フィンランドの「アラビア」。過去に何があった?その145年間の秘密に迫る!

公開日:2018年10月13日  更新日: 2019年11月30日 関連分類:

フィンランド著名な陶磁器ブランドアラビア」(Arabia)は実にその設立が今から145年前に遡ります。

 

アラビアはこの145年間でどのように歩んできてどのようにフィンランドの有名ブランドになってきたか、どのようなデザインが独特なのかを探っていきたいと思います。

 

 

1873年に始まったアラビアはスウェーデンの会社だった!?

アラビアは最初に1873年にスウェーデンの会社「Rörstrand」がロシア向けに陶磁器を生産・販売するためにヘルシンキのアラビアという場所に作った工場から始まったのです。

当時まだ独立していないフィンランドはロシア領であったため、フィンランドで製品生産を行えば、ロシアへの販売には低い関税で済むという算段があったのです。

 

1874年から出荷するアラビアの製品にはファイアンス焼き、衛生用陶磁器やテーブル、ダイニング用陶磁器用品が含まれていました。

 

1880~1900の間にアラビアは製品ラインナップを拡充し、様々な新しいデザイン様式も生まれました。更に、1900年のパリワールドフェアでは金メダルを受賞することもありました。

 

 

※写真引用:arabia.fi

 

フィンランド独立後のアラビアとその発展

1910年代に一次世界大戦が勃発し、アラビア工場の所有権はスウェーデンの会社からフィンランドの会社に行き渡ったのです。

フィンランド独立後、アラビアの改革が始められ、1920年代初期に現代化された工場に生まれ変わりました。

 

しかし、海外からの陶磁器製品が市場に溢れていたため、アラビアは販売計画に達成できず、ドイツと元々の所有者であるスウェーデンの会社に資本援助を求め、一時的な経済危機を乗り越えました。

 

1930~1940年代にアラビアはデザイン革新に注力し、ロシアとの戦争が勃発したにもかかわらず、工場の規模が年々拡大されていました。

1947年には2千人も雇う工場までなりました。

 

しかし、戦争によって物価の上昇や急速な拡大によってアラビアの資金繰りが苦しくなり、Wärtsilä社から資金援助をもらい、1947年年末にWärtsiläの子会社となりました。

 

※写真引用:arabia.fi

 

独自なデザインがどんどん進化する戦後のアラビア

1950年以降、アラビアのデザインがどんどん進化していました。

 

「Milan Triennials」でアラビアのデザインが賞を取り、アラビアの工業アート部門が発足され、熱加工技術にも新技術が導入されました。

Kaj FranckのKilta製品を筆頭に、アラビアは製品ラインアップを大幅に拡充しました。

 

1969年に多くの人々に愛されている「Paratiisi」シリーズ製品(Birger Kaipiainenデザイン)が発売され、デザイナーのカイピアイネンが世界で知られるようになりました。

 

1970年代に生産技術が一新され、陶磁器製品の材料にも新発見があり、製品の品質と生産効率が大幅に成長しました。

 

1984年にアラビアが1948年に設立したアラビア博物館の一般公開を始め、1950年代発売されたKilta製品のリニューアル版として1981年に再発売したのは有名なTeemaシリーズ製品です。

 

 

※写真引用:arabia.fi

 

近年のアラビアとアラビアムーミンマグカップ

1990年にアラビアがHackmanグループに買収され、125周年を祝い、24hシリーズ製品を発売しました。

また、今では世界中大勢のコレクターがいるムーミンマグシリーズ製品もこの時期から発売されました。

 

1990年代にアラビアの製品は世界中で様々な展示会で賞を取りました。

新商品にはSavoie、Moreeni、Storybirds、24h、Illusia、Ego、ABCなどが名を挙げられます。

 

ちなみに、現在ヘルシンキにあるアラビア工場敷地では生産活動が行われていません。

その敷地にはイッタラショップ、フィンレイソンショップデザイン博物館アラビア、アールト大学デザイン学部、レストラン、カフェ、一般会社、デザインショップ、市立図書館、大学図書館など様々な施設があります。

 

※写真引用:arabia.fi

 

2000年にアラビアは社名を「Designor」から「Iittala Oy Ab」に変更し、アラビアがフィンランドで最も価値の高いブランドとなりました。

2007年にイッタラグループはフィスカルスグループ(1649年設立)に買収され、フィスカルスグループの一員となりました。

 

2014年にアラビアは創立140周年を祝い、2016年にアラビアはヘルシンキ操業中の工場を停止し、製造を全てルーマニアやタイの工場で生産することとしました。

現在アラビアは生産機能を全て海外に置き、フィンランドでは本社機能とデザイン機能などの中枢部門が継続する形で運営を続けています。

2018年にはMainio Sarastusなどの新商品が発売され、その独特なデザインに驚かされながら、今後の新商品にも注目していきたいですね。

 

※写真引用:arabia.fi

 

関連記事

多くのコレクターに愛されているアラビアムーミンマグカップは毎年継続販売品、限定品を発売しています。 その中でコレクターにより楽しんで頂けるため、アラビアは人気ムーミン…...続きを読む
アラビアムーミンマグカップは1990年代再発売(現在の仕様は1990年代から発売)して以来、そのかわいいらしいデザイン、使いやすいサイズと高い質感によって多くの人々に…...続きを読む
プレゼントを探す時には予算はつきものですよね。今回は、イッタラ・アラビアの食器を、3000円以内、5000円以内で分けていくつかピックアップしてみました。インパクトのあるプレ…...続きを読む
アラビアのムーミンマグカップを集める方が多いと思いますが、限定発売のアラビアムーミンコレクターズプレートをお聞きしたことがありますか?     今までアラビアは…...続きを読む
今回は1873年から始まったフィンランドの代表的陶磁器ブランド「アラビア」の歴史に迫ります。どのような経緯で今日のアラビアは出来上がっていったのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
フィンランドの陶磁器製品もしくはガラス製品に興味ある方におすすめのデザイン博物館のアラビア分館をご紹介します。なんと入場料は無料です。アラビアブランドの発展及び年代別…...続きを読む

お薦め3D木製蝶ネクタイ

ちょっとしたオシャレをしたい時に是非参考にご覧ください。

ショップコンセプト

1.フィンランド 北欧というと?

フィンランドもしくは北欧というと「幸福度が高い」「社会福利が充実」「なんかみんな楽しく生活している」というイメージを持つのでしょうか。ただし、実際に見て感じてみると、合致する部分もそうではない部分も見えてきます。良いと思う部分をうまく取り入れ、そうではない部分も積極的に理解することが大切だと思います。そのため、キートスショップは「フィンランドもしくは北欧と日本の交流を促進し、人々により幸せな生活をして頂く」ことの実現を目指していきたいです。

2.雑貨と現地ツアーに通じて幸せを増やしたい

「フィンランドと日本の交流を促進し、人々により幸せな生活をして頂く」という目的を果たすため、キートスショップ現在は「フィンランド雑貨販売」と「ヘルシンキ現地ツアー」の2軸で事業を展開しております。フィンランドの雑貨が好きな方により良い製品、より早く、より良い価格でご提供し、フィンランド雑貨をお客様が手に取る際の喜びを想像しながら事業を運営しております。また、実際にフィンランド・ヘルシンキまで旅をされた方々にはフィンランド文化の核心価値を実際にご体験頂けるヘルシンキ現地ツアーをサービスとしてご提供しております。

「キートスショップで買ってよかった!」「キートスショップのツアーに参加してよかった!」というお客様の声を糧に、より良い商品を提供できるよう、より良いツアーを提供できるよう進めていきたいと思います。

3.運営に「誠実」と「感謝」

「フィンランドや北欧と日本の交流を促進し、人々により幸せな生活をして頂く」目標に目指しながら、キートスショップは感謝の気持ちをベースに「誠実に対応する」ことを運営の第一事項にしております。いかなることに関しても最大限誠実な対応を致しますので、ご意見・ご質問は随時お問い合わせください。遅くても24時間以内にご返答致します。お問合せフォーム、メール:ken@kiitos.shop

4.キートスショップの名前

Kiitos」はフィンランド語で「ありがとう」を意味する言葉。『フィンランドには優れたデザインや製品を提供してくださることに、日本の方々には外国の文化を理解して頂くことに感謝し、ショップ経営に取り組んで行きたい』そのような思いから、ショップ名を「キートスショップ」にしました。

キートスショップは、「フィンランドや北欧と日本の交流を促進し、人々により幸せな生活をして頂く」ことが実現されるよう努めてまいります。

キートスショップスタッフ一同より(フールバージョンはこちら