『ちいさなはにかみ屋』サロメちゃん: ムーミンキャラクター紹介

公開日:2019年8月5日  関連分類:

掛け布団&枕カバーセット:ムーミン谷のなかまたち(冬) 2019 / FINLAYSON / フィンランド 北欧

 

今回ご紹介するのは、はい虫の女の子・サロメちゃんです。

 

彼女はとても気が弱くて、恥ずかしがりやの女の子。

まさにはい虫らしい性格をしているキャラクターです。

 

そんなサロメちゃんの魅力を、とあるエピソードと一緒にお話ししようと思います。

 

 

はい虫という種族

はい虫は、身体が小さく、集団で生活している種族です。

彼らはみんな気が弱く、どこか自信がなくて、おどおどとしていることが多いです。

 

自分の名前も持っていないことが多いようで、それは同じくはい虫のキャラクターである、ティーティーウーのエピソードからも伺えます。

 

 

また、はい”虫”とは言いますが、いわゆる虫のような姿はしていません。

 

はい虫は大きく分けてクリュープ族クニット族という二つの種族から成っていて、それぞれ見た目が異なります。

クニット族は小さなヒト型、

クリュープ族は全身に毛が生えた小動物のような姿をしています。

 

 

今回ご紹介するサロメちゃんはクニット族。

 

長い髪の小さな女の子です。

 

 

moomin.comより引用。

 

 

 

 

冬とヘムレンさんとムーミン谷

いつもなら冬は冬眠してしまうムーミンですが、その年は珍しく目が覚めてしまいました。

 

冬は、ムーミンが大好きな友達のスナフキンも旅に出てしまう季節。

寂しくてたまらなくなってしまったムーミンは、もう一度眠ろうと努力しますが、それもかないません。

 

 

元々冬眠しないミイや、新しく出会ったおしゃまさんと、はじめての冬を経験するムーミン。

ですが、ここにヘムル族のヘムレンさんが現れます。

 

ラッパを鳴らして、スキー板をはいて、まるで冬の嵐のようにやってきたヘムレンさん。

 

 

彼は冬が大好きなようで、それはそれははりきっていました。

 

寒い川でじゃぶじゃぶと泳ぎ始めたり、

ムーミンにスキーを教えようとしたり、そしてそれを嫌がられたり。

(ミイはスキーが気に入った様子で、楽しんでいたようですが)

 

 

ヘムレンさんの熱はおさまることがなく、ムーミン谷の住人たちは、暴走するヘムレンさんに巻き込まれ、困り果てます。

冬を静かに越したいみんなは、ヘムレンさんの暴走についていけません。

 

しまいには、ヘムレンさんにムーミン谷から出て行ってもらおう、という結論に至ってしまいました。

 

 

※写真は参考書籍より撮影して引用:『ムーミン谷の冬』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、山室静/訳、1990年発行

 

 

気が弱くて、恥ずかしがりやのサロメちゃん

さて、冒頭でご紹介したように、サロメちゃんは気が弱くて、恥ずかしがりやの女の子です。

 

故郷に食糧がなくなってしまい、はい虫のみんなと一緒にムーミン谷にやってきたサロメちゃん。

彼女の気の弱さは、鏡に怯えてシクシクと泣いてしまうほど。

 

 

それなのに、サロメちゃんが大好きになったのは、ムーミン谷に嵐を巻き起こしたヘムレンさんでした。

ヘムレンさんとはまるで正反対に見えるサロメちゃんが、彼を気に入った理由は誰にもわかりません。

 

それでもサロメちゃんはちょこちょこ走りでヘムレンさんについて回りますが、ちいさなサロメちゃんは大きなヘムレンさんに追いつくことができません。

 

 

サロメちゃんはヘムレンさんが鳴らすラッパの音が好きでした。

そして、自分が抱く尊敬の念について、彼に伝えたくてたまらなかったのです。

 

 

それでも、ヘムレンさんがサロメちゃんのことを気にとめてくれることはありませんでした。

自分の後ろをちょこちょこと走って追いかける、ちいさな女の子になんて気が付かなかったのです。

 

 

 

 

サロメちゃん、活躍のとき?

ムーミン谷の住人たちが、ヘムレンさんを追い出そう!と話している時のこと。

それを偶然耳にしたのがサロメちゃんでした。

大好きなヘムレンさんが追い出されてしまうことを知ったサロメちゃんは、なんとかしなきゃ!と立ち上がります。

 

 

ムーミン谷は、一度おさまっていた雪がまた降り始め、更には風も吹きはじめて、危険な状態でした。

それでも、サロメちゃんは飛び出し、走ります。

ヘムレンさんに事態を伝えなければ!と必死でした。

 

 

ちょこちょこ走りのサロメちゃんの足では、雪の中を走ることはとても困難でした。

サロメちゃんよりも大きなムーミンですら進むのが難しいほどの天気です。

「ヘムレンさんを助けたい」という強い意志とは裏腹に、サロメちゃんは遭難しそうになってしまいます。

 

 

そんなピンチのサロメちゃんを救ったのは、他でもない、ヘムレンさんでした。

サロメちゃんがいなくなったことを知ったヘムレンさんは、サロメちゃんを探しに出かけていきました。

そして、激しい雪と風の中で、遭難しかけていたサロメちゃんを助けるのです。

 

 

※写真は参考書籍より撮影して引用:『ムーミン谷の冬』講談社、トーベ・ヤンソン/作・絵、山室静/訳、1990年発行

 

 

サロメちゃんの想いが届くとき

サロメちゃんがヘムレンさんに対して抱いたのは尊敬でした。

ちょこちょこ走りで追いかけても気づいてもらえず、

想いを伝えようとしても声は届かず。

それでもサロメちゃんはヘムレンさんを尊敬し続け、慕いました。

 

 

ヘムレンさんを助けるため、雪の中を飛び出していったサロメちゃん。

それは、鏡を見て泣いてしまったあの日のサロメちゃんではありません。

大好きなひとのために激しい雪の中を飛び出していくことができたサロメちゃんは、物語の冒頭と比べると随分と変わりましたよね。

 

 

気が弱くて、恥ずかしがりやの女の子。

そんな性格をしていたはずのサロメちゃんは、どこかへいってしまったかのようです。

 

 

ヘムレンさんに助けてもらった翌日からは、ヘムレンさんの隣にはとても幸せそうな顔をしたサロメちゃんが座っていたそうです。

どんなに頑張っても気づいてもらえなかったサロメちゃんの気持ちは、命がけの行動をきっかけにして、しっかりとヘムレンさんに伝わったようですね。

 

 

 

 

まとめ:はい虫と勇気

ムーミンの物語には、サロメちゃんだけでなく、たくさんのはい虫が登場します。

サロメちゃんのように、はい虫にスポットライトが当たる物語は多くありませんが、そのどれもが、勇気の物語なんです。

 

 

この記事の冒頭で、はい虫について「彼らはみんな気が弱く、どこか自信がなくて、おどおどとしていることが多い」と紹介しました。

 

 

サロメちゃんと同じはい虫のクニットや、ティーティーウーも、同じような性質を持っています。

でも、彼らも、サロメちゃんのように勇気を出して、自分の殻を破る物語を持っています。

 

 

小さくて自分に自信がなく、まるでちっぽけに思える存在だって、行動次第で変わることができる。

はい虫たちの物語は、そんなエールがこもった作品であるように感じられませんか?

 

 

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