アレルギー大国フィンランドで11年間行われてきたアレルギー対策の成果とは?

公開日:2020年12月9日  関連分類:

 

あまり知られていないですが、フィンランドは実にアレルギー大国です。

 

森林率ヨーロッパトップレベルのフィンランドに花粉症を患う人はもちろん多いです。

 

 

販売している牛乳商品自体に「乳糖なし」と「乳糖あり」と別れて販売しているほど、乳糖不耐症の人がとても多いです。

 

他に麦の材料の一つである「グルテン」アレルギーのある人も多く、彼らはピザ、パンなどの麦製品をすべて食べれないです!

 

更にピーナッツ食べれない人、リンゴアレルギーのある人、キノコ食べれない人など聞いたことのない種目まで多くのアレルギーがフィンランドに存在しています。

 

 

そのため、どんどん増えていくアレルギー患者の数を抑え、減らしていくため、フィンランド政府はアレルギー対策を2008年に打ち出しました!

 

 

 

 

そもそもなぜアレルギーを有する人がどんどん増えているのだろう?

考えたことがない質問かもしれませんが、「なぜアレルギーを有する人がどんどん増えてしまうのだろう?

 

研究報告によると、アレルギーがどんどん増える理由は、「人間の体が生活スタイルや生活か環境の変化に追いついていない」ということだそうです。

 

 

人間の遺伝子レベルや免疫システム自体に何か問題が起きているわけではありません。

問題はアレルギーを出さないようにする要素が減っていることです。

 

 

例えば、大自然の中で生活することや原始的な生活をするなど人間や動物本来ある生活であればアレルギーはそれほど出ないでしょう。

 

しかし、今人間の多くはコンクリートジャングルの都会に住み着き、ストレスの高い生活を強いられ、自然からほど遠い加工食品をよく食べることなどによってアレルギーがどんどん増えるそうです。

 

 

フィンランド政府が11年間行ったアレルギー対策プログラム

このような状況を鑑み、フィンランド政府は2008年から2018年の11年間に渡り、アレルギー対策プログラムを実施することにしました。

 

対策を取るのはすべてのアレルギーではなく、まずは「喘息」というアレルギーをターゲットとして対策を取ることにしました。

 

 

そして、プログラムの目標はアレルギーをなくすことではなく、アレルギーに対する受容性を高めることです。

例えば、アレルギーが起きる頻度を減らしたり、アレルギーが起きても症状が軽くなるようにしたり、アレルギーが起きても重症化にならないようにしたりすることです。

 

 

具体的にこれらの対策を2008年より取られました。

  • 母乳授乳を推奨。4~6ヶ月以降固体食事に切り替える。
  • 自然環境にあるアレルギー源を避けない。(食べ物、ペットなど)
  • 免疫を強化するため、自然環境の中で運動し、地中海料理のような健康的な食事を取る。
  • 抗生物質の使用を最小限に。
  • 両親や家庭内成人の禁煙。
  • 免疫に有益な発酵食品や菌類を摂取。(乳酸菌など)
  • アレルギーが起きる際に症状が悪化しないような対症方法を教育。

などなどです。

 

 

そして、これらの対策、指針、ガイドラインに関連する教育が行われ、医療現場及び一般患者まで落とし込むようにされました。

医療従事者に対する教育はフィンランド肺健康協会が中心に行い、一般患者には病院、薬局、保育園、学校などに通じて行いました。

 

 

 

 

11年間行われてきたアレルギー対策の成果とは?

2008~2018年に渡って行われてきたフィンランドのアレルギー対策の成果はいくつかの項目に分かれて報告されました。

 

  • アレルギー受容性の向上
    • 目標:食品アレルギー50%減
    • 結果:保育園のアレルギー専用食事の準備が40%減
  • アレルギー診断能力の向上
    • 結果:30軒の病院及び一部の医療センターが教育を受け、監査も合格。
  • 職業関連アレルギーの低減
    • 目標:職業アレルギー50%減
    • 結果:職業アレルギー40%減
  • 重篤アレルギーの低減
    • 目標:喘息による緊急来院の40%減
    • 結果:緊急来院46%減少、喘息による入院合計日数67%減少
  • アレルギー医療コストの低減
    • 目標:医療コスト20%低減
    • 結果:5~15%低減

 

 

フィンランドのアレルギー対策を11年間取られてきた成果が目に見えますね。

 

アレルギーは一般的に症状が出てきてから症状に対する緩和治療しかできないことが多く、根本的な治療がほとんどないため、苦しむ人が多いです。

 

このアレルギー対策プログラムを実施することで、医療従事者や一般人にしっかり教育し、生活の中に落とし込むことでアレルギーの予防、症状の緩和には大きいな効果があることがわかりますね。

 

 

参考:Haahtela T, Valovirta E, Bousquet J, Mäkelä M, et al. The Finnish Allergy Programme 2008–2018 works. Eur Respir J 2017; 49: 1700470 [https://doi.org/10.1183/13993003.00470-2017].

 

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