育委員会OPHのカヤスト氏の両方からの情報によると、自治体の監視方法は現在のところ統一されておらず、さまざまだと言います。
これも海外のホームスクーリングと比べてフィンランドでは「決まりが緩い」と言われる理由のの一つかもしれません。
協会の大きな目的はこの自治体の監視方法を実践を均一にすること。
また、全国教育委員会OPHによれば、調査中の教師は家庭学習者の進捗状況について年次報告書を作成することができる、と。
保護者が子供の修了証明書を必要とする場合、親が個別にテストを要求する必要があり、そのテスト後、子供は証明証を受け取ります。
子供が勉強を計画するとき、自宅学習者である子供に修了証を残すことの重要性や認識について子供や保護者と話し合うことを期待しているとカヤスト氏。
コロナの時期を機にホームスクーリングの関心が高まっているが・・・
2020年3月16日、フィンランドではコロナによる非常事態宣言が発表されました。
その時期、もちろん学校登校はせず遠隔授業を余儀なくされた子供達。
そして約2ヶ月後の2020年5月14日、フィンランド政府は学校を開校すると決定しました。
実際、これには「早すぎる」「感染が不安」など多くの親が不満を抱きました。
前回の記事で取り上げた、ホームスクーリングを実施している双子の母親であるヨハンナ・ハートマンさん(Joanna Hartman)は、このコロナによる生活環境の変化をきっかけにホームスクーリングへの関心が以前よりも高まっていると考えています。
COVID-19を引き起こすコロナウイルスは、これから長い間、おそらく何年もの間、人の生命に影響を与えると推定されてきました。秋には新しい流行の波が訪れるかもしれません。
しかし、子供を例えば2週間だけホームスクーリングに転校させることはおすすめできないと彼女は言います。
それは、まず事務処理を必要とし、子供は近くの学校で自分自身の居場所を失ってしまう可能性があると。
更に続けて、ホームスクーリングの決定を下すということは、親が子供の将来に大きな責任を負うということを常に頭に置いておくよう強調しています。
「学校を選ぶのかホームスクーリングを選ぶのかを決めるときは常に子供の最善の利益のためになされなければなりません。私は何度も子供達に学校に行きたいかどうかを尋ねました。」とヨハンナさん。
彼女は、ホームスクーリングは全ての子供に適していると考えてはいるようですが、全ての家族や全ての家族の状況には適していないと言います。
子供が以前、学校に通ったことがある場合、ホームスクーリングに慣れるには多くの親の助けが必要です。
学校に通った子供は、自己指導・自己管理ができなくてはホームスクーリングに慣れるにはかなり難しいでしょう。これをまずは習得する必要があるのです。
そのため、最初は子供をしっかり親が管理する必要があります。
もちろん、ホームスクーリングを子供がうまく取り入れるよう馴染めるよう、特別なサポートを協会では提供しています。
どちらにもメリット・デメリットがあり、全ては子供のことを第一に考えてより良い環境を選ぶということ、そしてホームスクーリングを選んだらサポートをうまく使いながら親もサポートしていくことが重要ということです。
日本ホームスクール支援協会では、日本国内で約3000ほどの家庭がホームスクールを選択しているとのこと。
この数字が大きいのか小さいのかは分かりませんが、これもまだまだ正確な数字とは言えないようです。
なんらかの理由で「不登校」になってしまう子供も多い中、そんな子供達にはちゃんとした教育が行き届くよう、国や自治体はサポートする体制を取らなければならないという法律が日本にはあります。
日本ではできる限り「登校して学ぶ」ということが勧められますが、ホームスクーリングの児童向けにIT教材があることも事実です。
今回は、フィンランドのホームスクーリングについて二つの記事にして触れてみました。
いかがだったでしょうか?
前回のホームスクーリングの記事はこちらから
参考:フィンランドの教育:ホームスクーリング・学校に通わない子供達はどうしてる?
情報・引用:Iltalehti -Kevin ja Rebecca oppivat..
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ショップコンセプト
1.フィンランド 北欧というと?
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2.雑貨と現地ツアーに通じて幸せを増やしたい
「フィンランドと日本の交流を促進し、人々により幸せな生活をして頂く」という目的を果たすため、キートスショップ現在は「フィンランド雑貨販売」と「ヘルシンキ現地ツアー」の2軸で事業を展開しております。フィンランドの雑貨が好きな方により良い製品、より早く、より良い価格でご提供し、フィンランド雑貨をお客様が手に取る際の喜びを想像しながら事業を運営しております。また、実際にフィンランド・ヘルシンキまで旅をされた方々にはフィンランド文化の核心価値を実際にご体験頂けるヘルシンキ現地ツアーをサービスとしてご提供しております。
「キートスショップで買ってよかった!」「キートスショップのツアーに参加してよかった!」というお客様の声を糧に、より良い商品を提供できるよう、より良いツアーを提供できるよう進めていきたいと思います。
3.運営に「誠実」と「感謝」
「フィンランドや北欧と日本の交流を促進し、人々により幸せな生活をして頂く」目標に目指しながら、キートスショップは感謝の気持ちをベースに「誠実に対応する」ことを運営の第一事項にしております。いかなることに関しても最大限誠実な対応を致しますので、ご意見・ご質問は随時お問い合わせください。遅くても24時間以内にご返答致します。お問合せフォーム、メール:ken@kiitos.shop
4.キートスショップの名前
「Kiitos」はフィンランド語で「ありがとう」を意味する言葉。『フィンランドには優れたデザインや製品を提供してくださることに、日本の方々には外国の文化を理解して頂くことに感謝し、ショップ経営に取り組んで行きたい』そのような思いから、ショップ名を「キートスショップ」にしました。
キートスショップは、「フィンランドや北欧と日本の交流を促進し、人々により幸せな生活をして頂く」ことが実現されるよう努めてまいります。
キートスショップスタッフ一同より(フールバージョンはこちら)