フィンランドは本当に男女平等な社会なのか?30年を振り返る

公開日:2020年3月11日  関連分類:

 

現在のフィンランド首相はサンナ・マリン(Sanna Marin)女性です。

 

2000年から2期にわたる12年間、フィンランドの大統領を努めたのは「ムーミンママ」と世間から親しまれたタルヤ・ハロネン(Tarja Halonen)、彼女ももちろん女性です。

 

 

日本では未だに女性が政治界に入り、国代表となるのは心のどこかで「そりゃないわ」と思っている方も少なくないのが現状でしょう。

 

その証拠に、フィンランドで初の女性大統領が誕生したときには日本で大きなニュースにもなりました。

 

 

フィンランド国民の男性は徴兵があり軍隊へある一定期間行く決まりがありますが、

現在では志願すれば女性だって軍隊に入ることもできます。

 

更には、妊娠している女性に基づく差別は違法です。

 

 

男女平等の国」またときには「女性が強い国」と言われるフィンランド。

 

 

しかし、果たして本当に現在フィンランドではこの言葉にそぐわしい国なのでしょうか?

本当に男女平等な国なのか、、、?

 

ここ30年間でフィンランドでは

女性の社会的立場がどのように変わったのか見てみることにしましょう。

 

 

 

 

90年代は職業安定所が女性にトップレスバーのウエイトレスを勧めることも

1990年代、フィンランドは景気後退の真っ只中でした。

そんな中、トップレスバーが開業・営業され、女性の社会的立場もかなり悪い状況に。

 

 

景気が悪く職を探す女性はこのトップレスバーで働くことを余儀なくされた方も多かったようで、

公共機関である職業安定所でさえも、このような職業を勧めることが実際あったそうです。

 

そして、そのような職場では数年内にクビを切られることもよくあったとのこと。

 

 

これに反撃しようと立ち上がったホテル及びレストラン労働協会は、サービス産業とそこで働く女性の権利を訴え、「シャツを着て仕事を!」というキャンペーンを実施しました。

 

 

EU諸国の中でもフィンランドではかなり遅かった法律・配偶者による強姦罪

それまで、職場では家族に対する差別があった可能性があります。

 

妊娠と親としての理由による差別を禁止する法律が、1992年に施行されました。

 

 

そして、90年代以前には、フィンランド国内では強姦が法律で罰せられなかったことに驚きます。

 

これは他のEU諸国と比較してはかなり遅れていたフィンランド。

 

例えば、お隣の国スウェーデンでは1960年代から夫婦間の強姦が犯罪になっています。

 

 

フィンランドでは、1994年にやっとのことで処罰されるようになりました。

 

 

 

 

2000年代に入り、女性の立場はどう変わっていった?

この時代、女性は政治やビジネスなどの世界にも足を踏み入れることとなります。

 

 

冒頭にも書いた、2000年から12年間努めた女性大統領タルヤ・ハロネン(Tarja Halonen)に続き、

 

2003年にはフィンランドで初めて女性が首相を努めました。

アンネリ・ヤーッテーンマキ(Anneli Jäätteenmäki)です。

 

 

そして2007年の総選挙では女性議員の40%以上が出席し、政府にも女性の過半数がいました。

 

 

参考:フィンランドの男女平等:一般企業の女性取締役割合フィンランド32%、日本5%

 

 

そして、この頃と30年ほど前を比べると全く違う家族環境の生活。

 

父親は子供の生活に大きく関わるようになってきたのもこの頃です。

 

 

ベビーカーを押す父親をみるのは当たり前のフィンランド。

 

男女が同じように家事や子育てに参加するのは普通になってきた時代です。

 

 

参考:フィンランドでは父親に8週間の産後休暇がある!しかも手当金毎月に9万5千円!

 

 

しかし、女性の約1/5ほどはまだ契約期間のある雇用条件のもと働いています。

 

例えば、パートタイムなどの仕事をしている出産適齢期の若い女性の間では特に多いフィンランド。

 

 

国際的に今でも議論されているセクハラ問題

それまでセクシャルハラスメントに関する話は大きく取り上げられませんでした。

 

 

しかし、2007年10月には一変します。

 

ツイッターで♯metooというハッシュタグを使った有名な女優アリッサ・ミラノ(Alyssa Milano)。

彼女がツイートしたことによって、フィンランド含め、世界的な運動の始まりとなります。

 

 

これは、女性がセクシャルハラスメントに対する手段がなく、被害者が泣き寝入りや諦めをする場面が多かった時代を今もなお大きく変えつつある運動です。

 

 

 

 

現在の男女平等にはフィンランドでもまだまだ問題がある

トゥルク大学の平等研究者であるハンナ・ユロスタロ氏(Hanna Ylöstalo)によれば、

 

フィンランドにはまだ解決できない問題がいくつかあるといいます。

 

 

特に、男女の賃金格差が目立つとのこと。

 

 

平均して、女性の給料は男性の給料よりも約16%低いのが現状です。

 

 

誰もが女性がする仕事、特に幼児教育やケア分野での仕事が重要であることは認めますが、誰も女性にお金を払いたがらないようで、「平等賃金政策は恥ずべきほど悪い」と言われています。

 

そう、賃金格差を縮めるための措置に関するコンセンサスが不足しているため、2月に平等賃金政策に関する最新の交渉が中断されたのです。

 

 

更には、妊娠・出産・育児による休暇は認められていますが、これらも女性の賃金を引き下げる原因となっています。

 

少なくとも3年間、自宅で子供の世話をしている女性は職場復帰した後、子供のいない女性よりも最大20%低い収入となります。

 

 

しかし、1990年よりも前の

 

1975年から3月8日は毎年、国際女性デーと制定されています。

 

男女平等と言われるフィンランドでも、まだまだ100%なところまでは遠いようです。

 

 

ここ数年でフィンランドではジェンダーの方が多くなりました。

 

これも時代が「性別関係なく、平等であるべきだ」との思いから表に出す人が多くなったことの現れでしょう。

 

少しでも女性が過ごしやすい社会であって欲しいものです。

 

 

情報・参考:Yle-Uutiset -1990-luvulla naisille jaettiin työnvälityksessä paikkoja tissibaareista..

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