ムーミン谷には、不思議ないきものたちがたくさん暮らしています。
その中から今回ご紹介するのはニブリング。
ムーミンの物語に詳しい方以外はこの名前を聞いたことがある方は少ないかもしれませんが、グッズになっているものも多いので、その姿はどこかで見たことがあるかも……?
ニブリングってどんなキャラクター?
ニブリングは、ちいさな動物のような姿をしています。
全身は毛におおわれており、大きな鼻を持ったねずみのような顔をしていて、ひげがあります。
その姿は作品によって異なるのですが、コミックス版では帽子をかぶっていたり洋服を着ていたりと可愛らしい姿で描かれることが多いようです。
ぬいぐるみなど、グッズ化しているのもこのコミックス版のデザインが多いかもしれません。
※引用:Moomin.com
見た目はかわいらしい(ことが多い)ニブリングですが、その正体は、『なんでもかじってしまう』というやっかいな性質を持ったキャラクター。
彼らは何でも食べることができるようで、一度狙われてしまったら、あとに残るのはネバネバのスライムのような物体だけ、なんて言われることも。
「どうしてスライム?」と気になった方のために補足すると、その秘密は彼らの手足にあるようです。
ニブリングの手足はとてもベトベトしているのです。
だから彼らが触ったものには、ネバネバの液体がついてしまうのでしょうね。
また、ニブリングという名前は英語名。
スウェーデン語ではクリップダッスという名前なので、こちらの名前で呼ばれることもありますよ。
ニブリングと、ムーミン谷の住民たち
ニブリングは先述の通り、『なんでもかじってしまう』という性質を持っています。
だから、ムーミン谷の住民たちからはやはり厄介な存在だと思われているみたいです。
彼らに狙われてしまったら最後なのですから、当然と言えば当然です。
しかし一方で、ニブリングの方は、ひとりでいることを嫌います。
いつも誰かと一緒にいたいと考えていて、出会った人についていってしまう習性があるのです。
※写真は書籍より撮影して引用。参考書籍:『ムーミンパパの思い出』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、小野寺百合子/訳、1990年発行
また、ニブリングの厄介なところは『なんでもかじってしまう』ところだけではなく、ひとの秘密を見つけてしまうことでもあったりするようです。
鍵穴や窓から中を覗いたり、時にはベッドのマットレスの下までチェックしてしまうこともあるのだとか。
これは、ムーミン谷の住民たちがニブリングを遠ざけたがるのも納得ができてしまいますね。
ニブリングの意外な一面
小説「ムーミンパパの思い出」では、ニブリングの変わったエピソードが描かれています。
それは、ムーミンパパの船旅に参加していたヘムレンおばさんをさらってしまうというもの。
ある時、ムーミンパパたちが乗る船のまわりに、何千匹ものニブリングたちが集まってしまい、船が動けなくなる事件が起きました。
まじめで教育好きのヘムレンおばさんは、「勉強ができなくなる」とご立腹の様子でニブリングたちをたたいたりしてみます。
ですが、いくらニブリングが小さな生き物であるとはいえ、多勢に無勢。
さすがに敵うことはなく、最後にはニブリングたちによってヘムレンおばさんはさらわれてしまったのです。
なんでもかじってしまうやっかい者のニブリングたち。
そんな彼らにさらわれたとなっては、ヘムレンおばさんのその後も気になるのですが……。
しばらく経った後で、ヘムレンおばさんからの手紙で、彼女がニブリングたちと楽しく過ごしているらしいことが判明します。
ニブリングたちはヘムレンおばさんによる教育遊びが気に入ったようで、ヘムレンおばさんはそれがとても楽しかったようなのです。
友人が結婚するというのに、「ニブリングたちと離れがたい!」という理由で、招待した結婚式に来なかったほどに。
(その代わり、とても豪華なお祝いのプレゼントは届いたのですが)
教育遊びが好きだなんて、ニブリングの意外な一面を垣間見ることができるエピソードですよね。
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