フィンランドで人を雇いたい!発生する給料と保険費用と注意点

公開日:2021年2月20日  関連分類:

 

フィンランドで事業を始め、伸びてきて忙しくなってきたらそろそろ人を増やしたいところです。

 

一人で事業を行うのは気楽ですし、マネジメントにかける労力も最低限に抑えることができます。

 

 

しかし、事業を起こし、社会に貢献する意味では、税金を納める他にできることは「雇用を生み出す」ことだと筆者は思います。

 

そのため、事業においてそろそろ人を雇えるようになる時に初めて自分の事業がちゃんと社会に貢献していると実感します。

 

 

ただし、一人目を雇うときに給料以外に保険や税金とかどうなるかわからないことが多いものです。

 

この記事では筆者の実経験を踏まえ、フィンランドで人を雇う際にどういう費用が発生するかについて、できるだけ詳しく説明していきます。

 

フィンランドで雇用を行う際にご参考頂ければと思います。

 

 

 

 

そもそも「雇用」にするか、「アウトソーシング」にするかを決めておこう!

形式の違いに過ぎませんが、手間が変わるので、どのような形で人員を増やすかをよく考えておきましょう!

 

「雇用」という形にすることは、「社員」を増やすことであり、この社員の給料計算、所得税、年金保険、失業保険、健康保険などはすべて自分の会社に通じてやることになります。

その社員に渡すお金は様々な項目で天引きされた後の手取り額になります。

 

契約形態は「雇用契約」です。

 

 

しかし、「アウトソーシング」という形にすることもできます。

つまり、その個人から「サービス」を購入することです。

 

 

その個人は個人経営者となり、自分のサービスを提供し、代金をもらうことになります。

この場合、所得税の申告や年金保険、失業保険、健康保険などはすべてその個人が自分でやることになります。

もちろん、これらの保険費用はサービス価格に上乗せすることが基本ですが。

 

契約形態も変わり、「業務委託契約」になります。

 

 

どの形にしたいかは自社状況及びその人の状況によって変わります。

 

 

雇用の場合、給料の他に様々な費用も発生する

「雇用」、つまり「社員」を増やす場合、下記のように様々な費用が発生します。

 

  • 給料
  • 健康保険(雇用主負担部分)
  • 厚生年金(雇用主負担部分)
  • 失業保険(雇用主負担部分)
  • 職業傷害疾病保険
  • 団体生命保険

 

 

給料から所得税が天引きされ、会社から税務署に払う

日本の源泉徴収と同じように、社員の給料から所得税が天引きされ、会社側が社員の代わりに税務署に納税します。

 

参考:フィンランドの所得税の仕組みとは?日本とどう違うの?

 

 

健康保険(雇用主負担部分)Health insurance contribution

健康保険の料金には雇用主負担部分があります。

 

2021年の雇用主負担部分は給料の1.53%です。

(被雇用者の負担部分は給料の0.68%です)

 

この率は毎年変更されますので、最新の情報を各自ご確認くださいね。

 

 

 

 

厚生年金(雇用主負担部分)Earnings-related pension insurance contribution (TyEL)

厚生年金はフィンランドで「Earnings-related pension insurance contribution (TyEL)」と言います。

 

2021年の雇用主負担部分は給料の16.95%です。

(17~52歳と63~67歳被雇用者の負担部分は給料の7.15%で、53~62歳被雇用者の負担部分は給料の8.65%です)

 

 

厚生年金保険TyELを対応する保険会社はネットで検索するとたくさん出てきますので、給料情報を保険会社に出せば、お見積りがもらえます。

 

 

失業保険(雇用主負担部分)Unemployment insurance contribution

年間給料が1300ユーロを超える場合、失業保険を払う義務が生じます。

 

2021年の雇用主負担部分は給料の0.5%です。

(被雇用者の負担部分は給料の1.4%です)

 

 

社員の給料情報が税務署に登録されると、失業保険機関から請求書が来ます。

 

 

参考:Työllisyysrahasto

 

 

職業傷害疾病保険Occupational accident and disease insurance contributionと団体生命保険Group life insurance contribution

職業傷害疾病保険は年間給料が1300ユーロを超えると入る義務が生じます。

 

団体生命保険に入る義務があるかどうかは「各組合団体のガイドライン」(※後程説明)によります。

 

職業傷害疾病保険と団体生命保険は全額雇用主負担です。

筆者の場合は社員一人で年間合計110ユーロ程度でした。

 

 

通常の保険会社から購入できます。

 

 

雇用契約の製作・締結と給与明細の発行

人を雇う場合、雇用契約の製作が必要です。

様々な項目を細かく書くことができれば、簡単に作ることもできます。

あくまでも会社とその社員にとって何が大事かによります。

 

給与明細の発行も必要です。

 

 

なお、フィンランドには社労士という職業がないため、筆者は会計サービスの方に「健康保険、失業保険、厚生年金の計算や天引き、給与明細の発行」をお願いしています。

自分では費用の振込、職業傷害疾病保険と団体生命保険の購入、雇用契約部分だけをやっています。

 

 

「各組合団体のガイドライン」とは?

フィンランドでは様々な職業にはそれぞれの組合が存在しています。

例えば、旅行観光ホテル飲食業界には「旅行観光ホテル飲食組合」があり、医療業界には医師組合や看護師組合があり、郵便配送業界には郵便組合、他に航空組合など様々な組合があります。

 

 

それぞれの組合は「労働基準ガイドライン」(työehtosopimus)を製作し、発表しています。

大体は4年ごとに更新されます。

 

 

このガイドラインには「最低賃金」や「最長労働時間」などのルールが記載されており、雇用契約を作る際にこれらのルールに沿った作成しなければいけません。

 

雇用契約を作成する際に是非関連業界の組合ガイドラインをご確認ください。

 

 

 

 

まとめ:給料以上に様々な費用が生じるので、是非事前に把握しておこう!

上記のように、フィンランドで人を雇う場合、様々な費用が発生します。

 

特に初めて人を雇う際には多くの情報を事前に確認しなければいけません。

 

なかなか最初は慣れないものの、一度人を雇えば、二人目以降は基本的に同じですので、是非最低限の関連情報を理解しておきましょう!

 

 

参考:Social insurance contributions

 

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ショップコンセプト

1.フィンランド 北欧というと?

フィンランドもしくは北欧というと「幸福度が高い」「社会福利が充実」「なんかみんな楽しく生活している」というイメージを持つのでしょうか。ただし、実際に見て感じてみると、合致する部分もそうではない部分も見えてきます。良いと思う部分をうまく取り入れ、そうではない部分も積極的に理解することが大切だと思います。そのため、キートスショップは「フィンランドもしくは北欧と日本の交流を促進し、人々により幸せな生活をして頂く」ことの実現を目指していきたいです。

2.雑貨と現地ツアーに通じて幸せを増やしたい

「フィンランドと日本の交流を促進し、人々により幸せな生活をして頂く」という目的を果たすため、キートスショップ現在は「フィンランド雑貨販売」と「ヘルシンキ現地ツアー」の2軸で事業を展開しております。フィンランドの雑貨が好きな方により良い製品、より早く、より良い価格でご提供し、フィンランド雑貨をお客様が手に取る際の喜びを想像しながら事業を運営しております。また、実際にフィンランド・ヘルシンキまで旅をされた方々にはフィンランド文化の核心価値を実際にご体験頂けるヘルシンキ現地ツアーをサービスとしてご提供しております。

「キートスショップで買ってよかった!」「キートスショップのツアーに参加してよかった!」というお客様の声を糧に、より良い商品を提供できるよう、より良いツアーを提供できるよう進めていきたいと思います。

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「フィンランドや北欧と日本の交流を促進し、人々により幸せな生活をして頂く」目標に目指しながら、キートスショップは感謝の気持ちをベースに「誠実に対応する」ことを運営の第一事項にしております。いかなることに関しても最大限誠実な対応を致しますので、ご意見・ご質問は随時お問い合わせください。遅くても24時間以内にご返答致します。お問合せフォーム、メール:ken@kiitos.shop

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Kiitos」はフィンランド語で「ありがとう」を意味する言葉。『フィンランドには優れたデザインや製品を提供してくださることに、日本の方々には外国の文化を理解して頂くことに感謝し、ショップ経営に取り組んで行きたい』そのような思いから、ショップ名を「キートスショップ」にしました。

キートスショップは、「フィンランドや北欧と日本の交流を促進し、人々により幸せな生活をして頂く」ことが実現されるよう努めてまいります。

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