筆者が今日フィンエアーに乗っていて機上食に添付された小さなカードを見て気付いた話ですが、「世界初の義務教育学校給食完全無料化」です。
そのカードはフィンランド独立100周年記念の一環として作られた宣伝物でしょうが、フィンランドの小学校、中学校や高校では給食は完全無料という面白い内容でした。
フィンランドでは、小学校前の1年間の学前教育(Pre-School)、小学校、中学校(小中一貫校が多い)、高校まで昼食の給食は無料で、国が負担します。
世界初の学校給食無料化
フィンランドの学校給食無料化が正式に始まったのは二次大戦終わった後の1948年でした。
給食の無料化は実にそれより数十年前から始まっていましたが、一部の自治体による小規模の内容でした。
現在では、全土に渡って実施され、歴史も70年ほどになり、フィンランドの伝統くらいになっています。
このような政策が続くコンセプトは意外とシンプルです。
「いい給食は未来への投資」(A good school meal is an investment in the future)
学校給食のメニュー
1948~1960年代まで主なメニューはスープとお粥でした。
メニューの多様化は1960年代以降に徐々に始まり、冷凍野菜や加工食品が初めて加えられました。
更に1970年代以降にお米やスパゲッティなど一般家庭でもまだ普及していないメニューが入りました。
EU加盟後に関税障壁が取り除かれ、様々な野菜や果物がフィンランドに入るようになり、現在となって十分に多様な食材を楽しむことができます。
また、お菓子やデザートについて、約30%の学校はお菓子も提供しています。
しかし、多くの学校はパン、果物、乳製品、ベリーなど健康的なお菓子しか提供していません。
学校は基本的に糖類飲料や高塩分、高カロリーのお菓子を提供しません。(ただし、禁止ではありません)
また、学校の自販機ではどういうものを売っていいのかについて、学校から生徒の親に相談することがあります。学校と生徒の親と一緒に決めていくという感じですね。
給食と教育の一体化
フィンランドの給食無料化は法律によって定められ、教育の一部となっています。
国全体の教育方針はフィンランド教育委員会によって制定されています。その中で給食による教育が盛り込まれ、各自治体や学校が自分の権限を持って実行しています。
ただし、給食の内容はフィンランド栄養協議会から提供されたガイドラインに沿ってメニューを選択し、調理します。
ちょっと古いですが、2008年のデータによると、給食費はフィンランド教育予算の8%ほどを占めています。(教育活動自体が66%、施設維持が14%)
昼食の時間はご飯を食べるだけではなく、子供に栄養と飲食慣習を教える時間でもあります。ある意味保健と健康の授業の時間でもあります。
最後に
小学校の時、自分から弁当を持ってくるか、親から弁当を届けてくるか、学校の給食を毎月払って食べるかという記憶でした。
ただで食べる昼食は一回もありませんでした。
フィンランドの給食無料化は保健教育、健康教育、飲食教育がメインではありますが、実に子供の教育が親の経済状況に影響されない、影響されにくいようにする政策の一環とも考えられます。
このような政策のおかげで貧困に陥り、毎日給食費のために悩む家庭も減るのではないでしょうか。
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