日本にないフィンランドの「居住権住宅」とは?賃貸と購入以外の選択肢

公開日:2021年2月11日  更新日: 2024年03月27日 関連分類:

 

日本で家を探す時、通常は「賃貸」か、「購入」しかないですよね。

 

となると、賃貸弱者の人にとってはとても難しい状況になってしまいます。

例えば、家を持っていない年金頼りの高齢者、障害を持って収入が不安定な人などは大家さんから選ばれず、安定した住居を確保することが難しいことも想像できなくはないでしょう。

 

 

これらの状況に対応するかのように、フィンランドでは、この持ち家と賃貸以外に第三の選択肢が存在しています。

その形式も実に賃貸物件と購入物件の間にあるような住宅形式なんです。

 

 

その名は「居住権住宅」です。

翻訳方法によって、「社会住宅」とも呼べるかもしれません。

 

英語だと「Right-of-occupancy housing」と言われ、フィンランド語では「Asumisoikeusasunnot」となります。

 

 

この居住権住宅制度を利用して居住権住宅に住むとどのようなメリットがあるのでしょうか。

通常の賃貸物件や購入物件とはどのような違いがあるのでしょうか。

 

是非一緒にフィンランドの居住権住宅制度や居住権住宅を探っていきましょう!

 

 

※筆者自身は2024年3月から実際にこの制度を利用し、居住権住宅に住み始めました!!

 

 

 

 

フィンランドの居住権住宅制度とは?

フィンランドの居住権住宅制度とは、その住宅価格の15%に値する費用を払えば、家賃相場の約70%程度の毎月維持費を払うことで、好きなだけずっと住んでいける制度とのことです。

 

言い換えれば、支払うのは(1)居住権住宅料金約1~4万ユーロと、(2)毎月の住宅メンテナンス料金相場家賃の7割程度、です。

 

(2)の毎月支払う住宅メンテナンス料金はそのままメンテナンス、ごみ処理、暖房費、管理費などに使われ、戻ってこないですが、(1)の居住権住宅料金は解約し、引っ越す時には戻ってきます。

 

 

賃貸と持ち家と比べて見るとわかりやすいと思います。

賃貸 持ち家 居住権住宅
長期ローンの金利変動リスクなし 長期ローンの金利変動リスクあり 長期ローンの金利変動リスクなし
自由に引っ越せる 売れないと自由に引っ越せない 自由に引っ越せる
初期費用:数千ユーロ 初期費用:頭金の数万ユーロ 初期費用:1~4万ユーロ
毎月家賃を払う 毎月ローンの返済+管理費+メンテナンス費用など 毎月家賃相場の7割程度払う
家に問題が出たらすぐ引っ越せる 家に問題が出たら治さないと売れない、すぐ引っ越せない 家に問題が出たらすぐに引っ越せる
大家の審査に通らないと住めない 銀行の審査に通らないとローン組めない お金持ち以外、誰でも住める
資産上限の条件なし 資産上限の条件なし 資産上限の条件あり
継承する資産がない 継承する資産あり 居住権権利は継承できる

 

3年以上とか少し長期的に考えれば、賃貸より費用を節約できます

物件を購入するより20年とかのローンを組む必要性がなく、引っ越さなければいけない時に柔軟性が比較的に高いです

 

 

このように費用の面とライフプランのフレキシビリティの面両方バランスが取れているのは居住権制度です。

 

 

賃貸だと契約満了時に大家さんが契約不更新ということで引っ越さないといけません。

居住権において、大家さんが居住権を終了させることができません。この点も賃貸と違うところですね。

 

 

ただ、その同時に、居住権を売ることはできません

居住権を終了させたい時に毎月払ったお金は帰ってきません。(居住権住宅費は戻ってきます)

 

 

また、55歳未満の方が政府が建てた居住権住宅に申し込む際には最高収入制限があります。

収入が高い方は居住権住宅を利用できません。

(55歳を越えれば、この制限がなくなります)

 

※居住権住宅には国が建てた物件や会社・個人などが建てた物件があります。

 

 

そして、居住権住宅は居住権を持つ本人とその家族しか住むことができません

 

転勤や勉強などの理由で一時他の場所に住まざるを得ない場合、居住権を所有する住宅を最大2年間まで他人に貸すことができます。

 

 

居住権住宅に申し込むにはどうすればいいの?

居住権住宅に申し込みたい場合、まずは自分が申し込みたい地域・市に制限があるかどうかを確認することです。

 

2024年現在、ヘルシンキ首都圏(ヘルシンキ、ヴァンター、エスポーは同じシステム)の場合、18歳以上で、ヘルシンキ都市圏内に所有する不動産がなく、家を買えるほどの現金や資産もない人だけが居住権住宅に申し込むことができます。※ただし、55歳以上になると、この制限がなくなります。

 

条件が合う人だけは「待ち番号」をフィンランドのマイナンバー(ネットバンキング)でオンラインでもしくは紙で申し込んで、番号をもらうことができます。

※待ち番号の程度を管理・運営しているのは「The Housing Finance and Development Centre of Finland (Ara)」です。

 

番号をもらったら、居住権住宅を探し、個別のアパートや家にその番号を持って申し込むことができます。

 

フィンランドでは現在居住権住宅の物件を所有・運営する大手会社はいくつかあり、簡単に物件を探すことができます。申し込みもこれらの会社に対して出すことです。

 

物件によって、「今は空いていない」、「○○月○○日に空く」、「今すでに空いている」との状態が表示されます。

申し込めるのは空く予定の物件すでに空いている物件です。

 

 

そして、筆者は「今すでに空いている」物件に申し込みました。

そしたら、その物件に集まった申し込みの中で待ち番号が一番低い人から「この物件を取るかどうか」の決定権が回ってきます。

 

待ち番号が低い人は先に番号を取得し、待っていた人なので。

待ち番号が一番低い人はやはり要らないと言ったら、待ち番号が二番目低い人に決定権が回ってきます。

このように、待ち番号が決定権の優先順位になります。

 

 

筆者が申し込んだ物件に他の人が申し込んでいなかったため、決定権はそのまま筆者にあります。

OKしたら、そのまま入居手続きになります。

 

もちろん、契約する前に入居制限に当たる所有資産のチェックは行われました。

 

所有資産のチェック以外に、審査されることはありません。

筆者のフィンランド人ではない名前、国籍、顔、肌色、年収など一切チェックされないし、影響もしません。

特に賃貸弱者には最適で必要な制度だと感じました。

 

 

このように、筆者は同じ広さと築年数の物件をヘルシンキ市内家賃相場の半分程度でヴァンターに住むことができました。

 

 

ちなみに、「居住権住宅」というのは個人・団体・会社が定めた制度ではなく、フィンランドの国が法律として定めた制度Act on right-of-occupancy apartments)なんです。

居住権住宅の運営会社も入居者もすべて法律に従ってやらないといけません。

 

法律に定められた制度というのも一つ安心しやすいポイントですね。

 

 

参考:

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