フィンランドでの安楽死・尊厳死・緩和ケアについて

公開日:2021年2月28日  関連分類:

 

安楽死・尊厳死について、生きる権利、自分の生き方を自分で決める権利、宗教の影響、医療行為、病気の状態など多くの影響要素があり、どれも人によって変わってしまうため、今でも世界で議論され続けるテーマになっています。

 

 

安楽死について、日本でもフィンランドでも議論されてきました。

 

 

現状では、日本においてもフィンランドにおいても、一定の条件を満たせば、「消極的な安楽死」が認められている状況です。

 

 

そもそも、積極的な安楽死、消極的な安楽死と緩和ケアの間にどんな違いがあるでしょうか。

 

フィンランドでは安楽死についてどのように議論されたかについても探っていきます。

 

なかなか難しいトピックですが、宜しければ是非ご一読ください。

 

 

 

 

そもそも積極的な安楽死、消極的な安楽死、緩和ケアとは?

積極的な安楽死、消極的な安楽死と緩和ケアはともに終末期患者に対する処遇と言います。

 

 

消極的な安楽死(passive euthanasia)は終末期患者に対し、延命医療措置を取らない(もしくは中止する)ことによって命の最期を迎えてもらうことです。

 

積極的な安楽死(active euthanasia)は終末期患者に対し、延命措置を取らないだけではなく、毒物や他の方法を持って命を終わらせることを指します。

 

 

緩和ケアは終末期患者に対し、痛みや苦痛を軽減するように医療行為を行うことです。

 

 

緩和ケアについて、倫理上や法律上の問題が少ないため、世界中で一般的に行われることになってきています。

 

 

積極的な安楽死は倫理上、法律上、宗教上など多くの問題があるため、法律化された国がまだ少なく、一部の国は消極的な安楽死を容認していて、他の多くの国は安楽死を認めないのが現状です。

 

 

日本において安楽死の現状

日本では積極的な安楽死について、法律で定められていません。

患者さんの意志や指示によって、医師が積極的な安楽死を行った場合、刑法上嘱託殺人罪等の対象となり、犯罪行為となります

 

 

消極的な安楽死についても法律化されていないですが、いくつかの判例結果により、一定な条件を満たした場合において容認されています

 

 

例えば、下記がその条件の一部になっています。

  • 患者が耐えがたい激しい肉体的苦痛に苦しんでいる。
  • 患者の病気は回復の見込みがなく、死期の直前である。
  • 患者の肉体的苦痛を除去・緩和するために可能なあらゆる方法で取り組み、その他の代替手段がない。
  • 患者が自発的意思表示により、寿命の短縮、今すぐの死を要求している。

 

参考:Wikipedia 安楽死

 

 

 

 

フィンランドにおいて、安楽死に関する現状は消極的な安楽死のみ容認

ヨーロッパではすでにスイス、オランダ、ベルギーとルクセンブルグの4ヶ国では積極的な安楽死を法律で認められています。

 

 

上記の4ヶ国を参考に、フィンランドでも長い間に渡って安楽死について議論されてきました。

 

だいぶ前ですが、2007年に行われた世論調査では約70%のフィンランド人は積極的な安楽死に賛成し、自分の命に関する権利を自分で握りたい意思を示しています。

 

 

そして、国民の動きによって、安楽死関連法案は国会に提出され、審議されました。

その結果、2018年に128票反対、60票賛成で国会で否決されました

 

 

安楽死法案が否決されたが、「安楽死及び緩和ケアに関するワークグループ」が立ち上げられ、3年間に渡って専門家が安楽死及び緩和ケアについてより深く、広い研究調査を行うように指示されました。

 

 

積極的な安楽死に関する法案が却下されたが、安楽死に関する問題は現在でも議論され続けています。結論を出すのはとても難しいですが。

 

 

例えば、積極的な安楽死に関し、フィンランドの国教であるエヴァゲリオンルテー派教会は明確に反対しています。その理由は、「命は神様から賜ったもので、その終わりを人間が決めるべきではない」「人生において起きる楽しみも苦痛もすべて大切にすべき」など宗教上のことだそうです。

しかし、宗教を信じる人々が宗教を信じない人の人生まで決めていいことなのか?

 

 

また、医療従事者にとっても難しいことです。

「耐え難い病気」は誰がどう定義するのか?

生理的な痛みに耐え難い人がいれば、心理的な苦痛に耐え難い人もいます。さらに社会的な苦痛なども。

 

 

安楽死していい、させていいと決めるのは誰なの?

患者さんに決定権を与えてしまえば、治る可能性がある病気も諦めてしまわないか?

人の命を救う医師に人の命を終わらせる決定をさせるのか?

 

 

今でも我々がじっくり考えるべきテーマです。

 

 

※ちなみに、積極的な安楽死が合法な国では、安楽死を行う法定プロセスが定められています。条件を満たした場合、安楽死が許可されます。

 

 

参考:Yle Majority of Finns Support Euthanasia for Suffering

参考:Helsinki Times We need good end-of-life care, not euthanasia

参考:Ministry of Social Affairs and Health Expert working group appointed to examine end-of-life care and euthanasia

参考:Evangelical Lutheran Church of Finland

 

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