ヨーロッパのことを少し知っている方もしくはヨーロッパに行かれたことのある方は恐らくシェンゲン協定もしくはEU、ユーロなどをご存知でしょう。
偶にEEAやEFTAというものも聞くし、どれもヨーロッパ関係というのはなんとなくわかりますが、いったいこれらの間に何が違うでしょう。
多少分別しにくい制度ではありますが、本記事では簡単な例を挙げながらわかりやすく説明していきたいと思います。
どれも「自由、共通、共有」に関する協定や制度だ!
まずご認識して頂きたいのは、シェンゲン協定、EU、EEAやユーロなどはどれも「自由」「共通」「共有」に関する協定や制度です。
とてもざっくりですが、シェンゲン協定は「移動を自由にする協定」であり、EUは「政策を共有する協定」であり、EFTAは「自由貿易の協定」で、EEAは「自由貿易エリア」で、ユーロは「金融政策共通制度」という感じになります。
それぞれの制度や協定に高い共通性を有し、ある意味ピラミッドのような形をしています。
最も参加しやすくて参加国が多いのはEFTA/EEAもしくはシェンゲン協定です。
その次にEUやユーロ導入というレベルが一つ高いという感じですね。
下記ではそれぞれの制度を簡単にご説明した上、簡単な例を挙げて説明します。
欧州経済領域のEEAはヨーロッパの単一市場自由協定
EEAは「European Economic Area」という言葉の略称であり、ヨーロッパの単一市場エリアという意味をしています。
所属国は「EU加盟国+EFTA加盟国(ヨーロッパ自由貿易協定)」となります。
EEAに入っている国であれば、「モノ、人、サービス、資本」はEEA内で完全自由に移動できます。
つまり、EEA所属の国民であれば、EEA内のどの国に住み、働き、商品を売り、お金を動かすに全く制限がありません。
EUに入っている国は全てEEAに入っていますが、EUに入っていないEEA所属国は「ノルウェー」「アイスランド」「スイス」などとなります。
人の移動を自由にするシェンゲン協定
シェンゲン協定加盟国はお互いに国境検査を撤廃します。
簡単に言えば、シェンゲン協定国のエリア内であれば、どの国に行っても国内旅行のような感覚で国境検査がありません。
国境検査がないということは、人が自由に行き来でき、トラックなど商品を積んだ車も自由に行き来でき、基本的に欧州経済領域のEEAとは同じ意味をしています。
そのため、EEA所属国はほぼ全員シェンゲン協定にも加入しています。
しかし、2018年現在「クロアチア」「ブルガリア」「ルーマニア」は既にEUに加盟したが、国境撤廃がまだ完成していなく、シェンゲン協定にまだ入っていない国もあります。
また、「イギリス」と「アイルランド」は独自の交渉によってEFTA(ヨーロッパ自由貿易協定)に加入していながらもシェンゲン協定から外されています。
(つまり、人、モノ、金、サービスなどの移動は自由ではあるが、検査は継続的に実施すること)
EUのことは本当に理解していますか?
EUというのは経済市場が統合された上で、外交、安全保障、司法、内務分野でも枠組を設けてEU加盟国の中で共通する政策を実施する連合(欧州連合)です。
つまり、EEAは経済の自由(人、モノ、金、サービスの自由移動)だけですが、EUは経済以外にも様々な分野で共同管理の制度を設けることになります。
EU共通の政策を制定し、実施するために予算が必要です。
その予算はEU加盟国から徴収し、決められた政策に応じてEU加盟国から徴収したお金を使っていきます。
また、EU共通の政策をEU加盟国が遵守する義務があります。
そのため、EUへの予算負担をしたくない国、共通政策に遵守したくない国はEUに加盟せず、EFTA(ヨーロッパ自由貿易協定)だけ加入し、経済自由のメリットを受けるだけにします。
(ただし、EFTAを維持するための費用はEFTA加盟国から徴収されます)
共通貨幣のユーロは金融政策の統合
共通貨幣ユーロの使用は市場の統合である上に、通貨金融政策の統合となります。
昔ユーロが導入されていない時代にはヨーロッパそれぞれの国に自分の貨幣を使用していました。
となると、国境を超える商売は常に為替レートを気にしなければいけません。
取引先の国が一つや二つだけなら簡単ですが、ヨーロッパのように近隣国だけでもたくさんある場合、為替レートを注意するだけでとても煩雑になります。
そのため、ユーロが登場したわけです。(とてもざっくりした説明ですが)
ユーロを導入すれば、為替レートを気にすることなく資金の移動や売買がだいぶ簡単になります。
しかし、その同時に自国の金融貨幣政策をヨーロッパ中央銀行に完全に任すこととなります。
自国独自の金融貨幣政策をしにくくなるデメリットもあり、イギリス、スウェーデン、デンマークなどは自国の政策もしくは国民投票の結果によってユーロを導入していません。
また、ブルガリア、チェコ、ハンガリーなどの国々ではユーロを導入する財政状況条件を満たしていないので、導入が許可されていません。
「物々交換のみ」の小さい「村」を例に例えてそれぞれの制度の違いを見てみよう!
「物々交換のみ」の小さい「村」で想像してみましょう!
村の中で養鶏場が1軒、野菜農家が1軒、養豚場が1軒、お米農家1軒、塩を作る塩職人1軒という5つの家しかありません。
全ての家はそれぞれフェンスで囲まれ、それぞれの入り口にゲートが設けられています。
そして、他人の家に訪ねたり、物々交換を売買するには事前に了承をもらわないといけませんでした。
時間が経つとやはりそれはめんどくさいですよね。
とてもめんどくさいので、「誰でも事前了承なしで他人の家に訪ねてもいいし、自由にものを持ってきて交換してもいいよ」というルールを作りました。
一つの家を一つの国として考えれば、このルールがEEA(欧州経済領域)もしくはEFTA(ヨーロッパ自由貿易協定)になります。
しかも、家の周りにフェンスがあって、入り口にゲートがあると、お互いに訪ねるにはゲートをいちいち開けないといけないのがめんどくさいので、フェンスもゲートも撤去しよう!
この「フェンスとゲートを撤去する」ルールがシェンゲン協定です。
これで他人の家に訪ねることが自由になりました。
それで、一つの家で自分の生産をやりながら警備や他の村の人との交渉とかも個別でやるのがめんどくさいので、5つの家をまとめて警備事務や他の村の人との交渉などの事務をまとめてやろう!
この村を代表して警備と他の村との事務をまとめてやるのがEUです。
EUが代表でやれば、個別の国が個別に交渉したり、様々な事務をやることもなくなります。
だいぶ手間が減りますよね
最後に、鶏やら、野菜やらで物々交換するのも価値がわかりにくくてめんどくさいので、この村の中でこの決まった大きいさの銀の粒を貨幣として取引に使おう!
この村の中で共通する貨幣である銀の粒がユーロです。
このように、もともと物々交換の村で、一つ一つの家がフェンスに囲まれ、ゲートが設けられ、警備も他の村との交渉も自分でやるという状況だったか、フェンスもゲートもなくなり、お互いに自由に訪ねたり、モノを売買したり、わかりやすい銀の粒が貨幣となり、村全体まとめて警備されたり、他の村との交渉もまとめられたり、この村の住民の生活がだいぶ便利になりました。
ヨーロッパでの様々な制度や組織がこのように機能されています。
フィンランドはどうだろう?
フィンランドは2018年現在、上記全ての協定や組織に参加しています。
EUに加盟したのは1995年で、モノの流通が一気に増えました。
ユーロの導入は1999年で、シェンゲン協定への加入は2001年でした。
いかがでしょうか。
シェンゲン、EU、ユーロなどややこしい名前ではありますが、ご理解頂けたのでしょうか。
是非お役に立てればとてもうれしく思います。
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1.フィンランド 北欧というと?
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