スナフキンの春の調べと一人の時間:実に深いムーミンの物語

公開日:2018年3月1日  更新日: 2019年11月30日 関連分類:

トーベ・ヤンソンが書いた『ムーミン谷の仲間たち』は9個の物語で構成されています。

その一つ目はスナフキンの物語です。

 

スナフキンはムーミン谷にいないときはいつも一人で旅して世界中を回っています。

しかし、今回彼はムーミン谷に戻る旅の途中である自分に憧れているはい虫に出会いました。

 

本来スナフキンは自分一人の時間が欲しくて他人に自分の世界に入ってほしくなかったが、どうやらはい虫の話に惹かれ、もっと一緒に話をしたくなったようです。

しかし、そのはい虫は自分でも忙しくなり、スナフキンと話す時間も惜しくなり、スナフキンはそれに気づき、いつもの一人の旅に戻ることにしました。

 

※写真は書籍より撮影して引用:『ムーミン谷の仲間たち』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、山室静/訳、1990年発行

 

人間関係を築くには双方の意思と行動が必要

人と人の間で関係が出来上がるにはいつも双方の意思と行動が必要です。

その意思と行動がもし片側にしかないなら、どうしても人間関係を築くことができず、発展するのもできません。

 

今回スナフキンとはい虫の状況はまさにこのことだと思います。

最初はい虫に出会ったスナフキンははい虫と話すことに興味がなく、はい虫が話を一方的にするだけでした。

その後、スナフキンははい虫に興味を示したが、はい虫は話を続けるに興味がなくなりました。

 

このように交差する二人が相手に対する思いがすれ違い、関係を築き上げることができませんでした。

 


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自分の意思と行動と相手の意思と行動に敏感になる

我々が社会の中にある人間関係も同じでしょう。

二人双方がお互いに興味があり、一緒に過ごす時間を作れれば、それで二人の関係が発展していけます。

しかし、片側だけでしたら、その関係は一時的に維持できても最終的に発展するのは難しいでしょう。

 

そういう意味では人間関係を発展するには自分の気持ちと行動と相手の気持ちと行動に敏感になり、常に確認していく必要がありますね。

 

 

他人に依存する人生から自分中心の人生に

はい虫が自分の名前をもらう前に、自分の生きる意味を感じず、他人の人生に依存して生きていました。

そのため、スナフキンの人生をすごく憧れてずっと彼のことを見ていました。

 

しかし、スナフキンから自分の名前をもらってから、はい虫は自分の新しい意味のある人生を見つけてから自分中心の人生になりました。

 

周りの状況を把握し(空気を読み)、グループに合わせながら(和を保ち)、うまく一緒にやっていく日本の社会文化の中で自分中心になる人生を維持して続けていくのはなかなか難しいかもしれません。

 

もちろん、グループの和を保ちながら他の人々と一緒にうまくやっていくのは非常に大事です。

とはいえ、自分を完全に隠す必要もありません。

 

理想論ですが、自分をしっかり保ちながら周りと一緒にうまくやっていくのが一番いいですね。

 

 

 

はい虫の変化から自分のことを考えてみる

自分は名前をもらう前のはい虫になっているかどうかを考えてみたことありませんか?

 

他人の人生ばかり憧れ、羨み、他人のごとばかり見ていませんか?

持ってるものが少なくても、できたことが少なくても、できることが少なくても、自分には自分なりに楽しい人生を送ることだってできます。

 

そう思っていない。そう信じていない。そう気づいていないだけかもしれませんよ。

 

このようなことに気づき、自分らしく意味のある人生を過ごしていってほしいというのは原作者トーベ・ヤンソンが伝えたいメッセージかもしれません。

 

※参考書籍:『ムーミン谷の仲間たち』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、山室静/訳、1990年発行

 

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