フィンランドの珍らしい形をしたスイーツ「ルーネベリタルト」

公開日:2020年1月17日  更新日: 2020年02月01日 関連分類: 

 情報・写真引用:www.meillakotona.fi

 

 

年が開けると、スーパーでもカフェでも目立ってくるフィンランドで有名な、あるスイーツがあります。

 

見た目が一般的なタルトやケーキと違っていて、どんな味がするのか、中に何が入っているのか、って言うかケーキなの?タルトなの?!

円柱型の珍らしい容姿をしているので初めて見た方は「スイーツとは分かるけどなんだこれ?」となるはず。

 

その名は「ルーネベリタルト(Runebergintorttu)」。

 

さて、この謎めいたスイーツのお話を今回はしていきましょう。

 

 

 

 

フィンランドでは毎年1月から2月5日までの限定スイーツ

このルーネベリタルト、どんなものなのかと言うとタルトの部類に入るそうで、

日本人には少しドライに感じる土台の茶色い部分は、アーモンドの香りがほんのりしていてオレンジピールが入っていることもある、言わばタルト部分。菓子用のラム酒などで香り付けされいるものも少なくはありません。ケーキスポンジとタルトを足して二で割ったような感じです。

 

 

タルトの上に乗っているのはリンゴジャムだったりラズベリージャムだったり。

そのジャムをお砂糖の白いアイシングが囲んでいます。

 

 

中身はジャムが入っているのもあれば、何も入っていないタルトもあって、

絶対的なレシピはありませんが、大まかに言うとこんな感じです。

 

 

このタルト、スーパーやカフェでお目にかかれるのは大体1月〜2月5日まで

 

古い赤倉庫が川沿いに並ぶ観光所で有名な街、ポルヴォー(Porvoo)は特別!

一年中提供されているお店が何件かあります。

 

 

 

 

どうして2月5日までの限定スイーツなのか?

どうして中途半端な日付の「2月5日まで」限定なのか、不思議に思われたことでしょう。

 

 

それは、フィンランドの偉大な国民的詩人、ヨハン・ルドヴィグ・ルーネベリ(Johan Ludvig Runeberg)と言う方のお誕生日が2月5日だからです。

 

そう、このタルトの名前にもなっているルーネベリさん、

もしかしたらヘルシンキ観光に来られた方は知らずのうちに彼に会っていたかも知れませんよ。

 

なんてったって彼はヘルシンキの中心にある有名なエスプラナディ公園にいつもいますからね。

 

 

情報・写真引用:http://taidemuseo.lasipalatsi.net

 

 

この銅像にもなっているヨハン・ルドヴィグ・ルーネベリと言う人、「国民的詩人」と言われていますが、どれほどの人なのか?

 

そして、どうしてこれまた「詩」とは全く関係ないスイーツであるタルトに彼の名前が付けられているのか?と言う疑問が出てきます。

 

 

フィンランドの国歌とルーネベリタルトの共通点

フィンランドの国歌「我等の地(Maamme)」の歌詞、実はヨハン・ルドヴィグ・ルーネベリによって書かれたものが元となります。

 

 

その昔、35をもの詩を含む長編詩をスウェーデン系フィンランド人だった彼はスウェーデン語で書き下ろします。

 

この長編詩では主に1808〜1809年の(スウェーデン統治時代の)フィンランド戦争の出来事を書いた詩であり、その冒頭で「我が祖国 母なる大地よ(Vårt land, vårt land, vårt fosterland)」と言う詩が出てきます。これは今のフィンランド国歌の出だし部分。

 

 

そして後に、公用語がフィンランド語となるとスウェーデン語だった詩は翻訳され「我等の地(Maamme)」が出来上がり、今ではフィンランド国歌として歌われるようになったと言う訳です。

 

 

彼の死後まもなく、多くの国家名誉を彼は受けました。その中でも初期のものはポルヴォー市にある彼の家を博物館に改装したことです。

そう、彼はポルヴォーに住んでいたんですね。

 

ですので、ポルヴォーでは特別に、年中このルーネベリタルトを扱っているお店があると言うのも納得。

 

 

そして国歌の歌詞の元を作った、そんな偉大なヨハン・ルドヴィグ・ルーネベリ、、、

 

大の甘いもの好き、実はスイーツ男子でした。笑

 

 

彼は妻であるフレドリカ・ルネベルグ(Fredrika Runeberg)に「何か甘い美味しいものを作ってくれないか」と、頼んでよく作ってもらっていたのがこのルーネベリタルト。

 

当時は貧困だったフィンランドで、限られた材料、しかもその日の食卓棚にあるものを使って作ってくれていたため、彼女自身が書いたレシピはありません。

 

今やっと、このタルトの名前に彼の名前が付いている訳がわかりましたね。

 

そう、彼が好んで幾度も食べていたタルトが今で言うルーネベリタルトだったんです。

 

 

しかしながら歴史家が言うには、元々のこのタルトのレシピはポルヴォーの菓子職人によって考え出されたもの。

ルーネベリはこのような甘いタルトが大好きだったため、彼にちなんで名付けられたのだ、と言う説もあります。

 

本当のところは何が本当なのかハッキリしていませんが、多くの人はルーネベリの妻が作ったのがきっかけだと信じていることでしょう。

 

どちらにしろ、甘党のルーネベリはこのタルトがお気に入りだったと言うことは確かです。

 

 

 

 

スーパーで売られているルーネベリタルトはどれが一番美味しい?

情報・写真引用:Ilta-sanomat -IS maisteli 9 markettien runebergintorttua..
 

1月中頃になるとスーパーマーケットに並ぶ、色々なメーカーのルーネベリタルト。

どれが一番美味しいのか分からなくなるほどです。

 

どれも見た目はそこまで変わらないものの、

「タルトの上に乗ったジャムが大切だ」と言う人、「いやいや、アーモンド風味が聞いてるかどうかが重要ポイントだ」と言う人、ルーネベリタルトの評価をする基準は人それぞれですが、

 

タルトの土台である茶色のボディの部分は、しっとりしているのかパサパサなのかは最もタルトの違いが出るところです。

 

 

フィンランドの新聞メディアIlta-Sanomatで、7人の審査員が9つの食品メーカーから出されているルーネベリタルトをそれぞれ試食し、

 

「どのメーカーのものが美味しいと感じたか」

 

と言うテストをされたようなので、そのベスト3を皆さんに発表しましょう!

 

 

1位Kanniston leipomo社(カンニストン レイポモ)

8ポイント(10ポイント中)

「素晴らしいジャム。生地は適度にしっとりしていて且つ、美味しい!」

 

 

2位Fazer社(ファッツェル)

6ポイント(10ポイント中)

「ちょっとドライな感じもするけどナッツ感がいい!」

 

 

3位Backers Baker社(バッケルス バッケル)

⒌6ポイント(10ポイント中)

「すごく甘い!甘ささえ控えれば良かったかなぁ。他は悪いとこなし!」

 

 

もし、フィンランドのスーパーマーケットでお目にかかる時期、どれにしようか迷う事があれば、ぜひこのトップ3を参考にしてみてください。

今回は、日本ではまぁ見かけない不思議な円柱型をしたルーネベリタルトをご紹介しました!

 

 

参考・引用:Uusi Suomi -Miten syntyi runebergintorttu? – Kaksi versiota

参考・引用:Yle-Uutiset -J.L. Runebergin päivä 5.2.

参考・引用:Ilta-Sanomat -IS maisteli 9 markettien runebergintorttua ja selkeä voittaja löytyi..

 

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