北欧フィンランドは5月が夏直前の月です。
この時期にもなれば、気温も暖かく過ごしやすい日が多くなり、
そこら中が猛スピードでたくさんの植物が顔を出してきます。
その中でも野道や森でとてもよく目にする花。
この花の開花時期、フィンランドでは「春の森」と言われるほど。
実はフィンランド人の名前にもなるほどこちらでは有名な花があります。
北欧の白い花・フィンランドで母の日に送られる花
この白い花、フィンランドではヴァルコヴオッコ(Valkovuokko)と言われる花で、
ヴァルコ(Valko)は「白」
ヴオッコ(Vuokko)というのが花の種類の名前です。
実はこのヴオッコ(Vuokko)という単語は
フィンランド人の苗字、名前に関係なくよく使われたりします。
例えば、
マリメッコが好きな方だとピンとくると思いますが、
そう、このマリメッコ社を代表するデザイナーである女性の名もヴオッコ(Vuokko)。
Vuokko Nurmesniemi「ヴオッコ・ヌルメスニエミ」という素敵な名前の持ち主です。
*この方が登場するマリメッコのことを知りたい方は…
さて、この花、日本ではイチリンソウ属になりますが、
フィンランドでは特に南部でよくみられる一般的な花。
逆にラップランド地方の北部ではちょっと珍しかったりもします。
南部では5月から咲き出す花で、母の日である5月の第2日曜日には
子供達が森や野原から摘んできて母親にプレゼントされる花でもあるのです。
場所によってはかなりの広範囲で繁殖する花
もうひとつ、日本語で分かりやすいこの花の名前は
「白いアネモネ」
といったらなるほどと思われる方が多いかもしれません。
長い根茎を土の中で張り巡らせ、場所によっては広範囲で繁殖する多年生植物です。
実際の高さは通常20cmほどですが、
空に向かって垂直に伸びるわけではないので歩いていると踏んでしまうほどの高さ。
陽が当たるフレッシュな森、牧草地ではもちろん、庭園や公園、溝などでも咲きます。
たまに白い色ではなく青い色の同じような花も見かけますが、
こちらもフィンランドでは同じ種類とみなされるシニヴオッコ(Sinivuokko)と言われる青ヴオッコになり、日本ではミスミソウと言われる花。
毒性があるのに治療薬の花?!どういうこと?
先ほど冒頭で、母の日には子供達が摘んできてプレゼントする花だと言いましたが、
実はこの花には微量に毒性があるので、摘み取ったらすぐに手を洗うことが勧められています。
しかしその一方で、民間療法にも使用されていた花でもあります。
何とも矛盾な話ですが、
乾燥させ、粉砕した新しいものはリウマチ性疾患や関節痛の治療に使用されてたのです。
アリの助けも借りて広がっている花
花粉を運ぶのはもちろんハチなどの花粉媒介者ですが、
この白いアネモネの種子には、アリを引き寄せる油が含まれています。
アリはこの花の種子を運び、更に繁栄するための場所を広げることを助けてくれるのです。
自然界は本当にうまくできていますね。
*フィンランドでは自然界に人が手助けも。
参考:フィンランドにあるカワイイこれ何?ミツバチたちを守ろう
森でこの花をよく目にするということは、この場所は日当たりが良好だという証拠です。
そういえば、アリも日陰よりも日当たりが良いところで見かけますものね。
自分の庭に咲かせる人もいる花
春を告げる素敵な花の魅力は、庭に咲かせる花としても人気です。
もちろん、毒性はありますがそれは穏やかなものなので母の日だけでなく花束として摘んでくる人も多い花。
この白いアネモネが貴重なところでは勝手に摘んではいけない場所があります。
例えば、北オストロボスニアやカイヌ、ラップランド。
しかし、フィンランド南部では出来るだけ少なく心がければ森などから収集してきても大丈夫。
日当たり良好なところで花は咲きますが、繁殖に関しては少し日陰がある方が育ちます。
また、花束として摘んできて飾る場合は、
茎を少しだけナイフで切ってから水ではなくちょっと緩いぐらいの水の入った花瓶に入れるのがよく、毎日水を変えることが良いとされています。
*フィンランドで咲くケシ属の花は日本とちょっと扱いが違う?!
参考:マリメッコのウニッコ・実は危険な花なの?!人気が故の事件も。
5月のフィンランドはお天気も落ち着かない日もありますが、
素敵な月でもあります。
暖かい日が一週間も続けば、冬の景色を忘れるほど景色がガラッと変わるのですから。
「フィンランドの暗く寒い冬はもう終わった」というお知らせは、白いアネモネを目にする頃です。
情報・引用:Yle-uutiset -Valkovuokkoja kerätään yhä äidille
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