フィンランドはヨーロッパ国家としての長い歴史から、キリスト教からの影響を強く受けています。
現在フィンランドの国教として定められているのは二つの教会です。
「フィンランド福音ルター派教会」と「フィンランド正教会」です。
フィンランド福音ルター派教会には現在フィンランド国民の70%に当たる385万人が所属しています。
フィンランド正教会はフィンランド国教の一つであるが、所属しているのは人口のわずか1.1%で約6万人程度にとどまっています。
フィンランドの宗教信仰と教会税
フィンランドでは国教である「フィンランド福音ルター派教会」や「フィンランド正教会」に所属していれば、所得税と合わせて「教会税」を納めないといけません。
税率は1~2%とそれほど高くないですが、一般所得者であれば年間教会税は3万円ほどとなります。
自分の払った教会税は自分が所属する教会に渡され、日曜日の礼拝イベント、宗教関連従業員への給料、社会援助活動、お祝いイベントなどに使用されます。
フィンランド福音ルター派教会の過去と現在
フィンランドにキリスト教が導入されたのはスウェーデン統治時代の16世紀からでした。
当時宗教改革が導入され、フィンランドにキリスト教が宣教され、フィンランドのキリスト教はスウェーデン国教会の一部でした。
その後、フィンランドの統治権がロシア帝国に渡り、フィンランド福音ルター派教会(The Evangelical Lutheran Church)の法的な地位がロシア皇帝に認められたため、フィンランド福音ルター派教会が確立されました。
フィンランド独立後、1923年に憲法によって国民の宗教自由が保障され、人々には自由に宗教を信仰する権利が与えられました。
フィンランドの法律で宗教の自由を保障する部分が2003年に宗教をやめることに関して増訂されました。
2003年以降に人々はより簡単に自由に宗教信仰をやめることができるようになりました。
その方法も署名なしで手紙や電子メールで教会所属をやめる旨を決まった機関に出せばよいということです。
そのため、協会所属関係をやめることを代行するウェブサイト(Eroakirkosta.fi)が2003年に立ち上げられ、それから協会所属をやめた人が50万人にも上っています。
特に2010年に同性愛者(LGBT)の権利に関する議論では宗教関係者が容認されない発言をなされたことがきっかけに数多くのフィンランド人は教会から離脱したのです。
現在フィンランド人の宗教信仰率においては、40歳以下の人々の信仰率が60%以下と低く、年長者の信仰率が高いという状態になっています。
これからも信仰率のさらなる低下が予想されますね。
フィンランドの国営放送である「YLE」が2018年10月に発表したニュースでは、「フィンランドでは150万人が無宗教者」と書かれていました。
まさにフィンランドでの宗教離れが顕著化しているのが目に見える現象と言えますね。
ちなみに、ヘルシンキにあるオールド教会、ヘルシンキ大聖堂、セントヨハネス教会などはフィンランド福音ルター派教会に所属している教会です。
フィンランド正教会について
フィンランド正教会(Finnish Orthodox Church)は本来ロシア正教会の一部でした。
フィンランド独立前にロシア統治時代から関連しています。
ヘルシンキにある著名な観光スポットであるウスペンスキー寺院がまさにフィンランド正教会の教会です。
その装飾や建築スタイルからも多少ロシアに連想できるでしょう。
簡単ではありますが、フィンランドの国教、宗教信仰と国内の信仰傾向はある程度ご理解いただけたのでしょうか。
参考:Wikipedia Religion in Finland
参考:YLE Nearly 1.5 million in Finland do not profess any religion
参考:Evangelical Lutheran Church of Finland
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