想像もつかないことでしょう。
考えてみただけでありえないと思うでしょう。
書類選考で使われる応募者資料に名前が載っていないなんて。
これがヘルシンキ市が始めた「差別」をなくしていく対策の一つです。
試験的に実施してから約1年が経つが、効果がよくて今後継続して行く予定で、拡大していく可能性もあるそうです。
「匿名選考」には名前も性別も年齢も開示されていません。
それは果たしてどういうことでしょうか?
面接官はどのように人を選ぶでしょうか。
一緒に詳しく見て行きましょう!
名前、性別と年齢がわからない「匿名選考」
ヘルシンキ市が2019年に始めた「匿名選考」とはどのようなことでしょうか。
それは求職者の名前、性別と年齢を明示する代わり、4桁個別番号を付与します。
例えば、「Aki Kikkonenさん、男性、34才、ヘルシンキ大学経済学部卒業、○○メーカー勤務3年」という履歴書に必ず載っている情報が「番号0102の応募者、ヘルシンキ大学経済学部卒業、メーカー勤務3年」というふうに表示され、名前、性別と年齢がわからない状態です。
つまり、書類選考を行う審査官にとって名前も性別も年齢も影響要素ではなくなります。
名前が外国人の名前なのでまず書類選考で落とされる可能性も、女性だから落とされる可能性も、年齢が高齢という理由で落とされる可能性もすべてなくなります。
外国人でも、女性でも、年齢の高い人でも平等的に面接に呼ばれる可能性があります。
もちろん、面接の場では名前、性別、年齢が明かされますが、少なくとも面接官や審査官は直接本人と話して判断することができるので、差別を減らす効果が高いそうです。
「平等」のために始めたヘルシンキ市の匿名求職選考
匿名選考ということ自体はヘルシンキ市市議会議員Suldaan Said Ahmedの提案によってはじめられたそうです。
「ヘルシンキ市は実にフィンランドに一番規模の大きい雇用主であり、合計3万8千人を雇用しており、他の自治体や会社にとっていい例にもなります」とヘルシンキ市上級委員Daniel Sazonovが話しました。
そして、2020年の年末を迎える現在、匿名選考でヘルシンキ市に就職した人の数が41人に上ります。
あるヘルシンキ市の選考にかかわった管理職の方から匿名選考について話を聞いたところ、過去の自分がなぜ「普通な人」ばかり選ぼうとしたか、今から考えれば不思議でしょうがないそうです。
もう一人別の管理職の方は匿名選考について、このように考えました。
「最初に匿名選考なんてうまくいくわけがないと思いました。しかし、名前も性別も年齢もわからないと、見るところも考えるところもより集中できるようになりました。この職に必要な能力、スキール、経験は何か。応募してきた人々はそれぞれどれだけの能力、スキール、経験を持っているか。名前、性別、年齢に影響されず、本当に必要な能力を持っている人だけ面接に呼ぶことができたような気がします。」
「しかも、大した能力や経験もないけど、単に顔がきれいで面接でうまくアピールしただけで就職できてしまう可能性も低減できます」
匿名選考で職に就いた方からも高評価。
「私は、自分のやってきたことが評価された気がします。それが自分の顔や性別、年齢などに関係せずに」
ヘルシンキ市は現在匿名選考を試験的に実行する段階にあり、来年に試験を継続しつつ、さらに拡大していく方針です。
匿名選考にも困難が伴います
もちろん、今までやったことのない選考方法なので、様々な問題点は生まれます。
一番の問題点は「自己PR」の部分でいかに自分の性別や年齢などの情報が漏れないようにすることです。
求職者にはもれなく、「なぜこの仕事をやりたいか?」という質問が問われ、自由回答という形式となります。
自由回答だからこそ、自分の性別や年齢などの情報が入ってしまうことがよくあります。
これらの情報をどのようになくしていくかが一つ大きいな課題です。
他に審査官や面接官に対して新しい選考方式に関するトレーニングなども必要となります。
まとめ:新しすぎて受け入れがたいかもしれないが、広がってほしい匿名選考
差別問題はどの社会、どの国にも存在する大きいな問題です。
どの国も誰もが差別がよくないと言いながらも、自分の行動に自覚なしで差別を行っていることがよくあります。
そのために差別をなくす・減らすためには違う手段が必要になります。
それで生まれた匿名選考は一つとてもいい方法やきっかけだと思います。
これからもどんどん広がってほしいと思います。
参考:Helsinki City Council to implement anonymous recruitment
参考:Helsinki’s anonymous recruitment pilot to continue
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