起業を促進するため、フィンランドでは「起業助成金」という補助金制度が用意されています。
日本でも様々な起業支援制度がありますが、その多くは「費用の一部を補助する」もしくは「煩雑な申請作業が必要」です。
筆者は一度日本で起業した友人に手伝い、彼の事業で日本の助成金に申請していました。
手続きや準備書類がとても煩雑で結果的に助成金もおりませんでした。
フィンランドの起業助成金に筆者は実際に申請したことがあるので、自身の経験を踏まえ、フィンランドの起業助成金制度を紹介していきたいと思います。
フィンランドの起業助成金は月に約8万円もらえる
フィンランドの起業助成金は英語でStart-up grant、フィンランド語でStarttirahaと呼ばれる制度で、起業された新規事業への資金投資という目的ではなく、起業したばかりの人の「生活費補助」という目的で審査を経て支給されます。
フィンランドの起業助成金は他の補助金と異なり、社会福祉局KELAから提供されるのではなく、フィンランドの経済産業省TE Toimistoから提供される補助金です。
一般的に起業して新しい事業を始めた最初は収入がほとんどないため、貯金や資金の少ない方は起業してすぐに生活難の状況に陥る可能性があります。
この起業初期の生活費を確保・補填するために支給されるのがこの起業助成金の目的です。
間接的に企業のハードルが下がり、より多くの人々に起業してもらうのがフィンランド政府の狙いですね。
この起業助成金は1日32ユーロが支給され、毎月の営業日分(毎月約20~22日分)が支給され、毎月約640ユーロ(約8万円)が支給されます。
※この助成金は税金対象となり、税金が天引きされます。
一回の申請で6ヶ月分の助成金がもらえます。
6ヶ月が経った時点で一回のみ延長申請ができ、最長合計12ヶ月分の助成金をもらうことができます。
もし1年間分の起業助成金がもらえると、合計して約100万円に達しますので、起業初期の方にとってはとても助かる金額になると思いますね。
フィンランド起業助成金申請条件
フィンランドの起業助成金に申請するには下記の条件を確認しておきましょう!
申請時の職業と身分は下記のどちらかでないと申請できません。
- 失業者
- 被雇用者
- 学生
- パートタイムの起業家
また、申請が通るかどうかは下記の条件によって左右されます。
- 起業後はフールタイムになることが必要
- 事業内容は運営可能且つ収益化できそう
- 個人的な学歴職歴背景が適する
- この助成金を必要とする必要性
- 事業の開始に必要なライセンスの取得状況
フィンランドの起業助成金の申請方法
フィンランドの起業助成金に申請したい時に、直接申請書を書いて提出するのではなく、まずは地域ビジネスアドバイザーに連絡を取ることです。
ヘルシンキであれば「NewCo」がその機構になり、他にEnterprise Finlandも地域ビジネスアドバイザーのサービスを提供しています。
この地域ビジネスアドバイザーと相談し、ビジネスプランの「事前審査」のような形で話し合う必要があります。
OKになればこのビジネスアドバイザーからお墨付き(推薦書)がもらえるので、この推薦書があれば補助金が通る可能性が非常に高くなります。
その後、TE OFFICEに連絡し、TEの専門家のアポを取り、ビジネスプランを精査する必要があります。
この精査が無事終わったら、補助金申請の手続きはほぼ完了です。
最後はネットで助成金申請書を提出するだけです。
ただし、注意しなければいけないのは、助成金審査決定が下りる前にビジネスを始めてはいけません。
助成金の決定が下りる前にビジネスを始めてしまうと、助成金がもらえなくなります。
フィンランド起業助成金における筆者の実経験
筆者はフィンランドの某大学に在学中に起業したく、起業助成金の申請を始めました。
直接TEオフィスの窓口に行きましたが、窓口担当は英語ができないので、よくわからないフィンランド語のフォームが渡され、言われた通りに記入して提出し、家で待つことに。
1ヶ月待っても何も来ないので、窓口申請を諦め、ネットで申請することに決めました。
ここからが長かったです。
ネットで申請できるようにするため、銀行ネットバンキングのアカウントとパスワードが必要です。
銀行に行って問い合わせすると、「フィンランドのIDカード」が必要です。
フィンランドのIDカードは警察署で申し込めばもらえると聞き、警察署に行きました。
となると、「あなたが戸籍事務所に登録した住所はTemporary addressなので、IDカードの発行はできません。Permanent addressに登録し直さないといけません」
戸籍事務所に行って、フィンランドの在留は1年以上であることを証明し(2年間の学生在留カードを提示)、住所をPermanent addressに登録し直しました。(待ち時間2週間、無料)
※当時の気持ちはこんな感じ。
それで、もう一度警察署に行ってIDカードを申し込み、入手。(待ち時間1週間、費用約50ユーロ)
フィンランドのIDカードを持って銀行へネットバンキングアカウントを発行してもらいました。
ようやくここから起業助成金のネット申請ができるようになります。
ネットで申請書を提出。
その後TEオフィスの助成金審査官から連絡があり、一度地域ビジネスアドバイザーと3人でミーティングしました。
その会議で達した結論は「まず私が在留資格を学生から起業に切り替え(フールタイム起業家になることを証明するため)、会社を登記、最後に起業の在留資格が下りたら助成金が下りる」ということになりました。
早速在留資格延長申請を出し、長い待ち時間の中で会社登記を済まし、先にビジネスをスタートさせました。
起業在留資格の審査に8ヶ月の時間も要したが、無事下りました。
起業在留資格をTEに提出することで、助成金も無事下りました。
※「フィンランド起業ビザ取得サポートサービス」をご提供しておりますので、宜しければご参考ください。
参考:Start-up grant: support for the livelihood of a new entrepreneur
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ショップコンセプト
1.フィンランド 北欧というと?
フィンランドもしくは北欧というと「幸福度が高い」「社会福利が充実」「なんかみんな楽しく生活している」というイメージを持つのでしょうか。ただし、実際に見て感じてみると、合致する部分もそうではない部分も見えてきます。良いと思う部分をうまく取り入れ、そうではない部分も積極的に理解することが大切だと思います。そのため、キートスショップは「フィンランドもしくは北欧と日本の交流を促進し、人々により幸せな生活をして頂く」ことの実現を目指していきたいです。
2.雑貨と現地ツアーに通じて幸せを増やしたい
「フィンランドと日本の交流を促進し、人々により幸せな生活をして頂く」という目的を果たすため、キートスショップ現在は「フィンランド雑貨販売」と「ヘルシンキ現地ツアー」の2軸で事業を展開しております。フィンランドの雑貨が好きな方により良い製品、より早く、より良い価格でご提供し、フィンランド雑貨をお客様が手に取る際の喜びを想像しながら事業を運営しております。また、実際にフィンランド・ヘルシンキまで旅をされた方々にはフィンランド文化の核心価値を実際にご体験頂けるヘルシンキ現地ツアーをサービスとしてご提供しております。
「キートスショップで買ってよかった!」「キートスショップのツアーに参加してよかった!」というお客様の声を糧に、より良い商品を提供できるよう、より良いツアーを提供できるよう進めていきたいと思います。
3.運営に「誠実」と「感謝」
「フィンランドや北欧と日本の交流を促進し、人々により幸せな生活をして頂く」目標に目指しながら、キートスショップは感謝の気持ちをベースに「誠実に対応する」ことを運営の第一事項にしております。いかなることに関しても最大限誠実な対応を致しますので、ご意見・ご質問は随時お問い合わせください。遅くても24時間以内にご返答致します。お問合せフォーム、メール:ken@kiitos.shop
4.キートスショップの名前
「Kiitos」はフィンランド語で「ありがとう」を意味する言葉。『フィンランドには優れたデザインや製品を提供してくださることに、日本の方々には外国の文化を理解して頂くことに感謝し、ショップ経営に取り組んで行きたい』そのような思いから、ショップ名を「キートスショップ」にしました。
キートスショップは、「フィンランドや北欧と日本の交流を促進し、人々により幸せな生活をして頂く」ことが実現されるよう努めてまいります。
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