※SLURP社のCTOラファエルさんと奥さんの暢子さんです。
「起業」ということに対し、読者の皆様はどのようなイメージをお持ちでしょうか。
「リスク」「勇気」「生活不安定」「チャレンジ」とかでしょうか。
実にフィンランドの起業率は日本の3倍ほどです。
(人口当たりの毎年新規会社成立数において、フィンランドは日本の3倍ほど)
もちろん、フィンランドの起業率が高いことには様々な理由があります。
会社登記の手続きが簡便、国から起業助成金の支給、起業育成やインキュベーター施設の充実などが関係します。
その様々な背景や数字の中で、今日は一つ実際に存在するフィンランド人起業家の話をしていきたいと思います。
その方はRafael Linnankoski(SLURP社CTO)と言います。
※本記事はRafael Linnankoskiさんとのインタービューをもとに作成しました。
建築家から起業家に転身したフィンランド人のRafael
この物語の主人公はRafael Linnankoski(以降、ラファエル)です。
彼はフィンランド人男性で、今年29歳、10年ほど前はごく一般的な大学生でフィンランドのアールト大学で建築を勉強していました。
起業に関しては全くやろうとは思ってなかったそうです。
ある日、コーヒーが好きな彼の兄はフィンランド内にある様々な小規模焙煎業者のコーヒーを楽しんでいた時に「これら様々な独特な香りや味を持つコーヒーを人々に紹介し、楽しんでもらえるといいな」という考え方でコーヒーを中心とする彼らの起業物語が始まったのです。
彼は弟のラファエルに声をかけ、コーヒーで何かビジネスできないかと問いかけました。
彼らは理解しているのです。
小規模のコーヒー焙煎業者の多くは自分なりのこだわりを持ち、自分の好きなコーヒーを作っています。
しかし、販売やプロモーションが不得意でやりたがらないです。
なぜなら、コーヒー作りに関係ないからです。
コーヒーの消費者は様々なコーヒーを飲むのが好きですが、焙煎業者を知らない(知る方法もない)ので様々なコーヒーに触れるチャンスがあまりないです。
このような市場の実態を理解した彼らはこのギャップを埋めるため、ラファエル、彼の兄(Manuel)、兄の友人(Tero)という3人でコーヒー販売会社SLURP(スラープ)を立ち上げ、ビジネスを始めました。
しかし、当時ラファエルは建築を勉強している大学生で、兄と兄の友人は法律を勉強している大学生で、コーヒー販売会社の仕事は日々の余った時間でやる程度に過ぎませんでした。
そんな片手間でかかわるビジネスを2年ほど運営し、徐々に成長してきたので、コーヒー販売会社SLURPを2016年からフルタイムの仕事にすることを決め、当時3人がそれぞれ働いていた建築事務所や弁護士事務所をやめ、SLURPに全力を投じるようになりました。
それは今から3年ほど前のことですが、今ではヘルシンキ市中心の一等地にオフィスを持ち、十数名の社員を抱えるほどの企業まで成長したのです。
※試飲のコーヒーを作ってくださるラファエルさんです。とても気さくで話しやすい方ですね。
建築で勉強した知識と技能を今のコーヒー販売にも転用して活用する
厳密にいうとラファエルが勉強した建築は今のコーヒー販売との関係性は薄いです。
しかし、彼の経験によると、建築で勉強した多くの知識、技能、考え方は今のコーヒー販売にも大いに役に立っているそうです。
例えば、建築においては人間がその建物を使うので、美感、機能性、利便性など様々な要素を建築設計に求められます。
コーヒーの販売においても同じです。
特にコーヒーパッケージのデザイン、販売システムのデザインなどもそうです。
いかに使用者にとって使いやすく、コーヒーの保存に適し、運送のコストを抑え、環境にやさしくできるようにデザインするかに関してもラファエルさんがご自身が建築において勉強した知識と経験を活用されたそうです。
SLURPの仕組み:小規模焙煎業者と消費者を直接につなげる
SLURPはコーヒー販売業者ですが、その機能性と存在する意味は「小規模焙煎業者と消費者を直接につなげる」ことです。
大手コーヒーメーカーであれば、自社でコーヒー豆を仕入れ、自社工場で焙煎し、パッケージして倉庫に運び、それぞれの小売業者に発送するという流れが一般的です。
しかし、SLURPはコーヒーの「オーダーメイド」と「鮮度」を特徴として市場に切り込んでいます。
消費者からの注文はSLURPのシステムを経由し、自動的に小規模焙煎業者のほうに届き、焙煎業者はオーダーに従って焙煎し、新鮮な状態で直接消費者に発送するという仕組みです。
そのため、消費者が楽しめるのは「みんなが飲んでいる市販のコーヒー」ではなく、「オーダーメイドコーヒー」であり、「焙煎された新鮮な状態のコーヒー」です。
起業の日々はチャレンジに挑む日々
筆者もフィンランドで自分で事業(まさにこのキートスショップですが)を立ち上げた人なので、この部分の話はよく共感できます。
「起業の日々はチャレンジに挑む日々」
まさにそうです。
会社は小さい頃には小さい頃の様々な問題点に直面し、簡単に解決できるのがあれば、無理難題もたくさんあります。
そして、会社がようやく徐々に成長していくと、問題点が変わり、また新しい問題が出てきます。
その時にまた同じように様々な無理難題に取り組んでいくことです。
ラファエルも様々な無理難題に直面しました。
その一つは「パッケージ」です。
保存の機能性、送料を抑えるサイズ、焙煎職人にとって最も手間の少ないシステムなどの知恵が今のパッケージデザインに凝縮されています。
たとえそのパッケージの外見からはあまりそう感じないのですが。
SLURPは主にフィンランドから世界中にコーヒーを発送しているため、送料をうまく抑えることはビジネス存続の鍵を握ります。
そのため、送料が低い「手紙サイズ」で発送しなければいけません。
つまり、パッケージの厚みは「3センチまで」です。
※このパッケージです!たくさんのノーハウが詰め込まれています。
これが難しかったそうです。
ヨーロッパではこのようなパッケージを作る会社が少なく、当時主に中国の会社が生産していたそうです。
ラファエルたちも中国の多くのメーカーに打診し、この厚み3センチまでの条件で多くのメーカーは「NO」と回答してきました。
それでも探し続け、ようやく作れるメーカーを見つけることができ、無事送料を抑えられるサイズのパッケージを作れるようになったのです。
その外箱も数々の改善改良を重ねてきた形です。。。
続きはこちら:
困難を乗り越え、世界中にコーヒーを届けるSLURP Rafael Linnankoski フィンランド人の起業ストリー(2)
参考、コーヒーのご注文は『SLURP』へ。
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ショップコンセプト
1.フィンランド 北欧というと?
フィンランドもしくは北欧というと「幸福度が高い」「社会福利が充実」「なんかみんな楽しく生活している」というイメージを持つのでしょうか。ただし、実際に見て感じてみると、合致する部分もそうではない部分も見えてきます。良いと思う部分をうまく取り入れ、そうではない部分も積極的に理解することが大切だと思います。そのため、キートスショップは「フィンランドもしくは北欧と日本の交流を促進し、人々により幸せな生活をして頂く」ことの実現を目指していきたいです。
2.雑貨と現地ツアーに通じて幸せを増やしたい
「フィンランドと日本の交流を促進し、人々により幸せな生活をして頂く」という目的を果たすため、キートスショップ現在は「フィンランド雑貨販売」と「ヘルシンキ現地ツアー」の2軸で事業を展開しております。フィンランドの雑貨が好きな方により良い製品、より早く、より良い価格でご提供し、フィンランド雑貨をお客様が手に取る際の喜びを想像しながら事業を運営しております。また、実際にフィンランド・ヘルシンキまで旅をされた方々にはフィンランド文化の核心価値を実際にご体験頂けるヘルシンキ現地ツアーをサービスとしてご提供しております。
「キートスショップで買ってよかった!」「キートスショップのツアーに参加してよかった!」というお客様の声を糧に、より良い商品を提供できるよう、より良いツアーを提供できるよう進めていきたいと思います。
3.運営に「誠実」と「感謝」
「フィンランドや北欧と日本の交流を促進し、人々により幸せな生活をして頂く」目標に目指しながら、キートスショップは感謝の気持ちをベースに「誠実に対応する」ことを運営の第一事項にしております。いかなることに関しても最大限誠実な対応を致しますので、ご意見・ご質問は随時お問い合わせください。遅くても24時間以内にご返答致します。お問合せフォーム、メール:ken@kiitos.shop
4.キートスショップの名前
「Kiitos」はフィンランド語で「ありがとう」を意味する言葉。『フィンランドには優れたデザインや製品を提供してくださることに、日本の方々には外国の文化を理解して頂くことに感謝し、ショップ経営に取り組んで行きたい』そのような思いから、ショップ名を「キートスショップ」にしました。
キートスショップは、「フィンランドや北欧と日本の交流を促進し、人々により幸せな生活をして頂く」ことが実現されるよう努めてまいります。
キートスショップスタッフ一同より(フールバージョンはこちら)