※写真は書籍より撮影して引用:『ムーミン谷の仲間たち』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、山室静/訳、1990年発行
見た目も思想もかっこいいスナフキンのファンはたくさんいることはみなさんもご存知ですよね。
物語の主人公であるムーミンをおさえて人気投票1位に輝いたこともあるくらいの人気っぷりです。
が、実はムーミンの物語の中にも熱狂的なファンがいることを知っていますか?
ムーミンのたくさんの物語の中でもほんのわずかしか登場しないのですが、そのエピソードから密かな人気があるキャラクターである、「ティーティーウー」についてお話ししたいと思います。
ティーティーウーってどんなキャラクター?
ティーティーウーは、森の中に住む、ちいさなはい虫のひとりです。
「虫」とつくものの、いわゆる虫ではなく、小さくてたくさんいる生き物たちのことを総称したもののようです。
はい虫は集団で生活していて、いつも自信なさげに、おどおどとしています。
はい虫の中にも種族があり、クニットとクリュープのふたつに分かれています。
クニットは小さなヒト型の種族で、
クリュープは毛が生えた小動物のようなイメージです。
ティーティーウーは、はい虫のクリュープです。
いたちのような胴の長い動物に近いイメージで描かれています。
※Moomin.comより引用。
ティーティーウーの登場
とあるはい虫は、森で暮らしていました。
そこは、ムーミン谷の外にある森です。
その森はスナフキンが冬の旅からムーミン谷に戻る道程にあるため、はい虫は毎年、ムーミン谷へと向かうスナフキンのことを見かけていました。
このはい虫が、スナフキンに憧れたティーティーウーです。
……いえ、正確にはこの時はまだたくさんいるはい虫の中のひとりでしかなく、彼にはまだティーティーウーという名前はありませんでした。
自分のことを集団の中の一部でしかないように感じていたはい虫は、ある年に思い切ってスナフキンに声をかけてみたのですが……この時は残念なことに、とてもタイミングが悪かったのです。
この”タイミング”については、このエピソードが語られる媒体によって違ってくるのですが、例えば小説版では以下のようなシチュエーションでした。
ムーミン谷へと帰る道すがら、スナフキンは新しい春の調べをつくっていました。
ムーミンに会ったら聴かせたい、と考えながら焚き火にあたり、食事をし、たばこを吸うスナフキン。
この時のスナフキンは曲作りに真剣で、そのためのひとりの時間を楽しんでいたのです。
こんなタイミングで知らないはい虫が無邪気に声をかけてきたものだから、さすがのスナフキンも機嫌を損ねてしまいました。
「あなたのことを知っているよ。スナフキンでしょう。いつも世界中を旅して春になるとムーミン谷に行くでしょう」
「火にあたってもいいですか?スナフキンのたき火にあたった初めてのはい虫で幸せです」
「リュックにハーモニカ入っているでしょう。もしよければきれいな音楽を聴きたいな」
こんな風に話しかけられたってにこやかに返事なんかできなかったのです。
ちいさなはい虫が、ティーティーウーになる時
スナフキンの、短く冷たいあしらいの中に「きみの名前は?」と尋ねるものもありました。
しかしこの時のティーティーウー、もといはい虫にはまだ名前がなかったため、スナフキンに名前を付けてほしい!とお願いしました。
でも、あいにくこの時のスナフキンはすこぶる機嫌が悪いのです。
名前をつけてくれるはずもなく……。
やはり冷たくあしらわれてしまったはい虫はやがて諦め、寂しそうな背中を向けながら森へと消えていきました。
この後、ご機嫌ななめだったスナフキンもさすがにハッとします。
自分を慕い声をかけてくれた相手に、タイミングが悪かったとはいえひどい態度をとってしまったことを思い、スナフキンは心をもやもやとさせました。
ここで小説版のスナフキンは「こんな気分になったことは一度もないぞ」と口にします。
黙って、静かに心の中で整理をすることも難しかったのでしょうね。
はい虫に名前をつけてあげることにしたスナフキンは、ここで「ティーティーウー」という名前を提案します。
始めは明るく、終わりは少し悲しそうなイメージなのだと話しました。
始めは明るく、終わりは少し悲しそう。
それはきっと、スナフキンから見たそのはい虫のイメージそのままだったのでしょう。
明るく無邪気に話しかけてきたティーティーウー。
その後で、最後は落ち込んでしまい、寂しそうな背中を見せたティーティーウー。
あまりにも単純な名付けではありますが、当のはい虫は大喜び!
それはそれは嬉しそうに「ティーティーウー!」と叫び、自らの名前を噛みしめるのでした。
まとめ:名前をもらうということ
これまで、あくまでたくさんいる小さなはい虫たちのひとりでしかなかったティーティーウー。
彼はこの時、初めて世界に自分がひとりだけで、唯一無二の存在であることを認識したようでした。
集団の中の一部としか感じられなかった自分に、価値を見出すことができたティーティーウーの人生は、きっとこれから大きく変わっていくことでしょう。
これについてはティーティーウー自身も「今は自分に名前があり、これから起こる全てのことがこの名前を持つ自分に意味があります。」と語ります。
だから、これからはとても忙しくなるのだ、と。
ティーティーウーの生き方がガラリと変わったことが、ティーティーウー自身の口からも語られているのです。
はい虫の特徴である、「集団で生活して、いつも自信なさげに、おどおどとしている」というのは、私たち人間にもぴったり当てはまることなのかもしれないな、と感じます。
それでも自分に価値を見出し、自信をつけることができたらその時には、ティーティーウーのように生き方そのものが変わるような思いを得ることができるのかもしれませんね。
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