手厚く学生支援、その補助金はいくら? 5分でわかるフィンランド

公開日:2017年11月2日  更新日:2019年11月30日  関連分類:

教育大国として名高いフィンランド。

 

学部生、修士学生であれば、学費無料、生活費を国からもらえる、学生寮、学生ランチなど国から多くの補助や支援をもらえます。(私立大学はほぼ存在していません)

 

学生ランチには国からの補助金が出ています。詳細は下記の参考記事をご覧ください。

 

参考記事:

フィンランドの大学の学食は税金補助が出ているため、学生たちはとても安くランチを食べることがでます。メニューは大体どこの大学でもほぼ同じで、味も特別美味しいということは…...続きを読む

 

学費無料はわかりやすいですよね。まあ、日本では大学の学費一年50~100万円を支払う必要なく大学に入学し、学位取得を目指して勉強することができます。

 

他にフィンランド社会福利局Kelaが直接大学生に支給している経済的な援助は下記の種類があります。

 

  • 勉学補助金(Study Grant)
  • 学生住宅補助(Housing Supplement)
  • 政府担保の学生ローン(Government Guarantee for a Student Loan)

 

もしフィンランドの大学生や修士学生が上記3種類の支援制度を全て使用するなら、毎月のもらえる現金が850~935ユーロくらいになります。(約12万円)

 

つまり、大学に入って勉強して自分の能力を伸ばし、学位を取得するには親の経済状況と一切関係なく、アルバイトをしなくても十分な生活費を得られるということです。

 

日本の大学生はアルバイトをしながら大学に通っている人が多いので、フィンランドの状況を聞くと驚く人も多いのではないでしょうか。

 

 

勉学補助金(Study Grant)

満17歳でフィンランドの社会福利制度(Kela)に入っていて高等教育の学位取得課程に入っていれば勉学補助金をもらうことができます。

 

勉学補助金の支給額は「年齢」「住まいの種類」「婚姻状況」と「親の年収」に影響されます。

 

支給額は月8~336ユーロになります。(約1000~44000円)

※この補助金は所得として課税されます。

 

親の年収が約600万円(48180ユーロ)を越えなければ、勉学補助金を全額もらうことができるのに対し、親の年収が約800万円(61000ユーロ)を越えていれば、勉学補助金はもらえません。

 

高福祉国家としての所得再分配で考えればある意味合理的です。

 

→2017年8月より「年齢」「1人暮らしか、親と暮らしているか」「婚姻状況」「子供の有無」の項目に変更されました。

 

状況によっては「親の年収」も影響しますが、18歳以上で1人暮らし(子供がいない)の場合は親の収入に関係なく1ヶ月250.28ユーロが支給されます。

 

※留学生ビザを用いてフィンランドで勉強する外国人留学生はフィンランドの社会福利制度(Kela)に入れません。

 

 

 

 

学生住宅補助(Housing Supplement)

学生が賃貸物件に住んでいれば、学生住宅補助が支給されます。

 

学生住宅補助の最大額は月201.6ユーロです。(約26000円)

 

しかし、下記の場合は支給されません。

  • 親と同居
  • 自分の子供と同居
  • 自分や家族の持ち家に在住(親に家賃を払っている場合は学生住宅補助を一部もらえます)
  • 既に年金受領者向けの住宅手当を受領中

 

→2017年8月より学生住宅補助ではなく一般住宅手当という形に変更されました。

※海外やオーランド諸島に住んでいる学生や特定の学校に通っている学生については学生住宅補助は継続されています。詳しくは英語になりますがフィンランド社会福利局Kelaのホームページでご覧下さい

 

一般住宅手当では下記によって補助金額が変動します。

  • 世帯に住んでいる大人と子供の数
  • どの市に住んでいるか
  • 収入(税金徴収前)

 

詳しくはこちらの記事をご参加ください。

人間の社会生活の基本需要の一つ:「住」。フィンランド政府(社会福利局Kela)は国民に対し、住宅の補助を手厚く行っています。極寒のフィンランドでは冬に住む場所がないと一晩…...続きを読む

 

 

 

 

政府担保の学生ローン(Government Guarantee for a Student Loan)

政府担保の学生ローンとは、フィンランド社会福利局Kelaが担保人になって銀行からお金を借りるとのことです。

 

もし最終的にその学生が卒業してもお金を返せないなら、フィンランド社会福利局Kelaが責任を持って銀行にローンを返済することになります。

 

ローンの最大額は年齢と勉強する状況に影響されます。(2017年8月1日時点)

 

  • 18歳以下(高等教育以外)であれば最大担保額は月300ユーロ
  • 18歳以上(高等教育以外)であれば最大担保額は月650ユーロ
  • 高等教育で勉強している学生であれば最大担保額は月650ユーロ
  • 海外の大学で勉強しているなら最大担保額は月800ユーロ

 

最大担保額を超えていなければどのくらいローンを毎月借りたいかは自由に決めることができます。

 

学生ローン制度はそれほどすごいことではないかもしれませんが、すごいと思ったのは、もし学生が所定期間中に学位を取得できたら、フィンランド社会福利局Kelaが最大30%の学生ローンを負担してくれます!

 

結果的にローンと言っても学生は70%のみ返済すればいいです!

 

ちなみに、もし学生が卒業して収入がまだある程度低ければ、フィンランド社会福利局は学生ローンの利子を一部も負担してくれます。

 

 

 

 

 

収入と学生支援との関係

学生自身に収入があれば、フィンランド社会福利局Kelaからもらえる援助の金額は影響されます。

(学生はアルバイトをすればするほど不利!?)

 

例えば、年間収入が8004ユーロ以下であれば、一年間で12ヶ月分の援助をもらえます。

年間収入が15942ユーロに達していれば、一年間で6ヶ月分の援助しかもらえません。

年間収入が22557ユーロに達していれば、一年間で1ヶ月分の援助しかもらえません。

 

 

最後に

いかがでしょうか。

学生への優遇はありえないと思ってしまうほどたくさんありますね。

 

勉強したければ、無料だけではなく、生活費まであげてしまうというフィンランド高等教育のコンセプト。

 

もちろん、このもらえる生活費を当てにわざと大学に入ったり、卒業できるのにわざと留年したりする人もいて度々フィンランド社会で論争を引き起こしますが、政府としてはなかなか難しいところです。

 

※データ出典:フィンランド社会福利局Kela
※本記事の情報はフィンランド社会福利局Kelaが公開した情報(2015年1月)でしたが、2017年8月の改変に基づいて情報を修正いたしました。毎年予算変更などによって補助金の金額も変わる可能性があります。

 

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